ザ・ビートルズ解散後、
初めてメンバー全員が参加した
リンゴ・スターの代表作『リンゴ』

本作『リンゴ』について

リンゴが「1970年代ビートルズ物語」で歌った望みは、完全なかたちではないが、本作『リンゴ』で実現することになる。ビートルズ解散後、メンバー全員がひとつのアルバム内でクレジットされるのは、これが初めてとなる。もちろん、顔を突き合わせての録音は叶わなかったが、それでもやっぱり快挙だろう。収録曲は全10曲。CDには「明日への願い」と前述の「1970年代ビートルズ物語」、「ダウン・アンド・アウト」(本作収録の第一弾シングル「フォトグラフ」のB面)の3曲がボーナストラックとして収められている。

アルバムはジョン・レノン作の「アイム・ザ・グレーテスト」からスタート。この曲はリンゴ、ジョン、ジョージの3人とクラウス・フォアマン、ビリー・プレストンという布陣での録音。「シックス・オクロック」はポールとリンダの共作で、リンゴ、ポール&リンダ、著名なソングライターとしても知られるヴィニ・ポンシア、クラウス・フォアマンというメンバーでの録音。ジョンとポールは1曲ずつの提供だが、ジョージは3曲を提供(リンゴとの共作を含む)しており、そのうちの「フォトグラフ」は第一弾シングルとしてリリースされ、全米1位の大ヒットとなる。凝ったアレンジがなされているが、シンプルで優しい曲調が特徴だ。

「サンシャイン・ライフ・フォー・ミー」ではリチャード・マニュエルを除くザ・バンドの面々に、ジェリー・ジェフ・ウォーカーのバックギタリストとして名を挙げたデビッド・ブロンバーグとジョージ、クラウス・フォアマンが参加し、オールドタイムの香りのするアメリカン・ルーツロックに仕上がっている。ジョージもリンゴも、本当にザ・バンドが好きなんだなと再認識できるナンバーだ。第2弾シングルとしてリリースされ、これまた全米1位を獲得する「ユー・アー・シックスティーン」はシャーマン兄弟作で、ジョニー・バーネットが1960年にヒットさせたオールディーズ曲。ポールがカズーで参加し、ひょうきんな良い味を出している。

僕が本作で一番好きなのが第3弾シングルの「オー・マイ・マイ」(全米5位)。トム・スコットのサックス、ジム・ケルトナーのドラム、ビリー・プレストンのピアノ、クラウス・フォアマンのベース、ボックヴォーカルにメリー・クレイトンとマーサ・リーヴスというメンバーで、70sストーンズみたいなスワンプロックを聴かせる。本作で最もファンキーで泥臭いサウンドになっている。

アルバムに参加したメンバーは前述のミュージシャンの他、マーク・ボラン、スティーブ・クロッパー、ニッキー・ホプキンス、ハリー・ニルソン、ジェームズ・ブッカー、ボビー・キーズ等々で、リンゴの広い人脈というよりは、彼が好きな人を集めたという感じである。考えられないほど豪華なメンバーが本作を盛り立てているわけだが、主役はちゃんとリンゴになっている。言い換えれば、彼の温かい人間性がちゃんと見えているわけで、そのあたりに本作の魅力があるのだと思う。

オールスターバンドのコンサートに行った人も行かない人も、この機会に本作『リンゴ』をぜひ味わってみてください♪

TEXT:河崎直人

アルバム『Ringo』1973年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. アイム・ザ・グレーテスト/I'm the Greatest
    • 2. ハヴ・ユー・シーン・マイ・ベイビー(ホールド・オン) / Have You Seen My Baby
    • 3. 想い出のフォトグラフ/Photograph
    • 4. サンシャイン・ライフ・フォー・ミー/ Sunshine Life For Me
    • 5. ユア・シックスティーン/You're Sixteen
    • 6. オー・マイ・マイ/Oh My My
    • 7. ステップ・ライトリー/Step Lightly
    • 8. シックス・オクロック/Six O'Clock
    • 9. デヴィル・ウーマン/Devil Woman
    • 10. ユー・アンド・ミー/You and Me
    • 〜CD Bonus track〜
    • 11. 明日への願い/It Don't Come Easy
    • 12. 1970年代ビートルズ物語/Early 1970
    • 13. ダウン・アンド・アウト/Down and Out
『Ringo』(’73)/Ringo Starr

OKMusic編集部

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