「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット」
ダンスの位置づけを向上させた
EXILEのヒットを探る

誰もが知る“ヒット曲”が
上位5位を占拠

総合TOP5を見ると、1位は2008年の「Ti Amo」、2位は2007年の「Lovers Again」、さらに3位は2009年の「ふたつの唇」、4位は2005年の「ただ・・・逢いたくて」、そして5位が2011年の「Rising Sun」と、多くの人が知る“ヒット曲”が並んだ。しかも、その大半がCD、配信、カラオケの3部門ともヒットしており、かなり幅広いリスナーに支持されてきたことが分かる。順を追って見ていこう。
総合1位は28thシングル「The Birthday~Ti Amo~」(2008年)の表題曲となる「Ti Amo」。“帰る場所のある”男性との道ならぬ恋心をつづった切ないバラードで、配信では彼らの作品で唯一Wミリオンを達成。これが“ゲス不倫”と大きく取り沙汰された2016年に発売されていたら、ここまで売れていただろうか。それともウタのチカラで恋心が正当化されただろうか。いずれにせよ、CDは30万枚以上、ダウンロードは200万件以上、カラオケも大ヒットという実績から、何かと物言いが入りやすいネット上でも本作のレコード大賞受賞に関しては、ほぼ異論がなかった。

この状況設定については、1985年発表の小林明子「恋におちて~Fall in Love~」の男性ボーカル版かと思いきや、作詞を担当した松尾潔によると、1978年の沢田研二のヒット曲「LOVE(抱きしめたい)」の男女の立場を逆転させたオマージュとのこと。いずれにせよ、このような感情は時代を超えて珠玉の音楽作品に反映されているということだろう。

総合TOP3を含む7作が
ダウンロードでミリオン達成

総合2位は22ndシングル「Lovers Again」(2007年)。こちらも「Ti Amo」同様に、作詞:松尾潔、作曲:Jin NakamuraのR&B調の切ないバラード。05年の「ただ・・・逢いたくて」以来となるKDDI「au×EXILE」キャンペーンソングとしてヒットし、お笑いコンビのダブルネームが『エンタの神様』や『お笑い芸人歌がうまい王座決定戦』などバラエティー番組で多数モノマネしたことも、配信ヒットを大きく牽引しただろう(この芸人さんによるカバーは本人不在でも、ふだん音楽番組を観ないリスナーにも楽曲の良さを伝えてくれる最高のプロモーションになっているな~とつくづく思う)。

そして、総合3位は2009年の32ndシングル「THE GENERATION~ふたつの唇~」の1曲目に収録された「ふたつの唇」で、これまた作詞:松尾潔×作曲:Jin Nakamuraのコンビによるもの。狂おしいほどの愛を歌ったミディアム・チューンだが、小栗旬主演の刑事ドラマ『東京DOGS』の主題歌にもなったことや、何より本作のミュージック・ビデオがカーチェイスのうえ、車が横転したり、早撃ちしたりとド派手なアクションを各メンバーがこなすという、バブル期もぶっ飛ぶほどの採算ド外視の作りだったことからも、いつも以上に男性ファンを魅了したのではないだろうか。

それにしても松尾潔は、01年ごろ同じ男性ツイン・ボーカルで先陣を切っていたCHEMISTRYをデビューから4年ほど全面プロデュースしていたが、彼らから離れほどなくして、EXILEに鞍替えし(?)、双方でヒットを飛ばしているのが何とも感慨深い。ちなみにATSUSHIは、そのCHEMISTRY結成に向けての『ASAYAN』“男子ヴォーカル・オーディション”のファイナリストでもある。だからこそ、松尾氏にもEXILEの再起に大きな関心があったのだろう。

この2007年から2009年の3つの切なめな曲で、ファルセットを行き来するような高音ボーカルにより、より繊細な声でカラオケを歌う男性も増えたように思う。それ以前も平井堅がその代表格だったが、ガテン系の男性に至るまで幅広くチャレンジするようになったのは、やはりEXILEの影響が大きいだろう。

ちなみにEXILEの楽曲では、総合TOP3を含む7作がダウンロードでミリオン達成、11作が50万件以上、さらに10万件以上も含めるとなんと48作もの配信ヒットが並ぶ。もちろん、彼らがレコード大賞を3年連続獲得していた2008年~2010年というのはちょうどダウンロード全盛の頃で、毎年5作以上のミリオンヒットが生まれていたが、それでもこの数は全アーティストの中でもトップクラスで、彼らがその存在感のみならず、楽曲自体も支持されてきたことを裏付けている。

OKMusic編集部

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