取材:榑林史章

風と太陽と大地で生かされている俺が自
由を宣言する!

新曲「I stand free」はすごくカッコ良いですね。静かで淡々とした中に熱いものが込められている。ライヴの最後で、観客がみんなでサビを大合唱したらきっと感動的でしょうね。

浦山
そういうのいいですね。
大木
そう言ってもらえてうれしいです。“I stand free”ってフレーズは分かりやすいし、簡単だし。

ACIDMANの新たなアンセムソングになりそう。

佐藤
そうなってほしいですね。
大木
そういう曲になるよう頑張ります。

曲はどのようにして?

大木
ライヴのリハの合間にふっとAメロが浮かんで。ギターを弾きながら歌っていたら、ふたりがそれに合わせて入ってきて、そのままコード進行とかも考えず、サビまで一気に自然な流れでできちゃったんです。
浦山
スタジオに入った時、大木がギターを弾き出して、それに合わせてジャムりながら曲ができていくことはよくあって。でも、ライヴのリハでああいう感じでできたのは初めてだったかもしれないですね。

大木さんの中から自然と沸き出てきたメロディーに、何か吸引力のようなものを感じたのですか?

佐藤
吸引力のことはよく分かんないけど(笑)。でも、その瞬間“ああ、合わせよう!”って思って。スッとその中に入っていって、“気持ちいい?”って…そういう感じかな。

この瞬間を逃したくなかったみたいな。

佐藤
そう、それです。
大木
0.001秒とかの世界なんですよ、曲が降りてくる瞬間って。その時にベースがちょっとルートを間違えたり、ドラムがリズム変えたりすると、パッて消えちゃうんです。
佐藤
だから、俺らは常にピリピリとした緊張感があって。でも曲にとっても、感じるままに合わせるのが良いから。

歌詞はどういうイメージで?

:最初はちょっと憂鬱な雰囲気で、それからさわやかに視界がどんどんクリアになっていくような感じ。で、サビでは、まさにジャケットのような雲が遠ざかっていく途中の青空のような絵が浮かんでいて。そういう力強いんだけど伸びやかっていうか…ある種の決意に満ちた詞が書きたいと思って、サビの“I stand free”って歌ってるところからどんどん広げていった感じです。

モノクロの風景に色がポツポツ灯っていく感じや、空を覆った雲からひと筋の光が差し込んでる絵をイメージしました。

大木
俺の中では、“風と太陽と大地、それらの揺らぎの中で生かされている俺が自由を宣言する”というようなイメージだった。その自由というのは、自由気ままに生きるとかじゃなくて、自分たちがその場に生かされていることを認識するということなんですけど。自然に包まれている時こそ、自由を感じる瞬間なんだっていう。

すごく大きなメッセージですね。

大木
そうですね。それはもう俺自身のテーマ。歌詞は手紙のようなもので、詞を書く人間である以上、誰かに何かを伝えたいと思っていて、そこには自分の想いを詰め込みたいし。“じゃあ、俺の思いとは何か?”、それは俺自身がずっと自問自答を繰り返し考えて来たことで。“生きることとは?”“人間とはなぜこんなに儚く生まれて儚く消えていく存在で、自然と一体になることなく私利私欲のまま生き、そして死んでいくのだろうか?”…ずっと昔から考えていることなんです。自然と一体になった暮らしがいつか…100年後でも200年後でも、高い次元でものを考えられる人たちが生まれて、きっとそういう世界を実現させてくれるはずだと思って。そういう希望を込めている曲です。

おふたりは?

佐藤
最初からググッて入り込めますよね。“これから何が始まるんだろう?”って思わせてくれる。演奏に関しては、自分の音を込めるだけっていうか。大木の歌詞には一貫したテーマが必ずあるんで、そのことを常に意識しているし、その中で自分らしさを出せればいいと思ってやってるんで。

こういう静かめな曲は1音1音に力が入りますよね。

佐藤
それはありますね。サビでは思い切りぶっとい音を出してやろうとか、メロディーに準じた空気感を作ろうとか思うし。でも、それは自然にやってることなんですけどね。
浦山
ドラム的には難しいことはひとつもやってなくて。歌っている大木やメロディーと、どう呼吸を合わせるかっていう。テクニックじゃない部分が大事な曲なんです。
大木
ドラムに一番時間がかかりましたね。歌う際の気持ちの乗り方とか、結構ドラムから影響を受けやすいんです。決して完璧に叩けばいいわけじゃないし、ヨレまくりでもダメだし。力の込め方とか呼吸というか。俺が息を吸った時の一瞬の裏で鳴るハットの音とか、そういうところまでシビアにディレクションしましたね。

最後が英語のフレーズで“world”という言葉が出てきますが、ACIDMANがリスナーに訴えたい世界とは?

大木
俺が理想とする世界は、物質的なものではなく、豊かな精神性を持った世界。“物質=物や金”を持つことよりも、もちろん俺にもそういう欲はたくさんあるけど。だとしたらその上で、妬み、嫉み、憎しみのない精神性の豊かな世界をもっと創造していかなければいけないと思う。
佐藤
俺らはもう大木の言うことを全力で支持することが世界のためになると信じてやってるんで。
浦山
ACIDMANの一員として、その大いなるメッセージをひとりでも多くの人に広めるためにドラムを叩いてます。

大木さんのマニフェストに一票(笑)。

ACIDMAN プロフィール

埼玉県私立西武文理高校時代に出会い結成された3ピース・ロック・バンドACIDMAN。当時は4人組で結成され、受験休業を経て、大学進学後、下北沢を中心に97年ライヴ活動を開始。 99年のヴォーカル脱退、現在のメンバーである大木伸夫(vo&g)、佐藤雅俊(b)、浦山一悟(dr)の3ピース編成となる。

02年、「造花が笑う」「アレグロ」「赤橙」のシングル3枚連続リリースでメジャー・デビュー。同年10月には1stアルバム『創』を発表、スマッシュ・ヒットを飛ばす。パワーポップ/ガレージ/パンクのテイストを独自に昇華させたハイブリッドなロックンロールから、哀愁漂うメロディックなスロウ・ナンバーまで、いずれの楽曲にも美しい旋律が貫かれ、エモーショナルなヴォーカルも聴く者の魂を震わせる。
03年8月に発表した2ndアルバム『Loop』ではより深遠な音世界を構築し、04年9月には“あらゆる色の生命をイコールで繋ぐ”という、かつて無い壮大なテーマとその独創性が表現された3rdアルバム『equal』を発表。輪廻転生をコンセプトに作られた約14分にも及ぶ大作「彩‐SAI‐(前編)/廻る、巡る、その核へ」は、映像クリエイターである西郡勲がビデオ・クリップを手掛け、第8回文化庁メディア芸術祭では優秀賞を獲得した。
05年12月にリリースした4thアルバム『and world』を引っさげ、全国ライヴ・ツアー『and world』を敢行。06年7月、このツアー・ファイナルの模様を収録した自身初となるライヴDVDをリリース。音楽と映像のコラボレーションという新しい形でのライヴを行い、多くのロック・ファンを虜にした。そして07年2月に5thアルバム『green chord』を完成させ、5月にはACIDMAN史上初となる日本武道館にてオール・スタンディング形式のライヴを開催。ストイック過ぎるほどストイックで真摯なバンド姿勢ゆえ、一時は解散の危機にぶつかった彼らだが、08年4月に6thアルバム『LIFE』を、09年7月に7thアルバム『A beautiful greed』を発表するなど、現在は年1度のペースでアルバム・リリースを重ねている。

「音の力。詩の力。」「深淵・迷走・創造・騒々」——展開著しく、時に裏切り、時に平たん。静と動。スリーピースの可能性へ常に邁進している彼らは、成功を手中にしてもなお、ストイックなまでに己のバンド・サウンドの純度に磨きをかけ続けている。ACIDMAN Official Website
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