新しいアプローチを盛り込んだ、珠玉のラブソング「君が好き」。大切な相手への手紙のような温もりを感じる同曲について、そして3月に行なわれた自身初ツアーについて語ってくれた。
取材:ジャガー

リード曲の「君が好き」は情景が見える言葉の使い方で、より愛情の深さを感じました。

まずトラックを作って、そこにメロディーと歌を乗せてデモを作り、アレンジャーさんに投げるっていうのが基本的な僕の楽曲制作なんですけど、今回はトラックを先にいただいたので、そこへ自分の歌詞とメロディーを乗せていく方法を取りました。自分では出てこないであろう言葉であったり、メロディーが浮かんで、新しい何かに出会えるので、そうしたいなと。トラック自体すごくシンプルだったので、言葉選びもシンプルにして、ストレートなラブソングにしたいと思いました。

最初にトラックを聴いた時に、この曲の全体像も見えたと?

シンプルでストレートなラブソングにしようとは思いましたが、テーマはあえて決めませんでした。まず1行目の“眠れない夜 ベッドの中”を書き出して、そこから広げていくんです。これはどの曲にも言えることなんですけど、曲を作る上で深く考えて悩みたくない。止まっちゃうと流れが悪くなるんで、トラックを聴いて感じたもの、内から自然に出てくるものをかたちにしたいので、1行目を書いて気付いたらできてるっていうのが多いし、それが理想です。“いい歌詞を、いい曲を作ろう”って力まずに、何気なく1行目を書き始めることが僕にとっては大事なことですね。

連想ゲームに近い感覚ですね。では、曲の仕上がりに驚きもあるのでは?

そうですね。自分も知らない自分自身の深い部分と向き合えるので、“こういうことを思ってるんだ”とか驚きはたくさんありますよ。でも、できた瞬間は意外に思うんですけど、時間が経ってから振り返るように曲を聴いてみると、理解できるんですね。当時は必死で想像も付かなかったんだけど、冷静に見てみるとなるほどなって。

曲を作ることで、自分とも向き合えるということですね。あと、大切な相手へのストレートな思いがそうさせたのか、より聴き手に向かって歌われているように感じたのですが。

これまでは自分の周りにあるものを出してきました。やっぱり、曲を作り始めた時は自分のことを知ってほしいし、1stアルバム『Umbrella』でも自分がどういう人間で、何を見てきて、何を感じて生きてきたのかを知ってもらいたかったし、それを魅力的に感じてもらえたらなと思ってたんですね。でも、『君が好き』を作るにあたっては、自己紹介の期間が終わった気がしたんですよ。それは20歳になったからなのか、アルバムを出したからなのか、それとも初めてのツアーをやったからなのかは分からないですけど、もうちょっと外に向いた曲作りをしていこうと思って。他のみんなは何を思って、どういう恋愛をしていて、男性は女性に何を伝えたいのか、女性は男性に何を言ってもらいたいのかっていうことを考えたり、リサーチして、より多くの人に共感してもらえる曲を作りたいなと。今回からは自分からみんなのもとに“こんな曲どうですか?”って聴かせに行く感覚ですね。なので、特に今作のリアクションは気になりますね。

リサーチというのは?

友達の相談からヒントを得ることが多いかな。相談されることが多いので、そこでいろんな恋愛があるんだなって。基本的に自分にしか興味がない人間なんで、これまでは“自分で考えたらいいんじゃない?”って感じだったのが、今では親身に相談に乗るようになりました(笑)

2曲目の「Family feat. KEN THE 390,SHUN&COMA-CHI」は、仲間とのつながりを強く感じる温かなナンバーに仕上がっていますね。

デビュー前から音楽業界のファミリーに憧れがあったんです。例を出すと、m-floファミリーがすごく好きで。さまざまなアーティストとコラボレーションしたLovesシリーズがあったりしたじゃないですか。今も昔もずっと信頼し合えるアーティスト同士の絆がカッコ良くて。ただ僕…シャイで。シャイというか、最初の扉がすごく重いたいというか(笑)。なので、よけいにファミリーを羨ましく思ってしまうんですね。でも、イベントでよく一緒になる方たちと少しずつ交流を深める中で、音楽的に気の合う人たちに声をかけて今回の『Family』で念願への第一歩が実現しました。最初“Family”から連想するものは、僕みたいに仲間を差すだけじゃなくて、仕事のパートナー、家族だったり、何でも良かったんですけど、結局今回参加してくれたメンバーは仲間という意味でのファミリーを書いてきてくれたんです。テーマ出し以外は、それぞれに委ねて好き勝手やってくださいって感じだったのに、みんな同じ意味合いで捉えたっていうのは驚きつつもうれしかったですね。その場のノリを大切に、みんなでワイワイとレコーディングもやっていったので本当に楽しかったですね。

『Umbrella』の中でも人気の高い「One Last Kiss」をアコースティックバージョンで3曲目に収録していますが、雰囲気が変わりまったく別モノの良さがありました。

ライヴ前はピアノ1本で練習することが多いんですけど、この曲がすごくカッコ良かったんです。もともとはドラムやシンセありきで、ヒップホップとR&Bとポップスとの混ざり合いが魅力的なものをピアノ1本でやってしまう潔さもいいなって。

今年3月に行なわれたツアーもDVD化されるので、そちらと聴き比べてみるのもいいですね。

人気がある分、ライヴでは原曲通りを聴かせたかった。やっぱり好きな曲って、そのイメージで観たり、聴いたりしたいじゃないですか。あと、DVDになる『Umbrella Tour 2009』は僕の初めてのツアーということもあって不安だらけでしたけど、会場でお客さんが感動してくれたり、盛り上がってくれて、自分がいいと思うものを作っていけばいいんだなってことを痛感しました。作品へのレスポンスって、こういう機会じゃないと生で聞けないし、特に『Umbrella』というアルバムでは挑戦も多かったので、救われました。
清水翔太 プロフィール

1989年2月27日生まれ、大阪府出身。地元・大阪のスクールでゴスペルを学び、ソウル・ミュージックに魅せられたことをきっかけに、作詞・作曲、そしてアレンジまでこなす天才肌のシンガー・ソングライターにまで成長する。時に力強く、時に儚く歌い上げ、感情豊かな歌唱からラップまでこなせる日本では稀有なマルチな存在だ。因みに尊敬するアーティストは、ダニー・ハサウェイ、マーヴィン・ゲイ、レイ・チャールズ。07年秋、ニューヨークに位置する音楽の殿堂『アポロシアター』のステージに平成生まれの日本人として初めて出演。地元の新聞からまさに「100万人に1人の生まれながらにしてのソウル・シンガー」「日本で最もセンセーショナルな歌手になる」と大絶賛される。

そして08年3月、<ソニーミュージックレコーズ>傘下のレコード・レーベル<MASTERSIX FOUNDATION>から、1stシングル「HOME」でメジャー・デビュー。10代の男性シンガーソングライターとして史上初のオリコン初登場5位を記録。「HOME」のリリース記念で行われた地元・大阪でのフリー・ライヴでは約4,000人を動員する快挙を成し遂げた。
同年6月、遂にニューヨークから招待という形で、セントラルパークに3万人を動員した『JAPAN DAY』のステージに登壇。地元のニューヨーカーはもちろん、アメリカの有名アーティストらも噂を聞きつけて観覧に訪れた。

11月には、1stアルバム『Umbrella』をリリースし、平成生まれ初のオリコン週間ランキング2位を記録。そして、2度目となるアポロシアターのステージに立ち、ニューヨークハーレムの目抜き通りに『SHOTA SHIMIZU』の文字が躍った。間違いなく次世代を担う若手注目株のシンガー・ソングライターである。オフィシャルHP
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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