【阿部真央】ありのままの自分である
ことに自信が持ててきた

こういう作品を作れたのは 今後の自分
の糧になる

7曲目の「天使はいたんだ」は希望を感じる曲だなと。今までの楽曲とは違った相手との距離感があるというか。

確かに、書いたことなかったかもしれないです。幸せな感じがしますよね。私、この曲すごい好きで。天使って舞い降りてくるんだなぁとか思ったりしたんですよ、いろんな人と出会う中で。それって幸せを感じた時に思ったんですよね。この曲は男性目線で歌っているんですけど、いつも男性目線の曲を書く時は、こういうふうに自分が言われたいから書いてきたんですよ。だから、こういうふうに自分のことを思ってもらえていると思えている瞬間が出てきたんだなって。《僕は絶対 君を諦めたりしない》とか《こっちへおいで》っていうような受け入れる姿勢みたいな歌を書けるようになったんだと思ったんですよね。なんかその辺も、大人になったなぁって(笑)。ひとつこういう作品を作れたっていうのは、今後の自分の糧にはなりますよね。

これまでとテイストが違う曲ということでは、「返して」もなのですが…電気グルーヴかと思いましたよ(笑)。

そうー! もうね、ハマっちゃって。ああいう曲を私も書きたいって(笑)。完全にインスパイアされてます。

テクノポップというか、EDM サウンドであっても、メロディーがいいのが阿部真央らしさなんですけど、歌詞が…(笑)。

歌詞に関しては全然意味はないです(笑)。《三万円》《還元セール》の繰り返しから始まって、“還元”っていうことは返すってことだから、タイトルも“返して”になって(笑)。友達に聴かせたら“こういう曲作るんだ~”って。で、 “三万円、三万円、さんまは三枚おろしがいいな”って、その人が歌い出したんで(笑)、それも歌詞にしようよって。だから、そんなふうにふざけて作ったような曲なんで、メロディーのことは何も考えずに作ったから、そうやって言ってもらえると嬉しいですね。もちろん、曲として作るなら本気でやったほうがカッコ良くなると思って、歌ももちろん本気で歌って…めちゃめちゃ時間かかりましたよ、こんなに歌詞少ないのに!

遊ぶからには本気でやらないとね(笑)。

そうなんですよ。すごい嬉しいです、そうやって言ってもらえて(笑)。

そういう曲があって、また無常観のある「怖い話」なのですが。

この曲も“無い、無い、無い”ってお風呂でずっと言ってて…やっぱり繰り返す系にハマってたんですよ(笑)。“ 無い、無い、居場所など”って何も考えずに口ずさんでいたから、“ 何がないのか?”“ 居場所がないっていうのはどういうことなのか?”って考えて…その後のAメロの《僕らは試されていたんだ》っていうのが出てきたから、学生の頃のこと…ちょっとした嫌がらせを受けていたことを思い出しながら、“ あぁ~、イライラしてきた!”と思って(笑)。“許してないんだよ”っていう。

でも、その想いは最後に自分に返ってくるんですよね。それが「最後の私」のところとも似てると。

そういう落とし方にハマっているのかもしれないですね、今。

あと、この曲で出てきた“居場所”という言葉なのですが、アルバム中に何回か出てくるので、常に真央さんは居場所を求めてるのかなとか思ったり…。

すごい思ってる! 自分の存在を許してくれる場所とか、自分っていうものを許してくれる存在をすごく求めてる。で、それは家族でも友達でもなく、恋人とかパートナーになる人に求めてしまうんですよ。だから、全面的に私という存在を許してくれて、認めてくれるような人を求めていて、それが出てるのかもしれないですね。「怖い話」は友達との関係の中での経験を歌った曲ですけど、昔から“居場所”という言葉にはすごく敏感かも。

そういう“居場所”というのは、そこに自分を居させてもらうわけじゃないですか。だから、“捨てられる”という不安感が常にあるから、そういう言葉も歌詞に出てくるのかなと。

なんで分かるんですか!?(笑) それに関してもいつも思ってて、好きな人ができたとしても、すぐに“嫌われるんじゃないか”とか、“捨てられるんじゃないか”とか思いがちなんですよね。やっぱり自分に心底自信がないんですよ。だから、自分が自分の居場所になってあげられないっていうか。誰も別に頼らせてくれないわけじゃないし、むしろやさしい人のほうが多いと思ってるんですね。ただ、自分というものに心底自信がないから、自分を許してくれる居場所をすごい求めていて。そういうのは本当に弱さだと思うし、それは私独特のものだなと思ってて。そういう私だからいろんな曲が書けるというか、女子のみんなに共感してもらえるような曲が書けているから、“今はこれでいいや”ってやっと思えるようになってきたんですけど、根底にはそういう枯渇した部分がずっとあるんでしょうね。

歌詞の書き方が変わって、より自分の気持ちの深いところが出るようになったから、そういう根底の部分が見えてくるんでしょうね。

見えてくるようになったのかも。怖いよー(笑)。でも、隠してるわけではないから、そうやって見つけてもらうと嬉しいですね。

そんな今回のアルバムを作って、どんな自分が発見できましたか?

無理のない自分かな、今回は。前回のアルバムはね、すごい自信を持って“自信作ができました”とか言ってたんですけど、虚勢を張ってた部分もめちゃめちゃあったと思うんですよ。制作の段階から自分が真ん中に立ってやるっていうことで、すごい責任を感じていたし。かつ、私はプライドも高いから、人に馬鹿にされないようにとかもあって。でも、今回はそういう部分がまったくないし、楽にやれている自分をアルバムを作っていく中ですごい感じていたんですね。あと、楽曲もストレスなく、楽しく生み出せたし、そういうアルバムについて喋れてる自分に対しても無理がない。ありのままの自分であることに自信が持ててきたのかなって思いますね。
『貴方を好きな私』2013年08月28日発売PONY CANYON
    • 初回限定盤(DVD付)
    • PCCA-03888 3400円
    • 通常盤
    • PCCA-03889 2900円
阿部真央 プロフィール

アベマオ:1990年1月24日生まれ、大分県出身。06年、高校2年生の時に『YAMAHA TEENS' MUSIC FESTIVAL』の全国大会で奨励賞を受賞。09年1月にアルバム『ふりぃ』でデビュー。感情的なアコギで押し出す、等身大でリアルな歌詞、表現力豊かなヴォーカル、バラエティーに富んだ楽曲、同世代の女性を中心に、幅広い層から注目と共感を集める。14年10月にデビュー5周年を記念して初の日本武道館公演を開催。16年5月、産休明け第一弾シングル「Don’t let me down」で完全復活を果たし、デビュー10周年となる19年1月にはベストアルバム『阿部真央ベスト』を発表し、2度目の日本武道館公演を成功させた。阿部真央 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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