フリーの『ファイア・アンド・
ウォーター』は早熟の天才たちによる
ハードロック黎明期の傑作

15歳アンディ・フレイザーの
卓越したベースプレイ

フリーのベーシスト、アンディ・フレイザーは5歳からピアノを習い、12歳でギターを始めている。13歳ですでにクラブで演奏していたという。15歳で学校をドロップアウト、社会人向けの短期音楽セミナーに通っていたところ、アレクシス・コーナーの息子がフレイザーのプレイに衝撃を受け、彼は父親に連絡する。ジョン・メイオールがベーシストを探しているとコーナーは聞いていたのでフレイザーを推薦し、メイオールのブルース・ブレイカーズに短期ではあるが雇われることになったのだった。コーナーはその後もフレイザーに目をかけ、彼のグループへの参加が決まった時、“フリー”というグループ名を付けたのはコーナーである。

フリー結成

68年、ポール・ロジャース(ヴォーカル)、ポール・コゾフ(ギター)、アンディ・フレイザー(ベース・キーボード)、サイモン・カーク(ドラム)という強力なメンバーでスタートしたフリーは、若手ブルースロックバンドとして、コーナーの口利きでライヴ会場を紹介してもらったり、コーナーのグループの前座で活動したりと、徐々にその名を知られるようになっていく。コーナーの世話になっているだけに、グループ結成当初はブルースロックバンドというスタンスは変えなかったが、結成してすぐに新興のアイランドレコードに認められ(おそらくコーナーの推薦があったものと思われる)、翌年にはデビューアルバム『トンズ・オブ・ソブズ』をリリースする。

ブルースロックからハードロックへ

『トンズ・オブ・ソブズ』はブルースロックとハードロックが半々程度に収録されており、まとまりのなさは感じるものの演奏は充実している。コゾフの重厚でテクニカルなギターソロと、すでにハードロック的でアグレッシブなフレイザーのベースは素晴らしい。それに比べるとロジャースのヴォーカルはここではまだ優等生的な歌い方で、あまり印象に残らない。カークの演奏も可もなく不可もなくといった感じ。ただ、オリジナル曲はすでにハードロック的な萌芽が見られ、ブルースのカバー(2曲)がなければもう少し違ったテイストになっていたであろう。この作品ではコゾフのギターが冴え渡っている。

続くセカンド作『フリー』(‘69)は前作の反省からか全曲オリジナルで占められ、全9曲のうち8曲がロジャースとフレイザーの共作である。この作品はベテランロッカーのような落ち着きと渋さを持った仕上がりである。前作の後で行なった長期ツアーの成果が出ているようで、バンドのまとまりが際立っていると言えるだろう。ブルースナンバーはなく、ロックグループとしてのアンサンブルに重点を置いた作品になった。年齢が近いこともあって、当時親交のあったスティーブ・ウインウッド率いるトラフィックに影響を受けたのかもしれない。コーラスやフルートの導入(トラフィックのクリス・ウッドがゲスト参加)など新たなチャレンジもあって、全英チャートでは22位に食い込む結果となった。ただ、アドリブ中心のギターソロが減らされたことで、コゾフは曲作りの要であるロジャースとフレイザーに不満を持つようになる。

OKMusic編集部

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