【シシド・カフカ】歌もとりどり、ド
ラムとりどり、歌詞とりどり!

1月に発表したアニメ『FAIRLY TAIL』のオープニングテーマ「明日を鳴らせ」が好評を得たシシド・カフカが、ニューアルバム『トリドリ』を完成させた。今作は多彩なプロデューサー陣を迎え、新しいカフカをいくつも見せてくれる、尖りまくったロックアルバムになった。
取材:榑林史章

デビュー前の暗黒時代を乗り越えて今の
私がいる

“トリドリ”というタイトルは、“色とりどり”みたいな?

はい。全体にはライヴでやることを想定した作りになっていますが、今回はさまざまなプロデューサーさんが色を添えてくださっていて。歌もとりどり、ドラムとりどり、歌詞とりどりということで、そのまま“トリドリ”と。前作の『K⁵(Kの累乗)』ではさまざまなアーティストのカラーに、私の色が良い具合に混ざり合ったらいいなと思って、相手の器に飛び込んでいく意識で、曲も歌詞もディレクションもお任せすることがほとんどでした。でも、今回はプロデューサーの方たちとシシド・カフカというアーティストの楽曲を一緒に作っていくという目標があって。曲作りの段階から“こういう曲がいい”とか提案させていただいたり、最終的な音決めやジャッジも一緒にやらせていただきました。

1曲目の「Obertura」は、“Overture”のこと?

そうです。“序曲”という意味で、スペイン語で“オベルテューラ”と読みます。私がアルゼンチンに住んでいたというところから、ロックとラテンを融合させた曲になりました。ドラムのロールとかほとんどやったことのないプレイが満載で、ロールはマーチングというか、本当に難しくて。

蔦谷好位置さんの作曲「Get Up!」は、ギターがめちゃめちゃカッコ良いですね!

蔦谷さんとは1年ほど前にライヴ会場でお会いしたことがあって。駆け寄ってきて、“キミはこういうのがいいよ、こういうのもいいし…”ってブワ〜ッて話をしてくださったんです。その時はただただ圧倒されたんですけど、きっと蔦谷さんの中でその時からイメージが膨らんでいたんだと思います。打ち合わせの時も、やっぱりいくつものアイデアを持ってきてくださったので。蔦谷さんと言えば、ギターロックやダンスなので、そういう味が欲しいなということで。

歌詞は曲が上がってから?

今回は全部そうです。これはギターリフが強い曲なので、怒りをテーマにしました。ただ私、怒ることがあまりなくて…。喧嘩は苦手だし。だから、チャレンジの意味も込めて、“さぁ、今から喧嘩をふっかけるぞ!”というある種の決意表明みたいな感じです。

蔦谷さんとの作業がバチバチだったとか?

いえいえ、とてもスムースで穏やかに(笑)。私の意見もたくさん受け入れてもらえたので、変に萎縮することもなかったし。伸び伸びと、自分らしくやらせていただきました。

そして、亀田誠治さんとの曲が2曲。

亀田さんとは今回が初めましてでした。開口一番“キミがカフカちゃんか〜!”って(笑)。私のようなドラムヴォーカルというスタイルは珍しいので、亀田さんの仲間内でも話題に挙がっていたみたいです。“会いたかったんだよ”と言っていただいて、嬉しかったですね。私がドラムヴォーカルで、亀田さんはベースなので、“あとギターは誰にしよっかな?”ってウキウキしながら考えてくださって。結果ギターは西川進さんに! 最強のバックアップに私もウキウキしました。

亀田さんの1曲「さようなら あたし」はベースのリフで始まる曲ですが、どういうイメージでしたか?

これは、「Get Up!」のようにギターで始まるギターロックはあるのに、なぜベースロックはないのか?という、私の中の疑問から始まった曲で。昔からずっとやりたいと思っていた、ベースをメインにしたロックを叶えさせてもらった感じです。亀田さんも“面白いね”と言ってくださって。ベースがひたすら目立って、メロディーを牽引するイメージです。

亀田さんはメロディーメーカーとしても有名ですが、一緒にやられてどうでしたか?

デモをいただいて、すぐにメロディーが入ってきました。1回聴いただけで、帰り道にはもう口ずさんでいましたから。人の心に触れやすいメロディーというか、さすがだなと。

“さようなら あたし”というタイトルも意味深ですね。

誰しもあると思うのですが、フェードアウトしたくなる瞬間ってないですか? 私はデビュー前の暗黒時代(笑)、電車に乗っていて“このままどこまで行けるんだろう? 誰も知らない遠くで生活するのもいいな”って想像する時があって。自分がいなくなっても、誰も困らないだろうな、とか。その時代のことを、今、ふと思い返す自分がいて書いていきました。

どうやって暗黒時代を乗り越えられたのですか?

その頃一緒にいた周りの方々が、毎日飲んだくれていたダメな私のことを信じてくれたからです。私は自分のことをまったく信用してなかったけど、信じてくれる人がいるということは、私の中にまだ何かがあるんだろうと思えて。私を信じてくれる人がいること、その人を信じることで、自分というものをつなぎ止めていたと思います。

なるほど。単にさようならする歌ではないと。

そうですね。現に今、ここに私がいますから(笑)。

さらに「朝までsugar me」は、奥野真哉さんの作曲で作詞を大森靖子さん。これは非常にポップでかわいくもあり、これまでのカフカさんのイメージを払拭する一曲ですね。

奥野さんは昨年からライヴのサポートもしてくださっていて。で、大森さんはまさしくアーティストという人で…自分が平凡だと思えるくらい。最初に曲を聴いた時は、ポップなロックナンバーだと思っていたけど、大森さんの歌詞が乗った途端に“おお〜!”と。コーラスも大森さんが入れてくださって、こうも化けるのか!と驚いた一曲でした。♪ア〜アアンアンというコーラスは、元毛皮のマリーズの栗本ヒロコさんで、ヒロコさんはベースも弾いてくださっているんです。しかし、大森さんの歌詞はブッ飛んでいて本当に驚きましたね。大森さんなりに私が歌うならというところを考えて書いたそうですけど、私には一生かかっても書けない歌詞ですね。思ったのは、女の部分がすごく出る曲だということ。そういう意味では、私自身が女を磨くたびに解釈や表現方法が変わっていく曲だと思っています。

ファンの人は、これを聴いたらきっと驚くでしょうね。

そうだと思います。MVはガールズパーティーがテーマで、女の子がいっぱいで、現場がいい匂いでした!

おじさんか!

心は(笑)。

奥野さんとは少し妖しげな「Spider trap」も。

昭和感がある曲で、セクシーな私を見てみたいということで。歌よりも演奏で引っ張っていく曲なので、曲自体は長いんですけど、歌が少なめなのが特徴ですね。

女性は蜘蛛の巣を張って狙ってるみたいな?

きっと世の多くの男性は、女性の手のひらで転がされたいと思っているんですよ、なんだかんだ言って。奥野さんの曲から、そんなことを感じ取りました(笑)。

OKMusic編集部

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