L→R KOHKI(AG)、KAKUEI(Per)、TOSHI-LOW(Vo&AG)、MARTIN(Vo&Violin&AG)、MAKOTO(Ba&Cello)、RONZI(Dr)

L→R KOHKI(AG)、KAKUEI(Per)、TOSHI-LOW(Vo&AG)、MARTIN(Vo&Violin&AG)、MAKOTO(Ba&Cello)、RONZI(Dr)

【OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND
】そこにまた、新しいものが生まれる
んじゃないか? 

結成から10年目で見えてきた新たな景色。最新作『FOLLOW THE DREAM』に込めた心地良さと楽しさ、その裏側にある悲しみの情景について語る、TOSHI-LOW(Vo&AG)の言葉はこれまで以上に力強く、やさしいものだった。
取材:宮本英夫

(表紙が高橋優と片平里菜の、本誌VOL.119を渡して)前号はこんな感じだったんですけども。

おっ。

ふたりともTOSHI-LOWさんとすごい関係あるんですよね(笑)。そう言えば、片平里菜さんのアルバム(『amazing sky』)の特典映像をちらっと観たんですけど、TOSHI-LOWさん、里菜さんに歌い方のことを言ってましたよね。ちょっと、正確には聴き取れなかったんですけど。

あぁ、あれはね…「amazing sky」という曲の、“スカーイ”という部分を伸ばして歌ってるところだと思うんだけど、 “空”が思い浮かぶような言葉をどうやって発するか?ということ。自分が吐いた言葉が相手に映像として伝わらないと意味ないよ、という話をしたの。

あぁ、なるほど。

声がよくて歌が上手い人って、逆になっちゃうんだよね。俺なんかは歌が下手だし、これしかないから、届けるために何をするか?と思ってきたんだけど。例えば、すごい高い声が出るという技術が先行しちゃうと、それは結局ピアノで同じ音が鳴ってるのと一緒じゃない? それと言葉が鳴るのとでは全然違うんだよ、という話を、たぶんしたんだと思うけど。俺が言ってるのは、そこを伸ばし切るとか、ピッチを正確にすることじゃないんだよ、それはできてると思うよって。…偉そうだよね、自分ができてないくせに。

あはは。そういうものですかね。

人には言えるんだよね(笑)。キャバクラに行って、キャバ嬢に説教してるオヤジみたいだよ。

そんなことはないですけど(笑)。最近のBRAHMANとOAUって、そうやって片平里菜さんや高橋優くんの曲に参加したり、すごくフレキシブルな活動になってきてますよね。

俺はほら、インディーとメジャーの間みたいな、中途半端なところにいるからさ。インディーの中で意志を持って、ずっとやり続ける人もいる。でも、高橋優とか片平里菜のように、メジャーフィールドで伝えてもらったほうが早いこともあるじゃない? それはすごく大事なんじゃないかなと思う。だから、もっともっと売れてほしいなと思うよね。

それで、OAUの今回のニューアルバムなんですけど…。

どうでした?

いいです。すごくいい。

…俺もそう思ってます(笑)。自分の耳がおかしいのかな?と思ってたんだけど。自分だけが舞い上がっちゃって、いいと思い込んでるのかな?とか。

本当に気持ち良いです。心と体の凝りが、揉みほぐされる気がします。

俺もレコーディングしてる段階からそう思ってて、これはすごく心地良いなと。歌ってても心地良いんですよ。

今まで一番、楽しいという感情を素直に感じられる作品だと思いますよ。

その楽しさの後ろに、人生の哀愁があるわけじゃない。大事なのはそこで、俺たちはもう人生の折り返し地点をすぎてるわけだから、楽しくても、どこまでも悲しさは付きまとう。それが20代の時だったら、悲しさというか、虚無感や焦燥感が強く出ていたわけで、BRAHMANだったら『A FORLORN HOPE』(2001年発表の2ndアルバム)の時期みたいな、全ては一瞬で燃え尽きて終わってしまうんじゃないか?みたいな。あの時はあれで良かったんだと思うし、あの時に今の余裕感が出ていたら、逆に終わっちゃったかもしれない。

あぁ、そうかも。

だから、今の年齢でこれは、自分でもすごくいいんじゃないかと思う。あと、これはオッサンの域を超えて、おじいちゃんの年になるまで遊べる道具なんですよ。アコースティックというのは。ロックもできるんだろうけど、やっぱり無理あるよね。分かんないけど。ザ・チーフタンズとか、ああいうおじいちゃんたちのバンド、いいじゃない?

いいですね。個人的には「朝焼けの歌」にヤラれました。これは本当にいい曲。

いいよね。俺、自分の曲で初めて、号泣したからね。

えっ。

シャッフルで音楽を聴きながら、ライヴ前にランニングしてたら、たまたま「朝焼けの歌」が流れてきて…その時まだタイトルは付いてなかったんだけど、ぶわーっと涙が出てきて動けなくなって。というのは、ランニングしてた場所が大船渡のフリークスの近くで、津波で更地になった場所なんだけど。近くに津波で曲がっちゃった時計が残してあって、そこで「朝焼けの歌」が聴こえてきた瞬間に…自分の作った歌で号泣したのは初めてだね。どうしようもなくて。

あぁ…それはすごい話。

たぶん、歌ってる言葉と同じ情景が見えたからじゃないかな。この歌を初めてどこかのライヴでやった時も、初めてなのに泣いてる人がいたし、みんな同じ映像がポンと浮かぶんだろうね。それは絶望的な情景かもしれないけど、何もないんだけど、そこにまた新しいものが生まれるんじゃないか?という期待があって終わるという。

ですね。

俺は結局、BRAHMANでもOAUでも、同じようなことを書いてきたんじゃないかと、今となれば思うんだけど。エッジの立ち方がどっちを向いてるかの違いだけで、絶望のままバン!と終わらせることもあるけど、それがあまりに絶望的だと、逆に終わったあとに次を期待する気持ちもずっとあったし。そこまでいかないと、分かんないんですよ。人間の深さは。そういう意味では、振り切った生き方をしてきて良かったなと思います。

ライヴ、楽しみにしてますよ。9月13日と14日に行なわれる『New Acoustic Camp』も、今年で区切りの5年目ですし。

『New Acoustic Camp』とOAUは、切り離せなくなってきてるよね。OAUでやってることが、『New Acoustic Camp』の思想だと思ってるし。

それがどんどん見えてきた?

見えてきたね。自分たちの遊び場を自分たちで作っていく、ただそれだけ。すげぇシンプルな話だよ。バンドもそうじゃない? シンプルなことに対してギミックやハッタリはいらなくて、“楽しい”という言葉を発するために努力するだけ。だって楽しいことって、苦労とは思わないじゃない。“好きこそものの上手なれ”というのは、本当に正しいなと思う。好きなことを見つけられた大人はすごい幸せですよ。
『FOLLOW THE DREAM』2014年09月03日発売TOY’S FACTORY
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • TFCC-86487 3500円
    • 【通常盤】
    • TFCC-86488 2800円
    • ※「Making Time」「夢の跡」「Pilgrimage〜聖地巡礼〜」iTunes先行配信
OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND プロフィール

オーヴァーグラウンド・アコースティック・アンダーグラウンド:BRAHMANのメンバーを含む、アコースティック・ユニット。フロリダ出身のスコットランド系アメリカ人のMARTIN(Vo&Gt&Violin)が、打ち上げでTOSHI-LOW(Vo)と対面し、MARTINの申し出をきっかけに結成されたこのバンド。2005年結成、同年9月に下北沢QUEで初ライヴを行う。05年11月リリースのVA『THE BASEMENT TRACKS‐10 YEARS SOUNDTRACK OF 7STARS‐』、06年5月リリースのVA『ROCK THE ULTRAMAN』等の参加を経て、06年7月にリリースされた1stアルバム『OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND』で全貌を現したその音世界は、アコースティックというカテゴリーを超越。ロックのみならず民族音楽の要素を基盤に持つBRAHMANの音楽性も上手く作用し、他に類を見ないオリジナリティー溢れるサウンドへと結実した。また、MARTINとTOSHI-LOWの2人による英語詞ヴォーカルも深い味わいを醸し出しており、ブリティッシュ系トラッド・フォークの匂いも漂っている。07年5月、ミニ・アルバム『all the way』を発表。09年11月、アルバム『New Acoustic Tale』をリリース。11年4月にはプロデュースに箭内道彦を迎えて、ミニ・アルバム『夢の跡』をリリース。14年9月、約5年ぶりとなるアルバム『FOLLOW THE DREAM』を発表した。BRAHMANでの活動共々、注目に値するグループであるのは間違いない。OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND オフィシャルHP

BRAHMAN プロフィール

ブラフマン:1995年、都内を中心にライヴ活動をスタート。96年に『grope our way』を発表(現在廃盤)。1stアルバム『A MAN OF THE WORLD』がインディーズ史上、異例の60万枚以上のロングセールスを記録。徹底した激しいライヴスタイルとその存在感は他の追随を許さないバンドとして、熱狂的にオーディエンスやバンドから支持されている。2018年2月には日本武道館での単独公演が決定している。BRAHMAN オフィシャルHP

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • PunkyFineのそれでいきましょう!~V-MUSICジェネシス日記~
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜

ギャラリー

  • Tsubasa Shimada presents / 「Wet Crate」
  • SUPER★DRAGON / 「楽楽★PAINT」
  • OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
  • 魔法少女になり隊 / 「魔法少女になり隊明治のあったりなかったり」
  • みねこ美根 / 「映画の指輪のつくり方」
  • 嘘とカメレオン / 「猫を抱いて蝶と泳ぐ」
  • 高槻かなこ / 『PLAYING by CLOSET♪♪』

新着