臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20
Vol.2 コブクロ

総合9位はインディーズ時代の
楽曲「赤い糸」が大健闘

総合9位にはシングル表題曲ではない「赤い糸」がランクイン。カラオケの4位、ダウンロードでの5位(ライブバージョンの25万件を加算すればミリオンヒット)は大健闘と言えるだろう。

「赤い糸」はインディーズ時代の楽曲で、つき合いはじめたカップルのすれ違いと仲直りが描かれた、ほっこりとするラブバラードで、そのストーリー仕立てや共感のしやすさから、メジャー・デビュー後のライブでも人気を得てきたこともあり、2007年のシングル「蒼く 優しく」のカップリングとして、「赤い糸 ~LIVE at 大阪城ホール 2007.07.05~」を収録したところ配信ヒットとなった。

さらに翌年、新垣結衣が2008年10月の2ndシングルにて、この「赤い糸」をカバーし、同時期のコブクロのシングル「時の足音」のカップリングに、スタジオ録音版も発表。しかも、そのミュージックビデオには新垣結衣も出演するという、まさにテレビの情報番組やネットニュースがネタにしたくなるほど、絶妙なコラボレーションが展開されている。

TV番組『MUSIC FAIR』での共演がきっかけとなった絢香×コブクロの件といい、口蹄疫による深刻な被害で苦しんでいた故郷を支援するために繋がった今井美樹×小渕健太郎 with 布袋寅泰+黒田俊介で発売した2010年のシングル「太陽のメロディー」といい、コブクロは楽曲発表にもストーリーがあることが多い。そして、それがとても自然なことも、報道されやすい秘訣でもあるのだろう。
ちなみに、コブクロは配信でのミリオンセラーが「蕾(つぼみ)」「桜」「永遠にともに」「流星」、そしてこの「赤い糸」と実は5作も出ている。これは、当時“着うたフル”と呼ばれていたシングル・ダウンロードが活発だった2007年~2009年頃に、彼らのピークがあったことも大きく影響しているが、「桜」(2005年)や「永遠にともに」(2004年)などブーム前の2作もミリオンを達成していることから、やはり彼らがライトなリスナーにまで幅広く支持されたことが主要因だろう。

また、絢香×コブクロの「WINDING ROAD」は100万件以上、「あなたと」は25万件以上と、こちらもヒットしている。2作とも日産キューブのCMに起用され、前者はこれから走り出していく弾むような曲調、後者はその帰り道のようなしんみりとしたバラードというのも上手い。どちらも幅広い年代に支持される熱唱派ということも相乗効果を生み出したのだろう。
そういったCDやダウンロードは市場の縮小化ゆえやや控えめな順位だが、カラオケでの堂々の1位によって、総合10位となった2015年発売の27thシングル「未来」にも注目してみたい。「桜ソング」の定番として歌われ続けている「桜」や、CDや配信でメガヒットとなった「蕾」や、を上回ってカラオケ1位となっているのは、かなりハイレベルなリクエスト回数と言えるだろう。

本作は、若い女性に人気のコミックを原作とした同年12月公開の映画『orange』の主題歌で、土屋太鳳と山﨑賢人が主演を務めたことも話題となり、さらに翌年2月にはテレビアニメも放映。コミック、映画、アニメ、小説と、まさに近年のメディアミックスのヒットパターンに上手く乗れたことが、幅広いファン層、特に若いファンにも支持を広げるきっかけとなったことも、カラオケ人気に繋がったのだろう。

しかも、本作は映画公開月の2015年12月にCDが発売された後、翌年3月に “Spring Package”を発売し、CDのロングヒットにも繋がった。もともと、「未来」のジャケットは、「桜」のジャケットの相似形としてまだ開花前の桜と、さらに歩みを進めたコブクロが描かれていたが、この“Spring Package”では、その桜が満開になっているのと同時に、原作者である高野苺が登場人物を書き入れたものがジャケットとなっており、こうした演出もファンの購買欲求を駆り立てる。コブクロにはオリジナルアルバム『TIMELESS WORLD』と『NAMELESS WORLD』のデザインが対を為しているなど、こうしたビジュアル面でのサービス精神も豊富なのが特長だ。

もちろん最大の持ち味は、彼ららしい優しいメロディーと泣ける歌声で、本作ではさらにこれまで以上に文学的な匂いを感じさせる日本語の歌詞も大きな魅力だろう。

「未来」(コミックス「orange」ver.)

OKMusic編集部

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