L→R 張替智広(Dr)、後藤秀人(Gu)、伊藤俊吾(Vo&Gu&Kye)、佐々木 良(Cho&Gu)、白井雄介(Ba)

L→R 張替智広(Dr)、後藤秀人(Gu)、伊藤俊吾(Vo&Gu&Kye)、佐々木 良(Cho&Gu)、白井雄介(Ba)

【キンモクセイ インタビュー】
非常にキンモクセイらしい
アルバムになった

持ち寄った曲を並べた時、
往年の『ザ・ベストテン』感があった

なるほど。では、ここからはその作品内容の話に。昨年の復活第一弾的なイベント出演の際、“この5人で久しぶりに集まったことに刺激され、キンモクセイ用の新曲も作り始めた”的なこともMCではおっしゃられてましたよね。

伊藤
それが今回のアルバム1曲目の「セレモニー」だったんです。もともとはそのイベントに向け、“久しぶりにみんなでスタジオに入るんだから、新曲を持って行ったら驚いたり喜んでくれるのでは?”とのアイデアから始まったもので。とはいえ、結局リハまでに歌詞ができず、当日は披露できませんでしたが(笑)。

「セレモニー」は今作の中でももっとも一般の方がイメージするキンモクセイっぽい曲ですよね?

伊藤
キンモクセイの作品っていわゆる“○○みたいな感じ”の曲が多かったじゃないですか。僕ら往年のポップスが好きだったので、それをオマージュした曲を自分たち的解釈でやってみることが多々あったんですが、「セレモニー」に関しては、初めて自ら“キンモクセイみたいな曲を作ろう!”と明確に意識して作り始めたんです。それも一旦離れたからこそ見えた景色だったんでしょうね。“キンモクセイって何なんだ?”を自分なりに消化できた曲が、この「セレモニー」だったんです。

そのわりには他の曲は“○○みたいな感じ”といったオマージュ曲のオンパレードになっていますが。

伊藤
今回は“それぞれ2曲ずつ曲を作ろう!”との話になり、結果このようなバラエティーに富んだ作品に仕上がったんです。

聴き進めると古今東西さまざまな音楽ジャンルやテイストが飛び出してきます。

伊藤
メンバーが持ってきた曲を並べた時、往年の『ザ・ベストテン』感があったんです。昭和62年頃の夜8時の空気感とでもいうか…最初はそれこそアルバムタイトルも“ザ・ベストテン”にしようと考えてたぐらいで(笑)。でも、「セレモニー」然り、他の曲然り、結果的に非常にキンモクセイらしいアルバムになったかなって。当初はやはり若干の不安もありましたから。久々の作品なので、せっかくだからもっとキンモクセイっぽい曲があったほうがいいのかなとか。でも、逆に他の人たちには追従できない領域まで来た感があったんです。もともとあえて人が避けて通る部分もやっちゃう面白さが自分たちにはあったし。逆にそこを明確にコンセプトとして固めて作り上げていったんです。
白井
久しぶりにこの5人が集まった嬉しさや楽しさもあったんでしょうね。どうしてもリスナーとしての音楽愛から楽曲で遊びたくなっちゃったんですよ。“これ、こんなサウンドにしたらみんなが喜ぶんじゃないかな”とか、そんなことばかり思い浮かべて作ってました。あと、僕的には「セレモニー」はイトシュン(伊藤の愛称)が過去の自分を再評価したととらえていて、これもある種のオマージュだなって。

各人の制作曲たちに話を移すと、佐々木さんが持ち寄った「ベター・レター」「エイト・エイティ」は80'sっぽいテイストの曲たちですね。

佐々木
僕の場合は楽器やバンドを始めた頃の感じの曲を今のキンモクセイとしてやってみたかったんです。しかも、8ビートで。それぞれニューウェイヴな感じに落ち着いたのは、みんなでセッションしながらアレンジを固めていったからでしょうね。1番は僕が歌って、2番からイトシュンが歌っているんですけど、この辺りはYMOが80年代に使っていた手法を取り入れてみました。

ヴォーカルが往年の高橋幸宏さんっぽいですもんね。YMOと言えば、白井さんの「TOKYO MAGIC JAPANESE MUSIC」は細野晴臣さんの70年代中頃の音楽性に近似を感じました。

白井
細野さんのトロピカル三部作(『トロピカル・ダンディー』『泰安洋行』『はらいそ」)の大ファンなので、僕。でも、逆にこれはキンモクセイにとっては新しい領域でもありました。これまではどうしても歌詞と歌が主軸だったので、今回はあえてサウンドや演奏面でも印象付けたかったもので。これもほとんどセッションで、みんなで仕上げていきました。

後藤さんの「ない!」はオールディーズ、「今夜」はジャジーなタイプの楽曲ですね。

後藤
僕はどうしても歌詞が書けなかったので、そこは伊藤に任せて僕は作曲のみでした。これはそれこそ伊藤の家で一緒に作ったんです。「今夜」のほうはスタジオ一発録りで。最終的にはスウィング感のある、ブルーノートで録っているような音作りになりました。

張替さんの「渚のラプソディ」はサーフミュージックで、「ダージリン」はナイアガラサウンドですね。

張替
ナイアガラサウンドというよりもフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドかな。それぞれガールズポップスグループが歌ってもおかしくない曲たちに仕上がった感はあります。
伊藤
それらも含め、全体的に今だからこそ出せた作品になったんじゃないかな。当時からこれらに近いこともやっていたし、活動のコンセプトとして持ってはいましたが、その意図や真意みたいなものを伝え切れていなかったというか。このような音楽って一歩間違うとダサくとらえられちゃうじゃないですか。

確かに。

伊藤
でも、逆にキンモクセイ的にはそれが良くて。ダサさってある意味でポピュラリティーと隣り合わせだと時々実感するんですよ。“ダサい”って言い換えると、すごく間口も広いし、包容力もあるし、好きになってもらえるきっかけも多そう。でも、時代毎にカッコ良く解釈されたり、過去の遺物としてダサいものとして嘲笑されたりと紙一重で。僕らの活動ってその誤解と隣り合わせでしたから。かつてメジャーの際には誤解されていた面もあったりしたけど、今回は自分たちで思い通りにできた分、その意図を上手く伝えられたかなって。

その紙一重ってすごく分かります。

伊藤
基本的に僕たちもメロディーや歌に関してはエバーグリーンを目指していましたけど、ある種、ダサくて時代とともに風化されていくものもジャパニーズポップスだったんだなって。やはり大衆やヤンキー文化にコミットできるのがジャパニーズポップスでしょうから。そう考えると今作の楽曲たちも日本人独自の音楽性だったのかもしれないなって。

歌詞にも変化が見受けられました。今回はより韻を踏んでいたり、言葉のレトリックを使うことで、従来のメロディーに合った歌詞に加え、ビートやリズムに合った歌詞も加わったという印象があります。

伊藤
おっしゃる通り! 一聴して飛び込んで、きちんと残ってもらえる歌詞を作りたい意図がそこにはあって。いわゆるメロディーに乗った時に取り柄となる言葉たちというか。その辺りも特に重要視しました。

OKMusic編集部

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