稲佐山のロープウェイの駅

稲佐山のロープウェイの駅

福山雅治、その骨太な生き方のルーツ
を地元・長崎にて発見

福山雅治が六本木ヒルズで「PHOTO STAGE 〜記憶の箱庭〜」という写真展を開いたのは、6年近く前。3つのステージに分かれ、ひとつは大村克巳氏(この人の撮った森高千里は秀逸)やハービー・山口氏ら4人の写真家が福山を撮り続けた作品群。2つ目は、福山と交流の深かった写真家・植田正治(故人)氏やタケオキクチブランドで知られるデザイナーの菊池武夫氏らとのコラボ展。そして3つ目が、福山自身が約10年間に渡り世界20ヵ国以上を旅して撮影したモノクロームの写真展だった。

福山はシンガーソングライターであり、俳優でもあり、ラジオDJもこなし、ギターも弾く、そして音楽プロデュースもすれば写真家としても活躍する。そのうえバラエティー耐性もある。なのに、器用貧乏に成り下がらない。何をやっても突出した才能を見せる。気取っているようで気取りがなく、気取らないように見えて、やっぱりカッコいい稀有な存在。

そんな福山を象徴するものが、写真展の会場に展示されていた。福山愛用のカメラ、ドイツの名機ライカM4とともに展示された専用の革ケースは、ルーマニア訪問時、裏面にハービー・山口氏とサインして交換した超お宝。「To Fukuchan!!」から始まるハービー氏のサインが、2人の親しさを表していた。
この時、福山がハービー氏から譲り受けた愛機として展示されたM4は、ライカがもっともライカらしかった時代の最後のモデル。今日のような家電的カメラではなく、「貴金属」「精密機器」といったジャンルにカメラがカテゴライズされた時代を象徴する、クラシックでオーソドクスな本格派だ。

福山のことだからライカも何台も使っているのだろうが、この時会場のやわらかな照明のもと展示されていたM4には、おしゃれなルックスだけでなくクラシックで骨のある福山に実にふさわしい風情があった。

いったい福山の、あの見せ掛けだけでない骨太さはどこから来ているのだろうと考えていた。
私の亡き祖母は長崎の本河内の出身で、今でも親戚は健在なので、写真展のあったその年も長崎へ行く機会があった。そこで私は偶然、「福山雅治と会った」のである。

浦上からほど近い稲佐山からは、長崎の夜景を一望できる。その美しい夜景を堪能したあと、帰りのロープウェイに乗った。駅で下車すると、すぐそばの神社で、季節はずれだが盆踊りの発表会が催されていた。とても気をひかれ、足を向けた。しばらく見入って、そろそろ帰ろうと振り返ったそのとき、背後にあった建物の扉に有名人の幼少期らしき写真が貼り出されているのが目に飛び込んできた。
福山雅治だ!…「宝珠(ほうじゅ)幼稚園」と書かれていた。第3回卒園児とある。まだ幼いのに、表情には現在にも通じる凛々しさが。そして、当時本人が描いた空手の絵には、「おおきくなったら、からてかになるんだ」。微笑ましさの中にも、しっかりした芯の強さを感じた。

私は、「福山雅治」との偶然の出会いに感謝した。

空手家にはならなかったが、歌手になり俳優になり写真家にもなった福山。彼が通った幼稚園は、豊かな緑の中にあった。いつも自然体で朗々とした、そして繊細なルックスとは裏腹に骨太な生き方を見せる福山の、ルーツにふれた思いがした。


文・志和浩司
■CS歌謡ポップスチャンネル「水道橋博士の80年代伝説」第2回出演
(ゲスト:原田真二、論客:吉田豪、掟ポルシェ、志和浩司)8月6日20:00〜放送
■アイドルサイトIDOOOLにて『志和浩司のアイドル・スープレックス!』連載中
(i.listen.jp/st/sp/sp/idoool/column.html)

OKMusic編集部

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