『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』/NUMBER GIRL

『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』/NUMBER GIRL

『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL
ADDICT』でメジャー進出!
日本のロックを根底から覆した、
NUMBER GIRL!

文学性を秘めた“刹那”な歌詞世界

NUMBER GIRLの楽曲はもちろん歌詞があり、向井秀徳(Vo&Gu)がそれを歌っているのだが、歌が前面に出ている印象がない。いや、前面に出していないというよりは、楽器と並列に鳴ることを意識しているのだろう。歌だけが前に出ているわけではない。この辺にもそれまでのロックとは異なる匂いがある。しかし、だからと言って、“歌=歌詞”がまったく意味を成していないかというと、そうではない。《普通に物事を見すえる力が欲しい/私は海を抱きしめていたい/桜のダンスをお前は見たか?/季節と季節の間に遊ぶ風の声を/貴様は聞いたか?》(M5「桜のダンス」)が坂口安吾の小説『私は海を抱きしめていたい』からの引用であったり、ズバリ《安吾は はっか煙草を 吸いながら/猫の大群を 見たり ふらついたり/さまよったり》(M2「PIXIE DU」)とあるように、日本文学からの影響が色濃く、こちらもなかなか味わい深い。
《熱さを嫌う若者たちは冷えきった場所へ逃げてゆく/通じ合わないで 触れ合わないで/それでも奴等笑いあう それでも奴等信じあう》(M1「タッチ」)。
《裸足の少女は 俺の前を走りぬける/風都市ガールの世紀末ダンスに見とれている男は多い》《終わりのキセツ 世紀末にのっかった女の子を見たか!?》(M3「裸足の季節」)
《日中に生きる あの娘は普通に生きて/病気もせずに 惑わされずに/オレはホントにそれは正しいと思う/一人で映画に出かけたり 悔んだり 日常に生きている》。
《寒い日にコートを着る人は多い/あの娘も可愛い赫の外とうを着こんだりするんです/並木道 影がのびる/空気の 冷たさに 気付く》(M6「日常に生きる少女」)。
《透きとおって見えるのだ 狂った街かどきらきら…/気づいたら俺は夏だった風景/街の中へきえてゆく》《はいから狂いの 少女たちは 桃色作戦で/きらきら光っている 街かどは今日も アツレキまくっている/とにかく オレは 気づいたら 夏だった!!》(M8「透明少女」)。
正直言って、歌詞にはどんな意味があるのか分からないが、おそらく明確なメッセージや物語を伝えようとはしていないだろう。それは以下の後半2曲から推測できる。
《さみしそうに何か言いたげで/少女になって/案外、思い出すのは/そんな風景/夏だったか 冬だったか それは知らない/瞬と 瞬の間の映像/瞬と 瞬の間の》(M9「転校生」)。
《よみがえる性的衝動 繰り返される諸行無常》《瞬と瞬の間 果てしなく広がる風景/見たことがあるようなないような…/そこんところ さまよっている さすらっている》(M10「EIGHT BEATER」)。
瞬間と瞬間との間──仏教で“刹那”と呼ばれるような超短時間に感じたことや、そこで脳裏に残っている画を言葉にしているのであろう。イメージの羅列的なものも少なくなく、意味云々を深く追うよりは聴いた人が好きに想像したほうがいいと思う。“Don't think. Feel!(考えるな、感じろ)”である。

著者:帆苅智之

OKMusic編集部

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