臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20
Vol.2 コブクロ

コブクロがワンパターンなのではない

こうして3部門で決まった総合ランキングを見ると、「蕾」「桜」「ここにしか咲かない花」「流星」、そして「永遠にともに」と、黒田が上体を曲げながら、小渕が眉間に若干のしわを寄せながら、半泣き寸前の声で熱唱しているのが思い浮かぶような名曲がずらりと並んだ。

彼らの楽曲は決してこういった曲調ばかりではなく、穏やかなミディアム・チューンや、ややコミカルなポップ・チューンも存在する。そう、彼らがワンパターンなのではない。むしろ、ワンパターンなのは我々リスナーなのだ。もっと言うと、あの二人の泣きのコンビネーションを堪能してしまうと、他の楽曲が霞んでしまうほど、最強かつ必殺のパターンになっている気がする。

総合14位の「風」も、その最強パターンが“踏襲”されている。本作は2002年2月の4thシングルで、発売当時は様々なポップ・アイコンの女性ソロや男性R&Bに注力されていた頃で、フォーク系統の本作はノンタイアップ、またシングル配信が本格化する前だった。

しかし、04年に再ブレイクしてからは、ライブなどで「風」も再注目されることが多く、06年にはベスト盤『ALL SINGLES BEST』の中でのリード曲の一つとして紹介されることも増え、遂には発売5年目にしてレコチョクの年間85位に登場。その年の『NHK紅白歌合戦』でも披露されこととなった。2006年に大ヒットした「桜」を前の年に歌ってしまっていたから、という意地悪な見方もできなくもないが、大ヒットでもない「風」が歌われたのは、NHK側も歌唱を認めるほど、誰もがその“名曲感”に納得したのだろう。

今後、もしかして、個々のソロ活動や他アーティストへの楽曲提供が多くなったり、彼らがライブに軸足を置いたりして、新曲発表がスローペースになろうとも、また、今後、ヒットのバロメーターがダウンロードからストリーミングや動画再生回数に変わろうとも、彼らが“最強パターン”を見せる限り、永遠にコブクロの楽曲はヒットすると強く感じている。

プロフィール
臼井 孝(うすい・たかし)
1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽系広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品のマーケティングに携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽市場の分析やau MUSIC Storeでの選曲、さらにCD企画(松崎しげる『愛のメモリー』メガ盛りシングルや、演歌歌手によるJ-POPカバーシリーズ『エンカのチカラ』)をする傍ら、共同通信、月刊タレントパワーランキングでも愛と情熱に満ちた連載を執筆。日経エンタテインメント!2018年1月号では、年間ヒットランキングの音楽部門を担当。CDのみで分析していた01年から担当していますが、それから着うた(後にシングル・ダウンロード)、動画再生回数、ビルボード総合と要素が増え、今年はサブスクリプションのSpotifyも取り上げています♪

OKMusic編集部

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