【ヨシケン】夢と愛を求める人たちの
姿を描いた12の物語

インディーズから再スタートして15年。立ち止まることなく歌い続けてきたヨシケンが8作目のアルバム『THE SECRET EDEN』をドロップ! ロックンロールあり、バラードありの全12曲に込めた想いを訊いた。
取材:山口智男

メジャーデビューから数えて、今年、20周年なんですね。

え、もう?みたいな気持ちです(笑)。メジャーからアルバムを1枚リリースしたあと、しばらく音源を出せなくて、どうしよう!?って時間がすごく長かったんです。実際は数年のことなんですけど、“ヨシケン”になってからは、その鬱憤を晴らすように、会社を作るぞ!、大きな会場でやるぞ!、CDを出して全国で売るぞ!ってやりたいことが常にあったから、そこからの15年はあっと言う間でした。自分でお店を営業回りしたのも楽しかったですね。僕がインディーズで活動し始めた頃は、まだインディーズのCDは試聴機に入れてもらえなかったんですよ。だから、ラジカセを買って、それをお店に置いてもらいました。お店も面白がってやってくれたんです。面白い体験がたくさんできましたね。最初はメジャーに戻りたいという気持ちがあったんですけど、もうメジャーじゃないと思いました。今のほうが何か新しいものがあるという気がしたんです。

昨年、リリースした前アルバムは“MY ROCK'N ROLL IS NOT DEAD”というタイトルでしたが、これまで精力的に活動してきたヨシケンさんが、なぜそこでもう一度、“NOT DEAD”と言う必要があったのでしょうか?

去年は何度目かの自分の転機だったんですよ。ひとつの作品として聴いてもらえるものを作るところに戻っていきたいという気持ちがあったんです。インディーズになってからはどちらかと言うと、歌詞も含め、ライヴでぱっと聴いて、直感的にいいと思ってもらえるものを作っていたんですけど、昔はもっとストーリーを重視していたんです。前作ぐらいからそういう曲はそういう曲であってもいいよねって作り方にちょっと変わったんです。

それで今回、“生まれる前から俺たちは愛し合っていた…”というコンセプトを立てたわけですね。

それは後付けで、コンセプトに合わせて書いたわけではないんですけどね。最初はただ“あの曲はこういうストーリーだったね”って聴いた人に思ってもらえる曲を作りたかっただけで。例えば「JUMP」って曲は、僕が昔、バンドをやっていた頃の話なんです。売れるなら何でもいいと思っている主人公とバンドのオリジナリティーを守ろうとしているギタリスト。対立しているふたりがステージで一緒に演奏していた、夢に向かって頑張ろうぜ!って曲は、今思えば、俺らのことを歌った曲だったよねっていうストーリーがそこにはあって。単純に愛や夢を歌っているものとは違うものになっているんですけど、今の自分が夢を伝えたいと思う時に考えるのは、信じてれば夢は叶うなんてウソじゃんって。そこにはいろいろなことがあるじゃないかってこと。ただ、僕自身は良かったことも悪いことも全部の体験が良かったと思えるから、瞬間瞬間を大事にしてほしいという気持ちをそこに込めています。

「JUMP」も含め、実体験がもとになっているのですか?

実体験もあれば、そこにいろいろなものをミックスしたものもあります。モチーフになる出来事を感じるチャンネルも、年齢とともに変化しているから、それこそ今なら葬式での会話でも曲にできる(笑)。その意味では、いろいろなところにヒントがある。曲作りが楽しくなってきました。

メジャーでリリースしたアルバムからの2曲の新録バージョン以外の曲は前作リリース後に作ったものなのですか?

1曲だけ10代の頃に作った「Baby come back」という曲もあります。そういう曲も入れるようにしています。若い頃に作った曲の中には、恥ずかしいから2度とできないって曲もあるじゃないですか(笑)。でも、恥ずかしければ恥ずかしいほどやったほうがいい。カッコ良いことって恥ずかしいことの裏側にあるんじゃないかって思うんですよ。ライヴのお客さんは高校生の男の子が多いんですけど、そういう恥ずかしい曲がウケることが多いし、クサい曲は徹底的にクサいほうがいい(笑)。それぐらいやらないと伝わらないんですよ。それに、もう照れる年齢でもない。23歳の時だったら、絶対に嫌だ!って思ったかもしれない。20年やってきたおかげでできることのひとつがそれですよね(笑)。

ヨシケンさんと年齢が近いせいか、王道のロックンロールサウンドに思わずほっとさせられるようなところもありました。

(笑)。18歳の時、たまたまスタジオにとある大物シンガーのバックを務めているギタリストが来たことがあったんです。当然、うまいんだけど、僕より三世代は上、古いと感じたんですよ。やっぱり、それぞれに聴いてきたその時代の音ってあるじゃないですか。僕も若いギタリストを入れたこともあったんですけど、足掻いたところで自分が聴いてきたものがエキスとして出てきてしまうから、体裁を繕ってもつまらない。そういうことをやらなきゃいけない立場の人もいて、それはその人たちの闘いだからいいんですけど、僕はライヴをやりながら若い子たちに伝わるものをチョイスして自分らしいことをやっていきたい。そうじゃないとインディーでやっている意味がないですからね。そう言えば、若いギタリストを入れようかって話になった時、バンドのメンバーみんなベテランなんですけど、年齢が同じなら絶対負けるわけがないって全員が言ったんですよ(笑)。面白いと思いましたね。

レコーディングはどんなふうに?

スタジオで“あれやってみよう、これやってみよう”ってビートルズがやっていたようなことを体験できた世代なので、今もそういうやりかたでやっています。Pro Toolsで何でもやれちゃうんですけど、全部、生で録ってます。できた曲が良いとか悪いとかよりも、人間が携わっているほうが熱があるんで。8ビートのギターをワンコーラスだけ録って、貼って、貼ってじゃなくて、全部通して弾いたら、ワンコーラス、ツーコーラスを経てのスリーコーラスみたいな。ちょっとの差があるんですよね。そこを大事にしないと良さが出ない。機械でやったらロックンロールなんて何も面白くない。カレーだって多少じゃがいもがゴロゴロしていたほうが美味いじゃないですか(笑)。ベースにそういうトラディショナルなロックンロールのテイストを持って、自分なりにいいと思うことを試すという古いやり方です。だから、レコーディングは楽しいですよ。
『THE SECRET EDEN』
    • 『THE SECRET EDEN』
    • VSRC1032
    • 2014.11.05
    • 2500円
ヨシケン プロフィール

ヨシケン:本名の吉井賢太郎としてVAPよりメジャーデビュー! メジャーでの契約終了後、“ヨシケン”を名乗り活動。以後コンスタントに作品を発表する。路上の手売りで渋谷公会堂などのライヴを成功させたことが話題に。2016年、17年と2年連続赤坂BLITZにて単独公演を行なう。03年に自ら新レーベル『Vanilla Sky Records』を設立しており、自身の活動と並行して若手アーティストのプロデュースや育成にも奮闘中! ヨシケン オフィシャルHP

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