臼井孝のヒット曲探検隊~アーティスト別 ベストヒット20

臼井孝のヒット曲探検隊~アーティスト別 ベストヒット20

臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20
Vol.1 西野カナ

「Best Friend」が総合4位にランクイン
(2010年発売 8thシングル)

総合4位には、2010年の8thシングル「Best Friend」がランクイン。次なる大ヒットの「会いたくて 会いたくて」の陰に隠れがちだが、CD5位(7.1万枚)、ダウンロード2位(ミリオンセラー)、カラオケ7位とバランスの良いヒット。今でも卒業シーズンにKiroroの同名異曲とともに上位入りする女の子同士の友情ソング。恋愛一辺倒と思われた彼女の作風を広げた最初のヒット曲とも言えるだろう。
総合5位の12thシングル「君って」は、嵐の二宮和也が主演となったフジテレビ系ドラマ『フリーター、家を買う。』の挿入歌で、ドラマ視聴者や嵐のファンをも巻き込むことで、CDセールスを伸ばし自己最大の9.8万枚のヒットに。また、ダウンロードでも、これで6作連続のミリオンヒットとなっており、強がっている“君”をそっと受け止めるというお仕着せがましくないエールソングが歌える西野の特性がよく表れている。
総合ランキングはピークの大きな山となっていた2009年から2011年の楽曲が大半となっているが、そこに2014年~2015年の「Darling」が6位、「もしも運命の人がいるのなら」が8位、そして「トリセツ」が3位と、近年のコミカル路線が割り込んでいるのが興味深い。この路線はカラオケでも強いので、今後はこの総合ランキングも変わっていくのかもしれない。また、LINE MUSICなど、サブスクリプション(定額聴き放題)サービスでも、上位となるものが多く、将来的にはそういった要素も加味して彼女のヒット曲を語る時代も来ることだろう。


「会いたくて 会いたくて」から数年、彼女が切ない楽曲を出すたびに「また、会いたくて 会いたくて 震えるような楽曲?(笑)」と揶揄するようなコメントがSNSで散見されるようになり、このヒットが逆に彼女の足かせになっていたような気がする(実際は、前述のように作風を果敢に広げており、配信市場が一気に冷えはじめた2011年~2012年にも3件の50万件以上の配信ヒットを放っていたのだが。先入観とは恐ろしい)。


しかし、これらを跳ね返すほどのヒットとなったのが、これら3作のヒットだ。特に、24thシングル「Darling」はカントリー・タッチの曲調に(日本でカントリーが成立するとは!)、変わり者同士仲良くしていこうという、ほのぼのとした歌詞で、ちょっと肩の力を抜いた作風が、より多くの共感を得たのではないだろうか。実際、本作のヒットには一般投稿者が動画サイトにて、「Darling」のメロディーをBGMとしつつ、歌詞に沿った漫画を披露した動画が爆発的な再生回数となり、若い世代に大きく拡散したと言われる。
また、26thシングルの「もしも運命の人がいるのなら」もミュージカル風に展開するメロディーに、理想の王子様を妄想し続ける女子が描かれており、これまたツッコミどころが多い。デビューから鳴かず飛ばずだった彼女が、既に流行している“会いたいけど会えない”ケータイソング路線に方向転換した途端に配信ヒットを連発したことと、恋愛映画の原作となる少女漫画が次々とヒットする中でコミカルな路線を徹底したことでヒットの常連組に返り咲いたことは、共に単なる偶然ではないだろう。しかも、それはマーケティング的な戦略による創作物というよりも、彼女が時代のトレンドを敏感に読み取って、自然に作り上げたものである可能性が大きいように思える。

ちなみに、彼女は、楽曲制作にあたって周囲の女友達にヒアリングしたり、スタッフのプレゼンに際し、企画書を作ったりしているそうで、生まれ持っての優秀なマーケッターと言えるかもしれない。

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • PunkyFineのそれでいきましょう!~V-MUSICジェネシス日記~
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • Tsubasa Shimada presents / 「Wet Crate」
  • SUPER★DRAGON / 「楽楽★PAINT」
  • OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
  • みねこ美根 / 「映画の指輪のつくり方」
  • 嘘とカメレオン / 「猫を抱いて蝶と泳ぐ」
  • 高槻かなこ / 『PLAYING by CLOSET♪♪』

新着