取材:石田博嗣

『軌跡 ~25TH ANNIVERSARY BEST 1984-2009~』という結成25周年記念ベストアルバムが発表されるわけですが、“軌跡”というタイトルだけに時代ごとのビーツのテーマソング的な楽曲をセレクトしたという感じですか?

そうですね。レコード会社の方からも、ビーツの入門編にしてみるのはどうかっていうリクエストがあったんで。でも、22曲にセレクトするのは大変でしたよ。収録時間も79分ギリギリまで。まあ、比較的聴きやすいアップテンポのものを中心にセレクトした感じですね。バラードは入れてないんですけど、それはまたの機会に。

曲順も年代順ではなく、ライヴの曲順のようですね。

ライヴの構成的なところは意識しましたね。1曲目の『さすらいの歌』は最新アルバムのテーマソングということで…ほんと、新旧織り交ぜてって感じですね。

本作には25年間の歴史が詰まっているわけですが、声の若さや音質の違いはあっても、歌っている内容にブレがないということを再確認しましたよ。“自分のままでいたいだけ”や“昨日の自分よりもマシになっていたい”と、常々おっしゃられてることが曲になっているというか。

そういう思いは今も変わってないんでね。良く言えば“ブレがない”、悪く言えば“不器用”だと(笑)。今回はストレートなナンバーを中心にセレクトしてあるから、一番真ん中のところが詰まってますしね。

年々、ビーツのサウンドがタフになってるのもうかがえますよ。

それはね、時代時代の音作りのスタンスもありますよ。ビーツに限らずなんだけど、80年代の方が丁寧な作り方をしていたと思うんです。レコーディングにしてもね。それが90年代、2000年代になるにつれて、よりライヴ感を意識するようになって…作り込みすぎないっていうかね。それこそ、“せ~の”で音を出したような質感を大事にしているんで。そういう意味でも、時代時代にいろんなアルバム、いろんな楽曲があるバンドなんで、このベストアルバムが取っかかりになってくれればいいかなっていうところですね。

このベストをきっかけにオリジナルアルバムを聴いてほしいですね。パンキッシュで尖ったサウンドをやっているイメージが持たれていると思うけど、いろんなことにチャレンジしていることが分かると思うので。

アルバム1作ごとにいろんなことをやってますからね。今年の4月に出した『さすらいの歌』というアルバムは久しぶりに真正面から“歌もの”ってものを作ろうと思って取りかかったから、“パンキッシュ”だとか、“硬派”っていうイメージがあるだろうけど、すごく歌を大切にしていることが分かるでしょうね。今回のアルバムの中でも、『少年の日』や『ハッピーボックスを探して』とかからナイーブな部分や繊細さだったり、アコースティック感みたいなものが、多少なりとも見えると思し。あと、SEIZI(Gu&Vo)がヴォーカルをとる曲のハートフルなところや温かみとか、いろいろ感じてもらえると思いますね。

映画『クローズ ZERO』の影響もあって、ビーツに興味を持っている人は多いと思うので、そういう人たちにビーツを知ってもらうのにいいアイテムになりますね。

そうですね。リスナーの世代をどんどん広げていきたいんでね。まだビーツを知らない人だったり、ちょっとしたきっかけで“聴いてみようかな”って思ってる人…ダウンロードが結構いい数字だったりするんで、“どのアルバムから聴けばいいか分からない”っていう人の取っかかりとして、22曲目いっぱい入ってて、2500円ってプライスも抑えてやってもらってるんで、“とりあえず、これを聴いてみて”っていう挨拶代わりというかね。ライトな感覚で聴いてもらえればいいと思いますね。どこを切ってもビーツだし、ビーツのコアな部分が入ってると思うんで。もし、この中に気に入る曲がなかったと言われても、“他にもいい曲はいっぱいあるから”って(笑)

では、核心的なところをうかがいたいのですが、何がビーツを25年間突き動かし続けているのですか?

25年やっているってことで、喜びも苦しみもあるし、楽しさも悔しさもいっぱいある…でも、そういうものがあるからやれていると思いますね。やっぱりね、“あっ、もうこれでいいや”と思える瞬間が、まだないんですよ。ひとつずつやりきるまで、灰になるまでやってるんだけど、“もっとやれる!”とか“まだできるよな”って思うんですよね。

そういう気持ちがあるから、25年間、立ち止まらずに走り続けているという感じですね。毎年、春と秋にはツアーを組んで、全国を廻っている…それもこのご時世にワンマンで廻り続けているし。

そこは意地みたいなもんですかね。このスタンスは崩す必要がないと思っているし、バンドはライヴで音を出してなんぼだと思うんで。新譜が出た時は、それをメインとしたツアーになるし、逆に新譜を出してない時は自由にやれるわけだし、そこに喜びを見出していかないとね。お客さんの中には“最近、聴き始めました”っていう人もいれば、10年、20年付き合ってくれている人もいて、下手すれば人生の半分ぐらい付き合ってもらってるようなところもあるから…例えば、仕事が忙しくなったり、家庭を持ったりして一旦離れた人が、子供が手から離れたって戻って来てくれたりね。今、親子でライヴに来てくれる人も増えてるんですよ。

そこで大きいことは、そのお客さんが戻って来た時に、当時と変わっていないビーツがいるってことですよ。

取って付けたように新しいことをしないっていうか、手のひらを返すようなことはしないですからね。結局は、“ブレてない”ってことなんでしょうね。
The Street Beats プロフィール

メジャー・デビューしてから、器用にそこにある流れに乗ってくバンドもいれば、不器用なまでに自分たちのポリシーを貫こうとするバンドもいる。ストリート・ビーツは単純にそういう分け方をするなら、明らかに後者だろう。デビュー10年を経た今も、自分たちの想いに対する誠実さ、それを原動力にした尖ったナイフのような鋭利さや、パンキッシュな精神性は健在だ。
84年、ヴォーカルのOKIとギターのSEIZIを中心に広島で結成。「ヒロシマ」などの自主カセットをコンスタントに制作する傍らライヴも精力的にこなし、87年には広島のロック・シ−ンを活性化すべく、シリーズ・ギグなども開催している。そして2人は88年に上京し、同年メジャー・デビュー・アルバム『NAKED HEART』をリリース。90年には元クラッシュのポール・シムノン率いるHAVANA 3AMのフロント・アクトも務めた。
広島時代のメンバーが再加入/脱退するなどOKIとSEIZI以外のメンバーは流動的だが、バンドとしてはとぎれることなく活動を継続中。99年にはOKIがオリジナル・レ−ベル兼個人事務所<NEO VISION>を設立し、アルバムもリリースされている。オフィシャルHP
公式サイト(アーティスト)

OKMusic編集部

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