【PUSHIM】恥ずかしいくらい、私の素
が出た作品です。

PUSHIMが約1年8カ月振りに完成させたオリジナルアルバム『It's A DRAMA』は、日々の生活の中で彼女自身が感じた思いをレゲエのサウンドに乗せた、まさにヒューマンドラマのような作品だ。生命力に満ちた彼女の歌が、熱く胸に響く。
取材:土屋恵介

新作『It's A DRAMA』は、オリジナルアルバムとしては前作『MILESTONE』から約1年8カ月振りの作品となります。 その間には震災もありましたし、PUSHIMさんご自身は出産と、いろいろな変化を経ての今の思いが詰まったアルバムに なった印象がありました。

まさにそうですね。“It's A DRAMA”ってタイトルにしようと思ったのは、去年の頭くらい…制作が始まってからなんです。子供が生まれたのもあって、自分的には恋愛が生活にない状態でアルバムを作るのが初めてだったんです。

恋愛なしで作るのは初だったのですか?

はい。今までは人を好きになったり振られたり、良いことでも悪いことでも心が動くところで曲を書く作業があったけど、今回は急に恋愛するとかないなと分かったので(笑)、自分でストーリーを作るアルバムもあっていいのかなと。それを逆手にとって“It's A DRAMA”ってタイトルにしようと思ったんです。でも、いざ作ってみたら、個人的なものが詰まっちゃって(笑)。

結果的に、人生的なものが歌われていったと。

そうなんです。どう生きていくかが全ての曲のテーマになりましたね。

サウンドも、比較的落ち着いた曲調が多いですね。

基本はベーシックなレゲエを意識して作りましたね。でも、踊れる曲が欲しくて、90年代のダンスホールっぽい感じの「Oh-Oh」を作ったんです。

歌に関しては、柔らかい雰囲気が出ていますね。

歌への意識は変わってます。今回、落ち着いたキーにしたし、今までと違って全部がハイトーンじゃないんです。あと、ちょっと前は完璧に歌いたかったんですけど、ちょっとブレてるのも人間らしくて良いなと思えるようになりましたね。

では、楽曲に触れながら話を進めていきましょう。1 曲目の「It's A DRAMA」は3.11以降の不安定な世の中を、自分ら しく生きていく改めての意思表示に受け取れました。いろいろ な人に起るドラマを優しいメロディーで包んでいくような強さがありますね。

これは一番最後に録った曲なんです。個人個人の幸せの強弱は違っても、悲しみと喜びを繰り返して生きていくのは変わらないって30代後半になって気付いて、それを言葉にしたかったんです。人生って良いこと悪いことの繰り返しばっかりだなって(笑)。

本当、そうですよね(笑)。そして、「HEAT」はEGO-WRAPPIN'をフィーチャーしたナンバーなのですが。

昔から仲良くさせてもらってたんです。よっちゃん(中納良恵)は、しゃべっても相通じるものがあるんですよ。デビューの時期もあまり変わらないし、よく周りから“ふたり似てる”ってお互い言われてて(笑)。震災の時の「a song dedicated」によっちゃんは参加してもらったし、EGO-WRAPPIN'として一緒に作りたくてお願いしました。

心地良いメロディーのレゲエで、歌詞は心の中の熱さを感じました。制作はどのように進めていったのですか?

3人でスタジオに入って、明るいのがいいよねって作っていきました。森(雅樹)くんが奏でるコードに、ふたりでメロディーを作って。レゲエのビートですけど、でも森くんのコード感がEGO-WRAPPIN'っぽいし、よっちゃんが考えたメロディーの部分に自分が乗っかるのが嬉しかったです。歌詞の内容は、別々の世界で頑張ってる姿を見て、自分ももっと頑張ろうというのが醸し出せたらいいなって書きました。

聴く人の心にも火を灯すような力がありますね。共作してどんなところに刺激を受けましたか?

よっちゃんは身を削って音楽を表現してるというのが、ものすごく刺激になりました。私はすぐ諦めるタイプなんで見習わなきゃって(笑)。ふたりとも表に見えないけど、音楽への情熱がすごく熱い。それがカッコ良いですね。

まさに“HEAT”なふたりだったと。そして、「That's my blues song」は辛い状況の中に音楽が救いとしてあったと歌う、スウィートソウルなフレイバー曲ですね。

これはアルバムで最初にできた曲で、一番辛い時期にできたものなんです。こんなにもいろんなことが自分に起きるのかって状況で、それでも幸せだって自分に言い聞かせるように作ったんです。昔好きだった曲って、結構歌詞覚えてるじゃないですか。印象深いことはきっちり覚えてる。それは生きてるからだし、幸せなんだって思いで書きました。

まさにブルースですね。そして、ラストの「Hooray」。温かいメロディーと強いビートで、悲しみがあっても歩んでいくことを止めないでと歌う、希望を歌うナンバーですね。

応援歌みたいな…行ってこい!みたいな曲です(笑)。震災以降、毎日悔いのないように生きようというのは考えるようになりましたね。あと、子供ができて、怖がって何もしないよりも、ここにとどまって命を燃やして生きる、そんな自分の生き様を見た子供が、いつか尊敬してくれたらいいなって考えるようにもなって。そういう思いが込められてます。

生きていく中でのドラマが詰まった『It's A DRAMA』ですが、完成した今、ご自身ではどんな思いがありますか?

恥ずかしいくらい自分を書いてしまったなって(笑)。今までは自分を出しすぎるのは恥ずかしいから、別の要素を入れて書いてたけど、カッコ付けるのは辞めましたね。

最も素のPUSHIMさんが詰まったアルバムになったと。

ほんとに。ドラマを書こうと思ったのに、こんなことになるとは(笑)。

それもまたドラマですね(笑)。

そうですね。あと、自分の曲として書いたけど、聴く人が“これは私の歌だ”と思ってくれたら良いなと思います。
『It's A DRAMA』2013年03月13日発売Ki/oon Music
    • 初回生産盤(DVD付)
    • KSCL-2213~4 3059円
    • 通常盤
    • KSCL-2215 3059円
『MTV UNPLUGGED PUSHIM』2013年03月13日発売Ki/oon Music
    • 初回生産限定盤(DVD+CD)
    • KSBL-6027~8 5800円
    • 通常盤(DVD)
    • KSBL-6029 3990円
    • 通常盤(BD)
    • KSXL-29 4515円
PUSHIM プロフィール

プシン:2000年3月に1stアルバム『Say Greetings!』(Greetingsはジャマイカで“初めまして”の意味)をリリース。朝本浩文とのコラボレーションや雑多なジャンルを飲み込んだスケールの大きい世界を展開し、サウンドの隅々から主張をみなぎらせている。ダンスホールやヒップホップ、R&Bまで歌いこなす器のデカさは、いわゆるディーヴァ系の括りには収まりきらない。デビュー15周年を経た16年1月、自身が新たに設立したレーベル“groovillage”より、アルバム『F』をリリース。PUSHIM オフィシャルHP

OKMusic編集部

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