70sアメリカンロックの
進むべき道を示したザ・バーズの
『タイトルのないアルバム』

人気グループの仲間入りと
メンバー間の不和

2作目のアルバム『ターン! ターン! ターン!』(‘65)ではメンバー全員がちゃんと楽器を演奏し、シングルカットされたタイトル曲は「ミスター・タンブリンマン」に続いて全米1位を獲得する。これも自作曲ではなかった(ピート・シーガーがトラッドを改変したもの)が、フォークロックというジャンルを定着させた作品となり、人気ロックグループの仲間入りを果たす。しかし、ツアーなどで一緒にいる時間が長くなると、人間関係でのトラブルも発生し、次作『霧の5次元(原題:Fifth Dimension)』(’66)のレコーディング中にジーン・クラークが脱退する。しかし、マッギンと並ぶソングライターのクラークが脱退したことによって、クロスビーやヒルマンらも曲作りに取り組むようになり、音楽の幅は広がっていった。また、『霧の5次元』では新たな試みとしてラーガロックやサイケデリックロックへのアプローチも見られるなど、フォークロックという枠組みには収まらない方向性も持つようになる。このあたり、メルチャーは予想していなかった展開だろう…というか、『ターン! ターン! ターン!』の後、メンバーがレコード会社に直訴することによってメルチャーはプロデューサーを外されている。これは商品であったバーズがいつの間にかロックミュージシャンとして自意識を持つまでに成長したからだと言えるのかもしれない。

4枚目の『昨日よりも若く(原題:Younger Than Yesterday)』(‘67)と5枚目の『名うてのバード兄弟(原題:The Notorious Byrd Brothers)』(’68)では、テープの逆回転やジェットマシーンを導入するなど、ビートルズの影響も取り込んだ最新のロックを披露しつつ、一般的には古臭い音楽だと考えられていたカントリーやブルーグラスなどに接近しているところに、当時の西海岸ロッカーたちの雑食性がしっかりと浮かび出ている。こういうところにフォークリバイバルの思想が生き残っているのだ。

しかし、『名うてのバード兄弟』の録音の途中で、デヴィッド・クロスビーとマイケル・クラークが脱退してしまい、グループは空中分解しそうになるのだが、グループに新たなメンバーとしてグラム・パーソンズを加えることで、バーズの音楽はロックグループからカントリーロックグループへと、大きな転換期を迎えることになる。

OKMusic編集部

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