【ササノマリイ】感情を包み込む、メ
ロディアスで繊細な音絵巻

ネットを中心に人気ボカロPとしても活躍するねこぼーろが、本人歌唱によるササノマリイとして、初の全国流通盤『シノニムとヒポクリト』をリリース。リアルな言葉を大事にした、エレクトロニカをベースとするロックサウンドが魅力的な新しい才能だ。
取材:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

音楽活動を開始したのはいつ頃なのですか?

中学生の頃からDTMをやっていました。中学2年生の時に初めて家にパソコンがきて、パソコンで曲が作れるということを知って、フリーのMIDIシーケンサーを落として遊びで始めたというのが最初でしたね。

最近はEDM周りのクリエイターも、フリーのソフトの組み合わせでサウンドを作ってきた人が活躍されていますよね。今ってそうやって音楽を始めてきた人たちがぐんぐん伸びてきている時代なんですね。

打ち込みでずっとやってきたんですけど、生の温かさみたいなものに憧れもあるんです。理想はrei harakamiさんみたいな電子音だけど、温かみがあるサウンドですね。そんな世界に少しでも近づけないかなと考えながら活動してます。

楽曲では歌をすごく大事にされてますよね?

もともとは歌に対して執着はなかったんですよ。最初に曲を作り始めた時は、インスト音源が中心でした。でも、しばらくして“メロディーを奏でるモノがあったほうがいいんじゃないか?”って思って、そう考えた時に歌っていう楽器があったらいいなって思ったところがスタートです。それがボーカロイドを使っての活動につながりますね。なので、歌はあくまでメロディーを奏でる楽器ってイメージです。

ササノさんがボカロを始めた頃って、ボーカロイドカルチャー的なところで言うとどんな時代でした?

ちょうどkz(livetune)さんが「Packaged」を出したあたりですね。

ササノさんの世代は、ハチさんやじん(自然の敵)さんなど、同年代に優れた才能がたくさんいますけど、刺激を受けた方はいらっしゃいますか?

ボーカロイドからの刺激はkz(livetune)さんとかcelluloidさんとかですね。ボーカロイドとしての表現方法面でかなり刺激を受けました。音の影響としたら、『ひぐらしのなく頃に解』のED曲「対象a」の作曲をしているbermei.inazawaさんですね。ネット的なところで言うとimoutoidさんにも影響を受けました。

なるほど。ササノさんの今回の作品を聴いていると、「オノマトペメガネ」や「弾けないギターを片手に」など狭いシーンだけではなく、もっと大きな世界へ向けて歌によるメロディーやメッセージを伝えているように感じました。今回の作品『シノニムとヒポクリト』を作る上で大事にされたことはありますか?

アルバムのテーマとして“自分の中の反対側の自分”というのがありました。音はずっとこだわっているんですけど、これまでの作品に比べて、今まで出してきたものと違う雰囲気にしたいなって思いました。なので、全部イチから作り直してますね。ボカロも続けていくけれど、自分自身が全部やるというササノマリイでの活動は、また新しい見え方のする表現をやっていきたいと思ってます。

歌詞の世界観ではティーンが抱えている悩みを伝える作品や、物語的なテイストなど両面ありますが、言葉の世界はどんなきっかけで生まれてくるのでしょうか?

半分が実話で、半分がフィクションですね。メッセージ的なものが強いと感じてもらえた作品は実話のものが多いと思います。もともと、はっきりメッセージを伝えるのが恥ずかしかったのですが、音楽を通じてできる限り自分の思う言葉で、自分が好きな響きの言葉を使って作品にしていきたいと考えてます。

自分の中で表現したい欲求は掴めている感じですか?

自分が納得のいくものを作りたいと思っています。人と同じことをしたくないのと、あえて隙間に入っていきたいという気持ちですね。ボカロで言ったら、速くてジャカジャカしているサウンドって、わりと流行るジャンルだと思うのですが、自分ができる範囲で、人とは違うものは何だろう?って考えてきたことが、今の活動につながってます。

「戯言スピーカー」は今回英語バージョンも収録されていますが、これは意図があるのですか?

1曲目に「戯言スピーカー」があって、7曲目が「シノニムとヒポクリト」なんですけど、実は曲の構成が一緒なんです。なので「シノニムとヒポクリト」のオケで「戯言スピーカー」が歌えるんですよ。英語版はオマケ的にとらえてもらってもいいんですけど、「戯言スピーカー」で始まって「戯言スピーカー」で終わるのが作品として一番締まりが良いかなと思って収録してみました。あと、YouTubeとかに英語や中国語の書き込みとかも結構あったので、海外の方にもストレートに伝えることができたらと思ってトライしてみました。

自分の中で目標や夢はありますか?

言葉で言うとかなり具体的になっちゃうんですけど、できる限り自分のオリジナルな作品を作り続けて、広い表現方法でやっていきたいです。理想としては自分が出したもので全ての人を納得させることができたら嬉しいですね。それは本当に究極な夢ですけど、評価されないといられない自分がいるんです(苦笑)。

最後にファンの方へメッセージをお願いします。

今作は今までの自分の反対側も出せたので、ねこぼーろと比べて聴いてもらってもいいし、ササノマリイ単体として別物として聴いていただいてもいいと思います。ササノマリイでは今までやってこなかった音使いもしていきたいので、これからも楽しんで聴いてもらえたら嬉しいです。
『シノニムとヒポクリト』
    • 『シノニムとヒポクリト』
    • DGUR-10001
    • 2014.10.15
    • 1944円
Sasanomaly プロフィール

ササノマリイ:エレクトロニカ、クラブミュージックに深い影響を受け、耳に残るメロディーラインと融合された深度のあるサウンドデザインが特徴的なビートメイカー/プロデューサー/シンガー。2017年には映画『3月のライオン』の主題歌になったぼくのりりっくのぼうよみの「Be Noble」のサウンドプロデュースをするなど、プロデューサーとしても多くのアーティストの作品に参加。また、過去の映像作品が動画サイトvimeoのstaff picks、『アヌシー国際アニメーション 映画祭 2016』委託作品部門(フランス)、『Anifilm』(チェコ)、『Golden Kuker-Sofia』(ブルガリア)など数々の映像、アニメーションフェスティバルにて入賞するなど、音楽のみならずアート方面での注目度も高い。 Sasanomaly オフィシャルHP

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