CSN&Yの『デジャ・ヴ』は
70sアメリカンロックの進むべき道を
提示した圧倒的な名盤

本作『デジャ・ヴ』について

このアルバムが日本でリリースされた時、当時の若者たちは熱狂を持って迎えた。それは一般のリスナーだけでなく、多くのアーティストたちにも衝撃を与え、70年代初頭の日本のポピュラー音楽は多かれ少なかれ彼らの影響が見え隠れしていた。僕が中学生の時に読んでいた『ミュージックライフ』の誌面ではミュージシャンの人気投票があって、何年かは忘れた(71年か72年だと思う)が、レッド・ツェッペリンとCSN&Yが1位と2位を争い、最終的にCSN&Yが1位を獲得するという時期があった。このエピソードだけでも日本での彼らの人気ぶりが分かると思う。

『ウッドストック』の出演と前作の『CS&N』の完成度の高さから、本作はリリースされる前から大きな話題となり、予約だけで200万枚を越える大ヒットとなった。全米アルバムチャートでは1位、全英チャートでも5位となっている。

収録曲は10曲。グレアム・ナッシュの「ティーチ・ユア・チルドレン」と「僕達の家(原題:Our House)」は本作のみならず、アメリカ人にとって誰もが知る名曲であるし、ニール・ヤングの「ヘルプレス」、デビッド・クロスビーの「オールモスト・カット・マイ・ヘア」、スティーブ・スティルスの「キャリー・オン」、ジョニ・ミッチェルの「ウッドストック」など、名曲のオンパレードだ。特に1曲目の「キャリー・オン」は、CSN&Yサウンドの核とも言える変則チューニングの生ギターと独特のコーラスで、冒頭から彼らの世界に引き込まれる。この曲にはヤングは参加しておらず、リード・ギター、生ギター、ベース、キーボードを担当するスティルスの独壇場となっている。スティルスの個性がCSN&Yの要となっているのがよく分かるナンバーだ。

「ティーチ・ユア・チルドレン」は当時日本だけで流行ったイギリス映画『小さな恋のメロディ』で、ビージーズの「メロディ・フェア」とともに劇中に流れたので、どちらも日本では大ヒットした。主演のマーク・レスターとトレーシー・ハイドは中高生に絶大な人気があったが、なぜか本国イギリスでは大コケだったそう。この曲にはグレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアがペダルスティールで参加している。このガルシアの演奏で日本のアーティストは影響を受け、小坂忠&フォージョーハーフやディラン・セカンドなど、ペダルスティールを取り入れたグループが一気に増えた。この曲もヤングは参加していない。

続く3曲目の「オールモスト・カット・マイ・ヘア」では、ヤング(ようやく登場!)とスティルスのツイン・リードギターが聴ける。「ヘルプレス」はザ・バンドに影響を受けたと思われるヤングの名曲で、スティルスの泥臭いピアノがご機嫌なナンバー。「ウッドストック」ではCSN&Yのコーラスのお手本的な仕上がりになっていて、ポコやファイアーフォールといったグループはCSN&Yのコーラスを忠実に再現している。

ちなみに本作のベースはグレッグ・リーヴズ、ドラムはダラス・テイラーで、ジャケットにもその姿は写っているので、ゲストではなく正規のメンバーである。ダラス・テイラーは2015年に66歳で亡くなるが、スティルスのマナサスにも参加している著名なドラマーで、黒人ベーシストのグレッグ・リーヴズはモータウンのスタジオミュージシャンである。

もしCSN&Yの音楽を聴いたことがなければ、本作をぜひ聴いてみてほしい。時代を超えて聴くべき作品であることは間違いないし、何より良い曲がいっぱい詰まっているから年齢に関係なく楽しめるはずです♪

TEXT:河崎直人

アルバム『Déjà Vu』1970年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. キャリー・オン/Carry On
    • 2. ティーチ・ユア・チルドレン/ Teach Your Children
    • 3. カット・マイ・ヘア/Almost Cut My Hair
    • 4. ヘルプレス/Helpless
    • 5. ウッドストック/Woodstock
    • 6. デジャ・ヴ/Déjà Vu
    • 7. 僕達の家/Our House
    • 8. 4+20 - 4+20/2:04
    • 9. カントリー・ガール/Country Girl
    • 10. エブリバディ・アイ・ラヴ・ユー/Everybody I Love You
『Déjà Vu』(’70)/Crosby, Stills, Nash & Young

OKMusic編集部

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