【丸本莉子】日常にありふれた幸せに
気付いてほしい

力強さもありながら癒しも与えてくれる歌声を持つ丸本莉子。最新作は知人の死に向き合って作られた「誰にもわからない」をベースに、「糸」のカバーやインディーズ時代の曲などを含む、さまざまな幸せのかたちを歌った、やさしく心を温めてくれる一枚だ。
取材:吉田可奈

ミニアルバム『誰にもわからない~何が幸せ?~』はとても深いテーマの一枚に仕上がっていますが、もともとコンセプトがあって作られたのですか?

実は先行で配信した「誰にもわからない」という曲ができた時に、この曲を芯としながらも、改めていろんな幸せのかたちやありふれた日常…例えば好きな人と一緒にいる幸せや、故郷にいる誰かの幸せを考えるきっかけとなったらいいなと思い、今作を作り始めました。だからこそ、“何が幸せ?”というサブタイトルが付けられているんです。

このサブタイトルが付くだけで深さを帯びますよね。

ありがとうございます。でも、実はこのアルバム曲の制作時期はそれぞれまったく違うんです。「たどりつく場所」と「ご機嫌ベイベー★」はインディーズの頃の曲で、「トロイメライ~人魚の夢~」と「ぷれぜんと」はつい最近作った曲なんです。どの曲も共通するのが“今、イチオシの曲”だということ。この曲たちから日常の当たり前の幸せが何かを改めて考えてもらえたら嬉しいですね。

「ガーベラの空」の歌詞には、丸本さんらしいかわいい言葉遣いや仕草が詰まっていて微笑ましかったです。この曲が「誰にもわからない」の次の曲として収録されていることにも意味を感じました。

ありがとうございます。1曲目の「誰にもわからない」は2年前に知り合いのカメラマンが亡くなったことで浮かんだメロディーがもとになっているんです。でも、テーマがあまりにも重すぎて、歌詞を付けることができず、一旦そのままにしておいたんです。でも、少し前に尊敬するミュージシャンが亡くなったニュースを観て、この気持ちはしっかりと歌詞にしなくちゃいけないと思い、この曲の制作に本格的にとりかかったんです。その次の曲として、この「ガーベラの空」を収録したのは、より日常をリアルに表現できると思ったからなんです。

確かに、ものすごく辛い出来事のあとに、幸せが訪れる“一日”ってありますよね。

そうなんですよね。そうやって人間の感情が振れることは当たり前なこと。だからこそ、そこにリアルを感じてもらえたらと思ったんです。ちなみに、この「ガーベラの空」は作詞家の方と初めて一緒に作った曲で、「誰にもわからない」は初めて歌詞の中で答えを出さなくてもいいと思えた曲なんです。この2曲は私にとって挑戦にあふれたもので。新しい自分に出会えた曲になりました。

「ガーベラの空」の主人公の女の子はとてもかわいらしい性格ですよね。

この曲は自分の感情というよりは、“こんな女性になりたい”と思って歌っている曲なんです。なので、この主人公は私の憧れなんですよ。この曲の1番と2番では歌詞の内容が違うんですが、ありふれた日常を表現するために、あえてヴォーカルの表現の差を失くして歌ったんです。サラッと聴けるようなミドルチューンなので、歩きながら聴いたら散歩したくなるような、聴き心地の良さを意識しながら歌いました。

そして、「糸」のカバーもすごく魅力的でした。

ありがとうございます。2016年の7月から定期的にストリートライヴをしているんですが、「糸」は必ず歌っているんです。この曲は多くの人に愛されているからこそ、歌うと聴いてくれている人たちとの距離も近くなるし、歌っていてとても心地良いんですよ。

ストリートライヴでの新たな発見はありましたか?

改めて“歌が好きだ”ということに気付きました。ストリートライヴでは毎回30分という時間を決めて歌っているんですが、つい時間を忘れて何曲も歌ってしまうんです。歌い出した頃の初心を思い出せたり、たくさんの人が聴いてくれることで東京の人の温もりも感じることもできますし。それに、ある日のセットリストがすごく盛り上がったからといって、他の日にそのまま演奏してもまったく盛り上がらないことがあるんですよ。この現象に最初はすごく戸惑ったんですが、繰り返していくうちに、その時の空気を読んで瞬時に対応していくことの大切さを学びました。

ストリートは独特の環境ですからね。

はい。自分が感情をしっかり込めないと歌が届かないのは当たり前として、感情を込めすぎて自分だけの歌になってしまっても、聴き手の心に届かないんです。毎回課題が見つかるからこそ、成長につながっている気がしてすごく楽しいんです。

今はすごく成長期なんですね。今作のために書き下ろした2曲についても聞かせてください。

「トロイメライ~人魚の夢~」は人魚の恋を書き上げたいと思い、作った曲です。そして、相手にプレゼントした時に、相手が喜ぶ表情を見ると、すごく幸せになりますよね。「ぷれぜんと」はそんな時の感情を込めた曲になっているんです。私は普段、“今の気持ちを歌にしたい!”と思った瞬間をメモするようにしているんですが、それを実現させることができた一枚になりました。

ちなみに、今作りたいと思う曲はどんな感情ですか?

結婚ソングを作りたいですね。でも、ただ幸せなものではなく、ドロドロしたうまくいかないダメな部分も含めて愛し合うような曲を作りたいと思っているんです。

それはまた…すごく深い曲になりそうですね(笑)。

はい(笑)。でも、ドロドロと言っても、結婚式にはしっかりと流せるような曲に仕上げたいと思っているので、安心して待っていてください(笑)。これからも、その時に抱いた感情をベースに、いろんな曲を作っていきたいですね。
『誰にもわからない~何が幸せ?~』
    • 『誰にもわからない~何が幸せ?~』
    • VICL-64628
    • 2016.12.21
    • 1944円
丸本莉子 プロフィール

マルモトリコ:広島出身のシンガーソングライター。高校2年生の頃からギターの弾き語りを始め、オリジナル曲も作るようになる。高校卒業後は約2年にわたる介護の仕事と音楽活動の二足のわらじ期間を経て、プロを目指して上京。2015年6月、史上初のハイレゾ先行配信によるデビューシングル「ココロ予報」でメジャーデビュー。ハイレゾ配信3サイトのデイリーチャートで1位を獲得し3冠を達成した。16年11月にアルバム先行シングル「誰にもわからない」をリリース。同年12月には3rdミニアルバム『誰にもわからない~何が幸せ?~』を発表。丸本莉子 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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