デュアン・オールマンの名演が
収録されたボズ・スキャッグスの
2ndソロ『ボズ・スキャッグス
&デュアン・オールマン』

本作『ボズ・スキャッグス』について

本作は当時設立したばかりのマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオで録音された。特筆すべきはバックを支えるマッスル・ショールズのリズムセクションに加えてデュアン・オールマンが全面参加していることだ。12分以上におよぶフェントン・ロビンソンのカバー「ローン・ミー・ア・ダイム」では、デュアンはスライドではなく指弾きでのギターソロを披露しており、その圧倒的なプレイはまさしく彼の数ある名演の中でもトップレベルに挙げられる内容である。

この曲については前述したデュアン・オールマンの『アンソロジー』にも収録されており、それで初めて本作の存在を知った人は多いと思う。かく言う僕もそうだった。アンソロジーの中でも特に「ローン・ミー・ア・ダイム」の出来は際立っており、本作を慌てて購入した記憶がある。おそらくボズの作品中、最も知られていないのが本作ではないか。それぐらい、このアルバムには都会的な要素が少なく、売れてからのボズらしさは見られないからだ。しかし、僕は本作がボズの最高作だと考えている。それはデュアンの超絶プレイだけではない。ボズの自作曲は味わい深く自然体で聴かせるヴォーカルも実に素晴らしいし、歌を活かすようなスワンパーズの演奏も見事なのである。50年前にリリースされた作品なのに今聴いても全く古びていないのは、やはり本作の持つ普遍的パワーとしか言いようがない。

収録曲は全部で9曲。デュアンはスライドを中心ではあるものの、曲によってギターとドブロを使い分けている。また、オールマンブラザーズのライヴ時のような緊張感はあまり見せず、レイドバックした巧みなプレイで勝負している。「ナウ・ユア・ゴーン」ではスライドをペダルスティールのように弾いており、これはおそらく本作でしか聴けない演奏である。

ボズの自作曲はどれも素晴らしく、彼の音楽がR&Bやサザンソウルに大きな影響を受けているのがよく分かる。一方、カントリー風の曲はマリア・マルダーらに通じるグッドタイムミュージック的なテイストを持っており、こちらも文句なしの出来栄えである。本作は、最初はとっつきにくいかもしれないが、聴けば聴くほどその良さが深まってくるので、『スロー・ダンサー』や『シルク・ディグリーズ』が好きな人もぜひ聴いてみてください♪

最後に…

5月5日の仙台公演を皮切りに、日本公演がスタートする。日本での人気は相変わらず高いようで、東京公演はすでにソールドアウトになっている。最近のアルバムはだんだん泥臭いサウンドに回帰してきているので、もしかしたら今回の来日公演では、本作『ボズ・スキャッグス』的なサウンドが聴けるかもしれない。

TEXT:河崎直人

アルバム『Boz Scaggs』1969年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. アイム・イージー/I'M EASY
    • 2. アイル・ビー・ロング・ゴーン/I'LL BE LONG GONE
    • 3. アナザー・デイ/ANOTHER DAY(Another Letter)
    • 4. 君去りし時/NOW YOU'RE GONE
    • 5. ファインディング・ハー/FINDING HER
    • 6. ルック・ホワット・アイ・ガット/LOOK WHAT I GOT
    • 7. ウェイティング・フォー・ア・トレイン/WAITING FOR A TRAIN
    • 8. ローン・ミー・ア・ダイム/LOAN ME A DIME
    • 9. スウィート・リリース/SWEET RELEASE
    • - Bonus Track -
    • 10. アイル・ビー・ロング・ゴーン(ショート・シングル・ヴァージョン)/I'LL BE LONG GONE(Short Single Version)
    • 11. アイル・ビー・ロング・ゴーン(ロング・シングル・ヴァージョン)/I'LL BE LONG GONE(Long Single Version)
『Boz Scaggs』(’69)/Boz Scaggs

OKMusic編集部

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