L→R 伊藤洋一(Ker&Per)、松本素生(Vo&Gu)、中澤寛規(Gu&Vo)、石原 聡(Ba)、河野丈洋(Dr&Cho)

L→R 伊藤洋一(Ker&Per)、松本素生(Vo&Gu)、中澤寛規(Gu&Vo)、石原 聡(Ba)、河野丈洋(Dr&Cho)

【GOING UNDER GROUND】今まで作った
どのアルバムよりもアルバムらしい

前作『おやすみモンスター』発表後早々にレコーディングに入っていることが伝えられていたニューアルバムが遂に完成した! 1年4カ月ぶりのアルバムとなるわけだが、そこには彼らの中での試行錯誤があったという。
取材:石田博嗣

前作『おやすみモンスター』を発表した後のツアーでは、すぐにでも次のアルバムを出すようなことを言っていただけに、ようやく出るって感じなのですが…。

松本
『おやすみモンスター』をリリースするって時には、もう今回のレコーディングに突入してたんですね。『おやすみモンスター』ってバンドが大事なものを取り戻してきているアルバムだったので、その取り戻している感じを止めたくなかったから、一昨年の11月ぐらいからセッションはやってたんですよ。でも、アルバムっていうお膳立てをしない中で、単純に“いい曲”を作りたかったというか、自分が歌いたいものを音にしたかったんです。だから、“これだ!”っていうところに行き着くまでに、これだけの時間がかかったという感じですね。迷ってはなかったですけど、模索してました。
河野
結果的には強いものが欲しかったんですよ。強いフレーズとか、強い言葉とか、一回聴いただけで“あっ、いい!”と思うもの。特別“これ、いい!”とは思ってないものであっても、今までの経験があるから、それなりには作れてしまう技術があるんですね。でも、そういうことはやりたくなったんです。

では、“これだ!”という手応えを感じたのはどのタイミングで?

松本
「いっしょに帰ろう」ができた時ですね。昨年の11月ぐらいに録り終わって、“これでアルバムの作業は終わりだ!”と直感で思えたというか。不純物がないものが作れた…でも、出来上がってみると、ある意味ゴーイングらしい曲なんですよね。なぜそれを“これだ!”と思えたかというと、やっぱり基本に帰ったからなんですよ。そこが今回のアルバムの到達点というか、ここで一回締める感じなったんだと思います。

だからか、アレンジがシンプルになっていて、いい意味でゴーイングらしいサウンドアプローチではないのに、アルバムを聴き終わった時に“ゴーイングらしい”と思わされました。

河野
例えば、柱を一本立てる時に、それを支えるために周りに細い柱を添えたとするじゃないですか。今までの僕らって、その細い柱にさらに細い柱を添えてたんですよ。でも、ほんとはそこまでがっちりやる必要はない…真ん中にあるいい歌、いい言葉がしっかりと立っていれば、そんなことする必要はなかったんだけど、ちょっとやり過ぎなところがあったと思うんですね。だから、そこまでやらないようにしようって。そこまでやらなくても“いい曲だな”って思えるアレンジにしようって。
伊藤
何かのフェスの楽屋で素生からギター一本で「世界のまん中」を初めて聴かされた時に…“ギター一本でいい曲であれば、他に何もいらない”って話を前から話してたんですけど、それを初めて肌で感じたんですね。だから、このアルバムを作るにあたって、そういうことに改めて気付いたというか。

これまでってギターのフレーズとかもインパクがあったし、フックになってたんですけど、そういうことよりも“いい歌を聴かせる”というところがポイントになった?

中澤
ちょっと前までなら自分ができることをいろんなところに散りばめる…さっき丈さんが言っていた、さらに細い柱みたいなものをいろんなところに立ていたというか、そうしなければいけないと思ってたんですよ。でも、どんどん引く引かないってのが分かってきた…そういう発見の多い、1年間のレコーディングでしたね。
石原
ナカザが“そうしなければいけないと思ってた”と言ってたけど、俺もそうだったなって。じゃあ、何をしたいんだって言ったら、やっぱり歌を聴かせたいわけで…言ってしまえば、俺のベースなんて聴いてないかもしれないし。リスナーは歌を聴いてるわけですからね。俺もミュージシャンとしてならベースを聴きますけど、いちリスナーとして聴く時は歌しか聴いてないし。そういう意味でも、今回、みんなで歌に向えたってのが良かったかなって。前々作の『TUTTI』ぐらいかな? 頭が固くなっていた時期があったんで、それを経験したことで分かってたつもりだったんだけど、また凝り固まっていたというか…そういうのをちゃんと意識してないと、もう30歳にもなったんで、考え方が固くなっちゃうんですよね。それを再確認したんで、あんまり難しいことは考えずにやりました。
中澤
自分たちが何を目指してやっているのかってのを1曲1曲作りながら、その都度話し合ってましたしね。

じゃあ、かなりメンバー間で話し合った?

伊藤
そうですね。曲に対して楽器を持たずに話し合ったこともあるし…例えば、俺が「世界のまん中」みたいなラブソングを素生に書いてほしいって言っても、俺が思うラブソングと素生が思うラブソングとに違いがあるから、やっぱり話さなきゃ分からない部分があるんで。
松本
要するに、今まではバンドとして“こうだな”ってのがなんとなくあったんで、それで良かったんだけど、だんだんみんな飽きてきたというか、リアルだったものにリアリティーを見い出せなくなっていたんですよ。これまでは引き出しを開けた時に入っているものだけで形にしてきたけど、自分の中からこぼれ出たものってのは、ほんとはそれだけでは形にはできない…引き出しに入っているものだけでは対応しきれないから、“俺、こういうものを歌いたいんだよね”っていうのをメンバーに説明して、“だったら、こうなんじゃないか?”っていう言葉と言葉のセッションがあって、“じゃあ、楽器を持ってやってみるか”ってなるっていう。そういうのは初めてのことでしたね。ここまで焦点を絞って、曲について話し合ったことはなかった。引き出しの中を一回空にしたいっていうのもあったんですよ。きっと、引き出しの中にあるものだけでも今回のアルバムは作れたと思うんですけど、全然良くないっていうか、温度が格段に違うものが出来上がると思いますね。

それで今までと違うようなサウンドアプローチになったのですか?

河野
そこは気持ちでやったから、そうなったと思っていて…今話したこと全部、ソウルの問題だなって。“誰が何と言おうとも俺はこれがやりたいんだ!”ってやった音楽に“ロック”という名前が付いているというか、今回、そういう音楽が作れたと思ってるんですよ。“やらなければいけないんじゃないか”っていう気持ちでやってた時は、みんなの魂も抜け落ちていたと思うけど、今回はそれを取り戻せた。…誰かに“ゴーイングってロックバンドだと思われてないんだよ。きれいな音楽をやってる坊ちゃんたちっていうふうに世間からは思われているんだよ”って言われたことがあって、“あれ? 僕はロックをやってるはずだけどな”って地味にショックだったんですね。“曲が良くない”って言われるのは平気なんですけど、魂を否定されるのはつらかったので、それは頑張って取り戻そうって素直に思ったんですよ。
松本
俺、丈さんとは逆なんだけど、意味合いは一緒かな? 歌に対して揺るぎないものっていうか、“だって、これが歌いたいだもん。しょうがないじゃん!”っていう…やっぱりそこまで言えないと歌ってはダメだと思うし、バンドをやっている意味がない。それだけかな、重要なのは。それが言えないようだったら、辞めた方がいい。だから、そういう曲であり、そういうアルバムになったと思いますね。

そういう意味では、今回は丈さんも歌ってますが、それは自分が歌いたかったから?

河野
結局、僕も自分の気持ちで音楽をやりたいと思ったんです。僕はあんまり歌ったことがなかったから、上手にできるとは思わなかったんですけど、それでもやりたいと思ったんですよ。今までも僕が書いた曲を素生が歌っている時に、実はいろいろ感じていたことがあって…メロディーが自分の中から出てきたものじゃないからやりにくい時があったり、逆にすごく良くできる時もあるっていう、そういうふうにしかジャッジできなくなってて、とりあえず歌としてきれいなものが録れたから伝わるだろうっていうところでOKにしていたんですね。そういうことをずっとやってきてたんですけど、そこに疑問を感じたんです。そこのやり方を変えたかったんですよ。やっぱり意味のあるものを作りたかったし。だから、僕が自分で歌わせてって言ったのって、ほんと最後の最後なんですよ。ただ、やり方として決め込むつもりはないんですよ。今回は僕が作った曲は僕が歌ったけど、今後どうするかは分からない。今回は自分が歌いたかったから歌ったというだけですね。

今回のアルバムは今までとは違う手応えを感じているようですね。

河野
今まで作ったどのアルバムよりもアルバムらしい気がしますね。変に意図がないっていうか、オーバープロダクションがないんで、ほんとにバンドの姿が出た感じがする。よく“1stアルバムのような感じがする”って言われるんですけど、自分たちでも“ああ、そうかも”って思いますね。
松本
今回って演出がないんですよね。でも、無責任に全部放り投げて“今回は演出しません!”っていうことではなくて、1曲1曲に伝えたいメッセージとか核になるものがあるから…でも、1stアルバムっていうか、これが基本だなって気がする。
河野
基本形ではあるけど、一枚壁を突き破っている感じがあるんで、もし名前を変えてデビューするなら、このアルバムかなって(笑)。それぐらい変わったというか、ひとつの節目のアルバムではありますね。

『おやすみモンスター』のインタビューの時に“Dメロのようなアルバムができた”と言ってましたが、今作はAメロとかサビですかね?

松本
サビですね。自分が聴けるアルバムになったってのが一番うれしいかな。10年後も普通に聴けるアルバムになったと思うんですね。今までのアルバムもいいアルバムなんですけど、曲単位だったら聴けるけど、アルバムとしては聴けないんですよ。やっぱり“まだ未熟者だな”って思う部分があったり、自分のスケベったところが鼻に付く瞬間もあって。でも、このアルバムは10年後も聴けるっていう確信めいたものがある…10年後も“いいな~”と思ってるだろうし、アルバムを作ってる過程を思い出して胸がキュンとなるだろうし。初めてですね、アルバムとしてそういうものが作れたのは。
『LUCKY STAR』
    • 『LUCKY STAR』
    • VICL-63251
    • 2009.03.04
    • 3045円
GOING UNDER GROUND プロフィール

ゴーイング・アンダー・グラウンド:中学1年生の時にTHE BLUE HEARTSに憧れ、幼馴染み同士で母体となるバンドを結成。1998年にミニアルバム『Cello』でインディーズデビューし、2001年にはシングル「グラフティー」でメジャー進出。09年に伊藤洋一(Key)が、15年に河野丈洋(Dr)が脱退したものの、3人でバンド活動を再始動させ、16年8月にアルバム『Out Of Blue』を発表した。GOING UNDER GROUND オフィシャルHP

OKMusic編集部

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