【分島花音】何度も聴きたくなる後を
引く感覚の楽曲!

ニューシングル「Love your enemies」は、映画『劇場版 selector destructed WIXOSS』のメインテーマ曲。クラシックや教会音楽を取り入れたダークで疾走感がある、一度聴いたら病みつきとなる分島流の毒の効いた楽曲に仕上がった。
取材:榑林史章

映画『劇場版selector destructed WIXOSS』のメインテーマ曲の「Love your enemies」ですが、『selector』シリーズはかわいい女の子が出てくるアニメであるにもかかわらず、人の欲望や闇の部分が浮き彫りにされたとてもダークな作品ですが、クラシックやゴシックの雰囲気を携えた分島さんの楽曲がすごくはまっていますね。

そう言ってもらえて、とても嬉しいです。『selector』に関わるまでは、バラードの落ち着いた曲を多く歌っていたので、私はエンディング側の人間だと思っていました。それが初めて『selector』でアップテンポのオープニング感があるものを求められ…。せっかく私に依頼していただいたのだからと、私本来の持ち味であるクラシックの要素を入れることを思い付いて、試行錯誤でしたけど最初に作った「killy killy JOKER」(2014年)は、アニメの人気も手伝い私の代表曲と呼べるものになりました。今回で同シリーズでは3曲目になりますが、「killy killy JOKER」のイメージを残しながら、劇場のスクリーンにも負けないスケールの大きな楽曲になりました。

まず、タイトルの“Love your enemies”についてですが、これはどういう意味でしょうか?

“汝の敵を愛せよ”という聖書にある言葉です。家がカトリックなので、小さい頃に土曜学校でいろいろ教わっていたのもありますけど、資料というか、何かに使えそうだと思った言葉を常にメモ書きしていたんですね。このタイトルもメモにあったものなんです。主人公のるう子ちゃんはバトル相手が自分に酷いことをした人でも助けたいと思って行動するので、そういう彼女が胸に持っているものと通じるところがあると思って付けました。…人の幸福とは何なのか、幸福のきっかけは何か、作詞をする上ではいろいろなことを考えました。それで、闇とか暗さの中の光というか…絶望や悲惨さを表現しながら、最終的には希望となる光を描きたいと思って書いています。映画の終わりに流れるので、終わりには希望が見えるものにしてほしいと、アニメ制作サイドからの要望もあったので。TVアニメは本当に救いのないお話だったので、劇場版はハッピーエンドであってほしいと思うばかりですね(笑)。

結構トリッキーな楽曲展開になっていますね。特にサビが二段階になっている作りで、何だか不思議でした。

サビは1回転調して、サビの頭と同じ展開で終わるんです。映画ってTVアニメのように何度も聴けるわけではないので、1回聴いて“何だろう?”って思うインパクトがあって、何度も聴きたくなるような後を引く感覚が必要だと思って、あえてとても複雑なものにしているところがあります。

Dメロは教会っぽいイメージのコーラスで、そこは聖書から引用したタイトルとも通じるところですね。

そうですね。そこは結構何度も重ねて録っていて…主メロに引っ張られてしまったりとか、すごく難しかったです。他のコーラス部分も実声で録ったり、ウィスパーで録ったり、いろいろなパターンを試しながら現場で決めていきました。と言うのも、聴いた感じを優先させたくて、あえて事前に細かく決めなかったんです。だから、現場でどんどん増やしたところもあったし、逆に減らしたところもありました。

分島さんのチェロのソロもありますし、ストリングスやホーンなどが入った楽器編成もすごく豪華ですね。

携わったプレーヤーの人数が一番多いんじゃないですかね。バイオリンだけで4人いたし、トロンボーンやトランペット、フルートなどにも入っていただいて、ちょっとした交響楽団みたいです。譜面を見させてもらったら、何度も転調する曲なので、小節ごとに調子が変わっていたりとかすごく複雑で。自分で作った曲ながら、なんて大変なものを作ってしまったんだと、ちょっと申し訳なくなりました(笑)。

そういうスケールの大きなオケにも負けない、エモーショナルなヴォーカルも聴きどころですよね。

自分が歌うことは二の次にして、曲としての面白さやクオリティーを重視して作ってしまうので、毎回なんだかんだで苦戦するんですけど、今回は特に大変でした! 実際に歌う時になって、自分が出せないキーの高さだったことに気付いたりとか(笑)。頑張って何とか出せましたけど…。

ライヴで歌うのが大変でしょうね。

ライヴなんてもっと想定していないですからね(笑)。後先考えず、劇場で流れることだけを考えて作ったので。その分、スクリーン映えするサウンドになったと思うので、ぜひ映画館でも聴いてほしいです! あと、MVは『スター・ウォーズ』のジェダイをイメージしたわけではないですけど(笑)、神秘的なものにしたくて、顔が隠れる黒いローブを着て歌っています。オケをバックに歌うモノクロ調のカッコ良い映像もぜひ観てください。

カップリングには、TVシリーズのオープニングテーマ「killy killy JOKER」と「world’s end, girl’s rondo」の2曲をリミックスで収録していますね。

リミックスの2曲は劇場版の中で流れるわけではありませんが、テレビシリーズや劇場版のサウンドトラックを手掛けてくださっている方にリミックスをお願いしています。CDでも『selector』の世界を楽しんでもらえるものになっていますね。

そして、5月にはツアー『Unbalance by Me』があると。

私は音楽と絵とか、好きなものが二極化していることが多くて。ふたつのことを抱えているのは一見バランスが悪いようで、実はそれによってバランスが取れているというニュアンスのタイトルです。あと、私の音楽によって聴いてくれる方の生活のバランスを面白おかしく、いい意味で乱すことができたらという意味も含んでいます。表現をする上で、同じところには止まっていられないのが私という人間。次は何がくるんだろう?って、楽しみに待っていてほしいです。
「Love your enemies」2016年02月10日発売Warner Bros. Home Entertainment
    • 【アーティスト盤(DVD付)】
    • 1000590457 1620円
    • ※アニメ版権(デカ帯仕様)
    • 【通常盤】
    • 1000590458 1080円
    • ※描き下ろしアニメ版権(デカ帯仕様)
分島花音 プロフィール

ワケシマカノン:シンガーソングライター。3歳からチェロを始め、クラシック音楽とともに育つ。表現する、伝えるということに強い想いがあり、作詞作曲も行なうように。イラスト創作活動も積極的に行ない、ファッション画、イラストジャケットなどを自ら描き下ろす。衣装デザイン、イラスト創作、作詞、作曲と多彩な才能を発揮するアーティストとして、その才能に女性をはじめ、広範な層に支持されている。分島花音 オフィシャルHP

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • PunkyFineのそれでいきましょう!~V-MUSICジェネシス日記~
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜

ギャラリー

  • Tsubasa Shimada presents / 「Wet Crate」
  • SUPER★DRAGON / 「楽楽★PAINT」
  • OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
  • 魔法少女になり隊 / 「魔法少女になり隊明治のあったりなかったり」
  • みねこ美根 / 「映画の指輪のつくり方」
  • 嘘とカメレオン / 「猫を抱いて蝶と泳ぐ」
  • 高槻かなこ / 『PLAYING by CLOSET♪♪』

新着