【沢井美空】睡魔に負けないで本当に
良かった

持ち曲はすでに60曲以上という、現役高校生のシンガーソングライター・沢井美空がデビューを果たす。春風のように心地良く響く歌声、胸を締め付ける切ない歌詞、真っ直ぐな思いを乗せたメロディーと魅力にあふれている。
取材:ジャガー

まずは、これまでの経緯からお話を訊かせてください。ダンス・ヴォーカルレッスンを受け、そこからアコギでの弾き語りから今のピアノというかたちになったとのことですが、表現するかたちを変えていく際、どういう心境でしたか?

もっと自分の思いを伝えたい!という気持ちがいつも心のどこかにありました。小さい頃から歌と同じくらい詩を書くことや物語を作ることが好きだったので、誰かの言葉しか歌えないのは何だか物足りない感じがずっとしていたというか。だから、自分で曲を作ることを覚えた時は、直感で“これだ!”って思いました。アコギに触れてみたのは単純にYUIさんに影響されたからなのですが、本当に全然上達しなかったので(笑)、とりあえず一度習ったことのあるピアノで弾き語りを練習して、今のスタイルになった感じです。

そして、今回「あたし、今日、失恋しました。」でデビューするわけですが、デビュー作品ということで気を使ったことはありましたか?

もともとデビュー作品として作ったものではなかったので、逆に何にも気にせずに作っちゃいました。“あたし今日~失恋しました”っていうフレーズの歌詞とメロディーが突然同時に浮かんだのですが、それが夜中2時ぐらいで、ベットに入って“さあ、寝よう”って時だったから、とっても眠かったんです(笑)。このままこのアイディアを捨てて寝てしまうか、眠気を我慢してかたちにしてしまうか、すっごく悩んで、結局眠たい目をこすりながら頑張って作ったわけなのですが、意外に周りの評判も良く、睡魔に負けないで本当に良かったです。

(笑)。「あたし、今日、失恋しました。」は、告白する前に好きな人には他に好きな人がいたという失恋で。相手を理解したいがあまり気付いてしまったわけで、この主人公の愛情の深さがすごく切ないですよね。

私は歌詞から先に書くので、きっかけになるエピソードなどがいつもはあるのですが…この曲に関しては“あたし今日~失恋しました”のフレーズをいきなり思いついちゃったから、そこから“失恋”について考えました。私が考えたいくつかの失恋エピソードの中で、一番イメージやメロディーに合ったのがこんな失恋のかたちだったんですよね。それに自分の今まで経験した感情などもいろいろミックスしました。

言葉では自分の思いを吐露していますが、曲自体はどこか物静かで、“主人公”と“何も変わらない夜”という場面にぴったりだと思いました。

ありがとうございます。でも、何も狙ってません(笑)。何かを意図してこうなったのではなく、メロディーもリズムも一度も迷いませんでした。この曲には自然とこれしか浮かばなかったんです。

サビに入る前に“ラララ”と歌っている部分では、どこか自分の気持ちに整理を付けているような印象を受けたのですが。

もともとこの曲は1サビまでで終わりだったのですが、音源化するのなら短すぎるのでは?という話になって“ラララ”の部分は後から付け足した部分なんです。なので、レコーディングのタイミングでは新鮮な感覚で、あまり何も意識せずに歌いましたが、良い意味で曲のブレイクになって、あふれる感情を一度フラットにするという役割を持たせていると思います。

ちなみに、本作3曲ともに場面は違えど、実らない恋を歌っていますよね。これはひとつのテーマだったのでしょうか?

ただ単に私が失恋ソングの方が書きやすいからです。どうしても実らない恋の歌が多いので、もっとレパートリーを増やそうと今頑張っています。最近は違ったテーマの歌もいっぱいできてきているので、これからもっといろんな沢井美空を知っていただきたいと思っています。

歌詞は、ご自身の経験をもとに書かれているのですか?

どうなのでしょう。この3曲に関しては全部が全部、実体験というわけではありません。それぞれの曲のシチュエーションなどの設定を考えて作りました。ですが、人を好きになる気持ちや失恋した時の気持ち、なんだか胸がキュッとなる感じやドキドキする感覚などが分かんないと、やっぱり恋愛の歌は書けないと思うので、そう考えたら経験をもとにと言ってもいいのかもしれません。他の曲だと、嘘偽りは一切なく実体験のみを書いた曲もありますし、友達の話をもとに書いた曲などもあります。妄想も得意です!

2曲目「ばいばいサヨナラただのヒト」は、恋人との別れ。一見、そっけない冷たい態度に見えますが、“ただのヒト”って思うことが最後の強がりであり、お互いが前を向いていけるように、今出し切れる精一杯の愛情のように思いました。

“付き合う”ということについて考えてみたんです。恋人同士っていくらずっと一緒にいたとしても、別れてしまったらその瞬間から、何もなかったかのように素っ気なくなって、他人のようになってしまう…そこを深く掘り下げて行ったら、“そもそもみんな他人なんだ!”というところに辿り着きました。きっとそうなんです。結局はみんな独りなんです。でも、そんなの悲しいじゃないですか。主人公も“みんな他人なんだ”とか“ばいばいサヨナラただのヒト”とかって冷めたいこと言ってるんですけど、本当はそんなこと思いたくないんですよね。ただ、別れが辛くて強がってるだけなんです。なんか上手く言えないんですが、人間の深いところ…あまのじゃくな矛盾した部分を書きたかったんです。

3曲目「あの子のキミ」は、本作で一番感情が表に出ており、抑えきれない好きという気持ちに葛藤する描写も何とも言えない辛さが伝わってきました。

この曲はおっしゃっていただいてる通り、感情を表に出すようなメロディーにしてみました。サビに入る前の“いい?”を繰り返したのもそのためです。普通に生きていれば、誰かのものが欲しくなることもあると思うんですよ、人間って。誰かが持っているものや、着ている服がすごく良く見えることってありますよね。それと同じで誰かの人を欲しくなっちゃうことって絶対あると思うんです。そういう部分を書いたので、作ってる時は辛くなったり、切なくなったりはあんまりしなかったですね。ただ、作り終わった後にそんな恋愛をしたりしなかったり…(笑)。いざ体験してみたらすごく辛いですよね。
「あたし、今日、失恋しました。」2011年05月11日発売Sony Music Records/MASTERSIX FOUNDATION
    • 初回生産限定盤(DVD付)
    • SRCL-7632〜3 1500円
    • 通常盤
    • SRCL-7634 1223円
沢井美空 プロフィール

サワイミク:1993年9月16日生まれ、大阪出身のシンガーソングライター。“音楽で気持ちを表現したい!”という気持ちから、作詞作曲活動を開始。聴き手の心に訴えかける歌詞、美しい旋律、耳に残る柔らかな歌声が魅力。11年5月にシングル「あたし、今日、失恋しました。」でメジャーデビューを果たし、13年6月に待望の1stアルバム『センチメンタル。』を発表。その後、TVアニメ『キルラキル』のエンディングテーマ「ごめんね、いいコじゃいられない。」など、アニメタイアップなども手がけるようにもなり、15年3月に2ndアルバム『憂鬱日和。』をリリースした。沢井美空 オフィシャルHP
Sony Music Records

OKMusic編集部

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