L→R 山田稔明(Vo&Gu)、堀越和子(Key)、須藤俊明(Ba)、高橋結子(Per)

L→R 山田稔明(Vo&Gu)、堀越和子(Key)、須藤俊明(Ba)、高橋結子(Per)

【GOMES THE HITMAN インタビュー】
ねじれ方、ひねくれ方も含めて
一本筋が通っている

清涼感のあるエバーグリーンなポップスを多数輩出してきたGOMES THE HITMAN。今回発売となった2000年代発売の『mono』『omni』『ripple』の3作品を収めたボックス『00-ism』は、彼らの過渡期や変革期を捉え切り取ったもの。あの時節の彼らの趣向や指向が色濃く表れた、実に興味深い逸品だ。現在の彼らを辿るには避けて通れぬ重要な今作を山田稔明(Vo&Gu)が振り返る。

今年結成25周年を迎えたGOMES THE HITMANですが、ここまでを振り返っていかがですか?

正直、みなさんが想像するほど、あっという間ではなかったです(笑)。都度都度の段階をひとつひとつ時間を費やしてクリアしてきた感があって、きちんと25年分の思い出が詰まってるというか。そんな中、今回、こんな豪華なボックスを出してもらえて、ほんと長く続けてきて良かったです。

今作を聴き返してみていかがでした?

2000年代は自分としてすごく悩んでいた時期だったんだなって。でも、この時期があり、そこを抜けられたからこそ今へのつながりもあるわけで。

現在活動中のご自身のソロも順調そうですもんね。

音楽家としてはすごく幸せ者です。メンバーも全員元気だし。活動休止時と同じメンバーで始められたのも、その間に誰も音楽を辞めてなかったからだし。ほんといろいろな人に感謝してます。それこそこのボックスの時期…2000年代の自分はかなり扱いにくかったでしょうから(笑)。我儘だったり、逆に思い詰めたり…。今はまったくそんなことないですけどね(笑)。

今回のボックスは今となってはかなり貴重なアルバム群が収められているとか?

そうなんです。フィジカルとしては見なくなって久しい作品ばかりなので、それがゴソッと10年分揃ってますからね。

GOMES THE HITMANは一貫して良質で清涼感のあるポップスを演っていた印象があったんですが、今回聴き返し、実はいろいろなことをやってきたことに改めて気付きました。

実は僕、結構音楽リスナーだったりするんです。当時から聴く音楽もネオアコやポップスだけに留まってなくて。90年代の楽曲はかなりネオアコやギターポップ寄りでしたが、その好んで聴いているものと演ってるものを近付けていく作業が2000年代で。当時はUSインディーズを好んでよく聴いてました。

この時期はダブやループ、自分たち以外の楽器を積極的に導入しているのも印象的でした。

自身が好んで聴いている音楽と、ずっと好きで聴き続けているシンガーソングライター的なもののハイブリッドを目指してましたからね。それもあってダウナーな面も含め、その時々の自分の心境が反映されたり、映し出されたりしていて。時代と作っているものとが一致していた感があるというか。それこそ『mono』なんて、インディーズに立ち戻ってマンションの一室で制作しましたから(笑)。

次作『omni』では、またそこも変貌していきますね。

2000年代の3~4年でのこの振り幅や移行はすごいですよね(笑)。濃厚。『omni』に関しては“2度目のメジャーデビュー!”との気概もあったし。なので、あえて前作の『mono』とは真逆なことをやってみました。それとこの時期はライヴもかなり増えたので、僕らを知らない方でも親しみが持てるような、多少身体が動かせるもの…いわゆるライヴ映えする曲を意識して作っていったんです。

この『omni』ではストリングスやホーン等、自分たち以外の楽器もふんだんに取り入れられていて。

なんか、“メジャーに戻ってきた~!”って一枚じゃないですか。贅沢させてもらいました(笑)。再びメジャーになり、作品の制作費も上がったんで、比較的好きなことややりたかったことを実現させてみたんです。

で、さらに次作『ripple』になると、逆にそこを抜けて豪快さに向かった印象を受けました。

逆にあえて広いスタジオをあまり使わなくなったんです。こと、この『ripple』の演奏に関してはすごく熱い瞬間があるんですが、対して僕のヴォーカルがあえてずっと平熱で。そんな不思議な作品でもあります。

秘めたエモさみたいなものを、この『ripple』からは感じました。

今聴き返したり、歌詞カードを読んでいると、何かがほとばしっていますよね。はみ出した気持ちみたいなものが。それって逆に今の自分にはないものかもしれない。

総括するとこの時期は、良い意味でも悪い意味でも試行錯誤していた感があって。自分たちらしさを守りつつ、どう違ったアプローチや新機軸、新しい要素を打ち出すかとの葛藤だったようにも映ります。

この3作品の時期に関しては、“バンドなんだけど、どうバンドじゃない体勢でやるか?”みたいなところがありました。それこそソングライターとしてのエゴは保ったままで。

逆に変わらなかった部分の存在にも改めて気付きましたよ。

自分でも一本筋が通っていることを感じます。ねじれ方、ひねくれ方も含めて。このような10年間だったなと改めて思ったし。ひとりの人間の志向が言葉を尽くして、考え尽くして、そこに答えは出なかったかもしれませんが、その過程は表われていると自覚してますから。

この時期を経たからこそ、逆にツルンと何かが抜け落ちたかのように、ソロを通し今一度自身の音楽に立ち戻れた印象もあるのでは?

思い悩み尽くしたんでしょうね、きっと。僕らの最新作の『ripple』、これが自分の中ではもっとも良いアルバムだと未だに思っていて。それを今後は更新していきたいんです。『ripple』の延長線上に自分のプロジェクトが始まった感もあるし。

今回のボックスセットの主な聴きどころを教えてください。

今回はメンバー全員でマスタリングも携わらせてもらいました。各アルバム、当時はコンセプトアルバムを作ろうと挑んだものばかりで。『mono』と『omni』の対になる2作品、それで足りないものを『ripple』で補った感じなんです。それこそこのボックスはレーベルを超えた3部作でもありますから。なので、ぜひこの3枚を、この順番と曲順通りで聴いてもらいたいです。

発売日には、他にもいろいろと関連作品のリリースが目白押しだそうで。

そうなんです。同日に2013年に作った僕のソロの作品『新しい青の時代』のアナログ盤も出て、1990年代後半に手売りしていた楽曲集を新たに現メンバーで録り直して、これも同日に出します。そして、ここから次は逆に新しいことをやっていきます。2019年中にはニューアルバムを出すって公言しちゃったし(笑)。これからもライヴもディスコグラフィーも更新していきますから。常に最新アルバムがもっとも良いと評価される音楽家でいたくて。とにかく、懐かしがられないミュージシャン。それが今後の目標です。

取材:池田スカオ和宏

BOX『00-ism [mono/omni/ripple] compilation of the works in 00’s(including some miscellaneous debris)』2018年7月25日発売 VAP
    • VPCC-86203
    • ¥5,556(税抜)
    • ※デジパック仕様
    • ※24Pブックレット収納

『GOMES THE HITMAN 00-ism 2018』

8/24(金) 愛知・名古屋 K.D. ハポン
8/25(土) 大阪・Knave
8/26(日) 京都・ケイブンシャCOTTAGE
※『珈琲と音楽とカレーな京都』にアコースティック編成で出演予定
9/01(土) 東京・吉祥寺 スターパインズカフェ

GOMES THE HITMAN プロフィール

ゴメス・ザ・ヒットマン:1993年に東京外国語大学の音楽サークル内で結成され、99年にメジャーデビュー。05年発表のアルバム『ripple』に収録された「手と手、影と影」がジャックスカードのCMソングに起用され、知名度を上げた。長い冬眠時間を経て14年からライヴ活動を再開。18年夏には13年振りのリリースとなる未発表曲集『SONG LIMBO』を発売予定。19年12月にニューアルバムを発表することを公言している。GOMES THE HITMAN オフィシャルサイト

L→R 山田稔明(Vo&Gu)、堀越和子(Key)、須藤俊明(Ba)、高橋結子(Per)
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BOX『00-ism [mono/omni/ripple] compilation of the works in 00’s(including some miscellaneous debris)』

OKMusic編集部

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