【ももすももす インタビュー】
曲作りは絵を描いているような感覚
聴いた人の中で曲の世界が変わって
自分が全然知らないものになってほしい
カップリングの「Confession」は“大切なものを壊したくなる”っていう執着心とか生々しい感情が書かれていると思いました。
すごく大事なものを火にかけて燃やしたら灰になるじゃないですか。その灰で文字を書いているような気分だったので、MVも白黒にしてもらいました。歌詞に“漫画”と出てくるのも白黒のイメージで。
大切なものっていうのは感情?
ものでもあるし、感情もものになり得るし、ものも感情に見える時がある。大切なものって人それぞれだけど、いつかは絶対になくなるじゃないですか。それを言葉で悲しいって言ってても、心では安心していることってきっとあると思うんです。
タイトルの意味が“告白”なのも、その想いを提示するっていう意味ですか?
そうですね。すごくライトな表現をすると…古本屋さんに行くのが好きなんですけど、すごく良い本を見つけるじゃないですか。そしたらその本を私以外の人の目に触れさせたくないって気持ちが沸いて絶対に買っちゃうんです。そしたらその本は私以外の誰にも見られることなく、私と一緒にいつかなくなるし、それを望んでいるっていう気持ちです。それだけじゃないんですけど、具体的な言葉にはしたくないし、できないと思うので、この曲に詰め込みました。
自分の楽曲がリスナーにとって“こういう存在になったらいいな”って想像することはありますか?
今回の2曲って人を笑顔にすることは難しいと思うんですよ。だけど、悲しんでいる人の顔がちょっとだけやわらかくなったらいいなっていう想いを込めてます。
切実な想いですね。
でも、曲が完成すると他人のようになってしまって。完成する前は“ここをこうしよう”っていうのがたくさんあるんですけど、出来上がったら知らない人のような気分だから、“どこまでも遠くに行って帰って来ないでください”って気持ちになるんです。一番嬉しいのは、曲を聴いているうちに“花を買おう”って思って花屋さんに行って、曲のイメージにあった花を考えてくれたりすることで。その花が散った時にかわいい猫の頭に花びらが乗って“かわいい、幸せ!”みたいな、そういうふうに曲の世界が変わっていったらいいなと思います。自分が全然知らないものになってほしいです。
アーティストとして“こんな存在になりたい”というビジョンはありますか?
うーん、猫みたいになりたいですね(笑)。癒されるし、人間を傷付けることもないから。最近、人間の心の強さと身体の脆さを同時に目の当たりにする機会があって“人間じゃなくて動物になりたいな”って朝まで考えていたんですけど、思い付いたのが考え事をしないってことだったんですよ。
やめられなさそう(笑)。歌詞もそうですけど、ももすさんの頭の中って交わらなさそうなものがたくさん入り混じっていますよね。
はい。頭の中にいっぱい矛盾している想いがあって、ずっと考えちゃうんですけど、解決しないことばかりです。
でも、考えたことない人にとっては、その矛盾が興味や惹き付けられる魅力になるのかなって思います。さまざまな想像も生まれるでしょうし。
ありがとうございます。人に言っていただくものと自分の中のものに結構差が大きくあって、それが今後どうやって埋まっていくのかも楽しみだし、どんどん離れて行ってやろう!みたいな気持ちもあります(笑)。これからどんな感想を言っていただけるのか今から楽しみですね。
取材:千々和香苗
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シングル「木馬」2019年2月13日発売
TRIAD/日本コロムビア
ももすももす:常々渦巻く思考を独自の詩的な表現で紡ぐシンガーソングライター。学生時代に組んだバンドでも作詞作曲を手掛け、2018年からソロ活動を開始。同年にデモ音源「うさぎの耳」を配信リリースし、19年2月にはシングル「木馬」でメジャーデビュー。20年3月には1stアルバム『彗星吟遊』を発表した。ももすももす オフィシャルHP
「木馬」MV
「Confession」MV