【浅井健一】ソロでも人間が炸裂する
部分が欲しいんだ

3年半振りのアルバム『PIL』は、豪快さと繊細さがポップに彩られた作品だ。なお、本作を携えてのツアーでは、加藤隆志(Gu&Cho)、渡辺圭一(Ba&Cho)、茂木欣一(Dr&Cho)らとBLANKEY JET CITYの曲も演奏するという。
取材:今井智子

昨年10月25日、東京・新代田FEVERにて、加藤隆志(Gu/東京スカパラダイスオーケストラ、LOSALIOS)、茂木欣一(Dr/東京スカパラダイスオーケストラ、FISHMANS)と渡辺圭一(Ba/HEATWAVE)というラインナップでライヴをやられましたよね。その模様が本作『PIL』の初回特典映像になっていますが、レコーディングもこの顔ぶれで?

全然違う。5曲は俺ひとりで作って、『LOVE LIVE LOVE』とか3曲が欣ちゃんと圭一と俺の3人。あとはシンペイとマーリンていうアメリカ人のベーシストと俺で作った。

シンペイさんは以前のソロユニットでのメンバーの?

そう。マーリンはSHERBETSの福士(久美子)さんがやってるTHE HiPPYってバンドを手伝ってるカリフォルニアからやって来てる男。

このソロの構想はいつ頃から?

実は2011年の1月ぐらいから、すごい時間掛けて入念に作り続けてて、細部まで自分の感覚が行き届いている。今までのソロの中で最も時間がかかってる。これからはSHERBETSとソロと、ふたつやっていこうかなと思ってる。

おや、それはどうして?

区切りを付けなくてもいいじゃん? 自然に付くけどね。

曲を作っていて自然に区切りが付くものですか?

だいたい。これをSHERBETSでやったらこんな感じになるなと想像が付く。最近はプロトゥールスで作るのが気に入ってて。面白いんだよね。結構そればっかりやってるね、最近は。本当の意味でのソロだよね。

それもあってこの新作ができたんですね?

2年前から作ってるアルバムが完成したんで。いつまでも閉まっておきたくないんで、このタイミングで発表した。

全部プロトゥールスというわけではないのはなぜですか?

ひとりで作ったのが結構あるけど、アルバム全体を見た時に全部がそれだと、ちょっと何か物足らないんだよね。人間が炸裂してる部分もアルバムの中に欲しかったんで。後でやった。

やはり、レコーディングメンバーが変わると曲の世界観も変化するんじゃないかと思いますが、それぞれどんな感じでした?

欣ちゃんの時は、やっぱりさすがだなぁと思ったね。一流だなと思った。世界レベルだね。もちろん、圭一のベースもすごい。昔から良かったんだけど、昔は俺が未熟な点もあったんで。昔は不明だったところが明確になって、圭一もすごい良く感じるし。シンペイも、みんなに知られてないだけで実はすごいドラマーなんだよ。

話が前後しますが、茂木欣一さんが参加した経緯は?

欣ちゃんたちとやったのは、2011年12月に『茂木欣一ショーVol.3』があって、それに誘われて初めてライヴを一緒にやったの。レコーディングでは、最初のソロシングル『危険すぎる』で叩いてもらったことがあるんだけど、そのライヴですごい良いなあと思って。その時に欣ちゃんのリクエストでBLANKEY JET CITYの『SWEET DAYS』をやったんだけど、その時に加藤チャーハン(加藤隆志)がサイドギターで。CDではギターが何本も入ってるじゃん? でも、BJCでやる時はライヴはギター1本なんで、弾けなかったフレーズを欣ちゃんたちとやることによってCDに近い感じで表現できて、これは今までなかったなあと思って嬉しかったんだよね。だから、次のツアーでも何曲かBJCの曲をやろうかなと思ってる。

初回特典映像でも「SWEET DAYS」「危険すぎる」が入っていますね。

聴こえ方が新しいよね。初ライヴだったから至らんところもあるけど、みんなの気迫があるよ。

『茂木欣一ショー』では、柏原 譲(Polaris、OTOUTA)さんがベースでしたよね。

そうだったね。譲くんのベースも好きなんだけど、So many tearsに俺が入ったみたいな感じになるのはどうかなと思ったのと、圭一は暴れてくれるんで。周りで暴れてくれると俺もやりやすい。ツアーは俺も楽しみなんだけど、欣ちゃんたちは忙しいから、これ終わったら次はいつできるか分からない。だから、貴重なツアーになるんじゃないかな。

ライヴでは新曲もたっぷり聴けそうですね。

全部は無理でしょう。『エーデルワイス』のコーラスとか複雑だから。

レコーディングでは自分でコーラスも?

そうだよ。ハモが自分でできるようになったのが、自分の中では大きいんだよ。今までできなかったから。深沼(元昭)くんと一緒にやり始めて、深沼くんは普通にハモるんだよ。どうやってるのか見ていてだんだん分かってきて。プロトゥールスだとリズムが正確だからハモりやすいんだよね。それでライヴでもできるようになってきたんだよね。

深沼さんは4thアルバム『Sphinx Rose』にも参加してましたね。

今回はエンジニアと、曲を作る時の基礎になるループを作ってもらった。彼は音楽を論理的に分かってるんで。俺は分かってないから、俺にないところを彼が補ってくれるから、いいんだよね。

ところで、“PIL”というタイトルは、ジョン・ライドンが結成したPUBLIC IMAGE LIMITEDを連想しますが?

そうじゃなくて、“Pocky in Leatherboots”。“PIL”という響きがいいなと思って。パクったと思われるかなと思ったけど、知らん人もいるからいいやと思ったら、みんな知ってた(笑)。

折しも、BJCのドキュメント映画『VANISING POINT』が公開されますね。

映画の感想は言わないことにしてるんだよね。BJCは大好きだったし、先入観を持たずに観てほしいから。ただひとつ言えるのは、照ちゃん(照井利幸/Ba)も達也(中村達也/Dr)も、すごいふたりと俺はバンドをやってたんだなと改めて思った。俺は自分のこと、全然子供だなって感じがした。俺が一番未熟だったのかなって。それぐらいかな、言えるのは。
PILSEXY STONES RECORDS/ CRAZY MAD JOHNSON LABEL
    • 初回限定盤(DVD+ポスター付)
    • POCS-9020 4200円
    • ※LPジャケットサイズ仕様
    • 通常盤
    • POCS-1074 3150円
浅井健一 プロフィール

日本ロック史にその名を刻む、Blankey Jet Cityの元ヴォーカリスト&ギタリストにしてメイン・ソングライター。その活躍はもはやここで言及するまでもなかろう。00年5月のグループ解散以降、自主レーベル<SEXY STONES RECORDS>を設立、SHERBETSで荒削りなロックンロールを鳴らし、AJICOではUAとのコラボレートが実現。次々と新境地を切り拓きファンをエキサイトさせた。02年からは新バンド“JUDE”を結成するが、その立ち位置はあくまで自由であり、『FUJI ROCK FESTIVAL'02』では浅井健一名義でステージに立ち話題となった。JUDEやSHERBETSの活動と並行しながら、06年からは本格的に浅井健一名義で活動を開始。敢えて<BMG>というメジャー・レーベルに復帰しファンを驚かせた。だが彼の才能は音だけにとどまらない。ジャケットのアートワークはもちろん、レーベル設立後は画集・詩集・絵本などを次々と出版、個展も開催されるなどマルチな才能を発揮している。もともと汚れ無き純粋な心を歌い続けてきた彼だが、絵や詩などを発表することでますます歌も純化されているような気がする。次はどんなアクションを起こすのか、一番気になる男と言えるだろう。浅井健一オフィシャルサイト
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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