【Wienners】『GOKOH TOUR 2016』20
16年11月18日 at 恵比寿LIQUIDROOM

撮影:星野健太/取材:帆苅智之

 ライヴ中盤のMCで∴560∵(Ba&Cho)が、アルバム『GOKOH』のことを“めちゃくちゃ内容が濃い”としみじみ語っていたが、まさにその通りで、この“濃いアルバム”は2016年のWiennersのみならず、今後もこのバンドの重要な位置を占める作品だと思う。この日のライヴでそれを確信した。『GOKOH』の中のいくつか──「おおるないとじゃっぷせっしょん」「TRY MY LUCK」「座頭市」辺りは今後も彼らのライヴにおける定番曲となることは間違いないだろうし、彼らはその定番曲を超える楽曲(或いはその対極にある楽曲)を作り出すことに腐心し続けるであろう。何年か経った後、『GOKOH』がWiennersの作品的なターニングポイントであったと振り返ることは、これまた間違いないと思う。

 オープニングはSE的なアップチューン「DIAMOND DUST」から始まり、「VIDEO GIRL」まで、ダンスチューンを中心に一気に駆け抜けるような構成。いきなりのモッシュ&ダイブでオーディエンスもWiennersを待ちわびていたことが分かる。演奏もその期待に応えるかのようにガチッとはまっていた。MCをはさみ、それ以後、中盤までは、言わばバラエティー・セクション。オリエンタルでオキナワンな「天地創造」、昭和アイドル・ソング的な「片瀬江ノ島」から、コア系ミクスチャー「Idol」&「Go Anti Go」までタイプは異なる楽曲を並べながらも、曲間を同期でつなぐDJ的な手法で、ノリを途切れさすことなく聴かせる辺りは実に巧みだった。そこから中盤のハイライトと言ってよい「座頭市」「南無阿弥陀のリズムにのって」というファンクにつなげるのだから、結構贅沢なセットリストであったとも言える。

 中盤以後もオーディエンスの反応はすこぶるいい。とりわけ「おおるないとじゃっぷせっしょん」でオーディエンスが“Oi!Oi!”とステージを煽る様子は、ファンがWiennersを精いっぱいに求めている気持ちが伝わってきた。新曲であるにもかかわらず、このレスポンスの良さは、この曲のキラーチューンっぷりをいかんなく見せつけていたと思う。「シャングリラ」もよ良かった。アサミのタンバリンに合わせてリズミカルに手を振る観客は心からライヴを楽しんでいる感じで、清々しい印象すらあった。余談だが──この日の「シャングリラ」では、《T.O.K.Y.O.》を《G.O.K.O.H.》に変えてコール&レスポンスしていたが、Wienners及びこの楽曲がさらに有名になれば、これは各地で応用が効くだろう。また、2020年の東京五輪向けでもあると結構マジで思う。

 すでにライヴの定番と言える「蒼天ディライト」「LOVE ME TENDER」に続いて、締めは「TRY MY LUCK」。《賽を投げぶっこめ/始まりの音が響いたなら/正気の沙汰ではいられない》《この手に勝ち取れ/果てない世界に気付いたなら/もうこのままではいられない》と、Wiennersが邦楽シーンに立ち向かう姿をギャンブラーに重ねた新曲で、そのスピリッツから考えてもフィナーレに置くに相応しいナンバーだ。冒頭で述べた通り、この楽曲も今後、The Rolling Stonesにおける「Brown Sugar」的な、彼らのライヴでは欠かすことができない楽曲になることだろう。

 アサミサエ(Vo&Key&Sampler)とKOZO(Dr)が加わり、Wiennersが現体制となって約1年半。バンドとしての形が完全に整ったことはアルバム『GOKOH』でもはっきりと確認できたが、今回のツアーではそこからさらに逞しくなったバンドの姿を見ることができた。また、偶然にも幸いなことに、このファイナルの1カ月前、ツアー初日の新潟公演も観ることができ、わずか1カ月の間にバンドが大きく成長することも目の当たりにした。2016年、Wiennersの成長曲線はかなり素敵な上昇カーブを描いてきたと言えるが、もちろんここが彼らの到達点なんかではない。今年はさらなる躍動への準備を整えた年だったという見方もできる。2017年、Wiennersはもっと伸びる。この日のライヴを観たひとりとして、そう断言させていただきたい。

セットリスト

  1. DIAMOND DUST
  2. Cult pop suicide
  3. レスキューレンジャー
  4. ジュリアナ ディスコ ゾンビーズ
  5. VIDEO GIRL
  6. 天地創造
  7. 片瀬江ノ島
  8. ドリームビート
  9. ELECTRIC FOR YOU
  10. UTOPIA
  11. Idol
  12. Go Anti Go
  13. 座頭市
  14. 南無阿弥陀のリズムに乗って
  15. おおるないとじゃっぷせっしょん
  16. ASTRO BOY
  17. Justice 4
  18. 龍宮城
  19. さよなら浦島太郎
  20. シャングリラ
  21. Love2060%
  22. Hello, Goodbye
  23. 蒼天ディライト
  24. LOVE ME TENDER
  25. TRY MY LUCK
  26. <ENCORE>
  27. 姫君バンケット
  28. 午前6時
  29. 子供の心
Wienners プロフィール

2009年初頭、玉屋2060%を中心に吉祥寺弁天通りにて結成。パンク畑出身の瞬発力と鋭さを持ちつつも、どこかやさしくて懐かしい香りを放つ男女ツインヴォーカルの4人組ロックバンド。予測不可能だけど体が反応してしまう展開、奇想天外かつキャッチーなメロディーで他に類を見ない音楽性とユーモアを武器にさまざまなシーン、世代、カルチャーを節操なく縦断し続けている。Wienners オフィシャルHP

OKMusic編集部

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