「残酷な天使のテーゼ」と並び、エヴァの代表曲となった「魂のルフラン」

「残酷な天使のテーゼ」と並び、エヴァの代表曲となった「魂のルフラン」

社会現象となった作品と共に記憶され
た“魂のリフレイン”【エヴァンゲリ
オン サウンド・クロニクル <弐>】
前編

1996年3月27日、TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」は最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」の放送をもって終了を迎えた。そのあまりに衝撃的な結末はファンの間で賛否両論となり、エヴァにまつわる議論や論争はそれまで以上に活発化、結果としてエヴァ人気をさらに加速させていくこととなった。
その後、ファンの期待に応える形で、TVシリーズを総集・再構成した「DEATH編」、TVシリーズの第弐拾伍話に相当する完全新作の途中までを描いた「REBIRTH編」からなる劇場版第1弾『新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 DEATH & REBIRTH シト新生』が1997年3月に、TVシリーズの第弐拾伍話&最終話を全編完全新作としてリメイクした劇場版第2弾『新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に』が同年7月にそれぞれ公開された。今回は、その劇場版を彩った音楽の中から代表的なものをピックアップしながら、その魅力を振り返っていこうと思う。

まずは、劇場版を様々な形で盛り上げたヴォーカル楽曲について。やはり最初に紹介しなければならないのは、『DEATH & REBIRTH シト新生』のテーマソング「魂のルフラン」だろう。TVシリーズのオープニングテーマ「残酷な天使のテーゼ」を歌った高橋洋子を再びヴォーカルに迎え、及川眠子(作詞)、大森俊之(作曲・編曲)という布陣で作られたこの曲は、「残酷な天使のテーゼ」が持っていた神秘性や幻想性を受け継ぎながらも、より洗練されたダンサブルかつグルーヴィーなサウンドが印象的なナンバーに仕上がっている。エヴァという作品のテーマの一つである“輪廻”をそこかしこに匂わせた歌詞を、力強く情熱的に歌い上げる高橋洋子のヴォーカルは、聴き手に一瞬の隙も与えない凄みすら漂わせており、その堂々たるパフォーマンスでファンから喝采を浴びることとなった。
シングルのリリースが劇場版第1弾公開の約1ヶ月前だったこともあり、この曲を何度も何度も聴きながら、まだ観ぬ劇場版への想いを募らせていた人も多かったはず。そして劇中では、図らずも未完成となった「REBIRTH編」のラストで流れた為、今度は劇場版第2弾への想いをより一層募らせる楽曲として人々の脳裏に記憶されることに。そういった経緯を踏まえた上であらためてこの曲を聴き返してみると、“空前のエヴァブーム”——あの時代の熱気や空気感がまるで昨日のことのように思い起こされたりも…。

『THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に』では、「THANATOS-IF I CAN'T BE YOURS-」(歌:LOREN&MASH)、「Komm,susser Tod」(歌:ARIANNE)の2曲が挿入歌として作品を彩った。いずれの楽曲も、エヴァの劇伴を手がけている鷺巣詩郎を中心としたプロジェクトによるもので、R&Bやゴスペルといった、鷺巣氏自身のアーティスト活動からフィードバックされた音楽性が垣間見られる興味深い内容となっている。
「THANATOS-IF I CAN'T BE YOURS-」は、エヴァという作品を象徴する劇伴ともいうべき「THANATOS」を英詞のヴォーカルナンバーにアレンジしたもので、「Air」と「まごころを、君に」の間に挿入される、暗がりの中でほのかに赤く輝きながら螺旋を描いていくスタッフロールで使用された。原曲「THANATOS」が持っている悲哀感と切なさが、繊細な中にも情感を滲ませたヴォーカルによって浮き彫りにされ、よりリアルなメッセージとなって聴き手の胸を締めつける…。もう一方の「Komm,susser Tod」は、「まごころを、君に」のハイライトともいうべき“人類補完計画”の発動シーンで流れたナンバー。ある意味、地獄絵図のようなショッキングな映像が続出するシーンにおいて、それとはまさに対極に位置する甘美で穏やかな旋律が、登場キャラクター、ひいては作品を観ている者をも優しく包み込んでいく。それはまるで希望とも絶望ともつかないもどかしさを、映像と音楽のせめぎ合いによって表現しているかのよう…。

TVシリーズのものも含め、エヴァのヴォーカル楽曲はどれをとっても様々な解釈が可能な懐の深さを持ちあわせている。10年以上の月日が経過してなお、名シーンに想いを馳せ、思考をめぐらせることができるという事実がそのことを如実に物語っている。(text by center)

OKMusic編集部

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