LAZYはヘヴィメタルバンドで
あることを
自ら示した不朽不滅の名盤
『宇宙船地球号』

満を持してのヘヴィメタル宣言

だが、そんな状況下にあってもLAZYは腐ることもなく、自らが目指した場所を諦めもしなかった。コンサートでは常に洋楽のカバーを披露していたというし(1978年発表のライヴ盤『レイジーを追いかけろ』にはSteppenwolfの「Born to Be Wild」やUFOの「Try Me」が収録されている)、音源を発表する毎にメンバー作曲のナンバーも増え、ハードロック色を強めていった。そして、1980年7月からの全国ツアー『DOMESTIC TOUR IN SUMMER』でついに本来のバンドの姿と言うべきスタイルを披露。これが世に言う“ヘヴィメタル宣言”である。さらに同年8月のシングル「感じてナイト」を露払い(?)として、その年の12月に発表されたのがアルバム『宇宙船地球号』だ。その中身以前に、「感じてナイト」『宇宙船地球号』共にそのジャケ写が明らかにそれまでとは異なっており、そこだけでもバンドが変容したことがありありと分かる。

「感じてナイト」ではメンバー5人それぞれに異なるラフな格好(とりわけ影山、高崎のヒョウ柄のTシャツが印象的)。メンバー全員、髪も長く、何よりもデビュー時のような笑顔ではなくキリっとした眼差しでこちらを睨んでいる。『宇宙船地球号』に至っては、当時の多くの洋楽バンドがそうであったようにイラストを使用。バンドのキャラクターよりも作品そのものに主眼が置かれていることを主張したかったのだろう。そう感じるジャケである。しかも、それを手掛けたのは、映画『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』の国際版ポスターで世界的に高い評価を得た生賴範義氏。その先見の明に驚くと同時に、その後のLOUDNESSの活動を鑑みると、あの時のLAZYはハードロックバンドへの回帰のみならず、もしかしてすでに世界市場も視野に入れていたのだろうかと想像させてくれる(知らんけど…)。

エッジーなギターのカッティングで始まるM1「DREAMER」はいきなり速弾きも飛び出して、リズム隊の入り方と含めて、開始10秒でこのバンドがHR/HMを奏でていることが理解できる。サビはキャッチーだがややマイナーで、ポップではあるがスウィートではない。オルガンの重ね方も明らかにHR/HMのそれ。歌詞も、まさしく“宣言”と言うべき内容である。

《今のぞむものは、夢だけ/さめた世界は まっぴらごめん/Rock'n Rollを感じる それだけ/すべてをかければ Dreamer/いつも言いたいほうだい/言わせておけば いいさ/それから先は/If you're Rock'n Roller/Can't you see baby anything/If you're Rock'n Roller/Can't you see baby anytime》(M1「DREAMER」)。

“補作詞”として本作でほとんどの歌詞を提供している伊達 歩(=伊集院静)の名前がクレジットされているが、M1の作詞は高崎。正直言ってテクニカルな歌詞ではないけれども、何よりも彼らの意気込みが滲み出ているようではある。

「感じてナイト」のC/WでもあったM2「DREAMY EXPRESS TRIP」では、その高崎がリードヴォーカルを務めている。イントロのジャングルっぽいドラムス→ギターリフだけで飯3杯はイケる代物。ポップで疾走感もあって、それでいて重い。“ヘヴィメタル、ここにあり!”である。とにかくギターとドラムが活き活きしている。水を得た魚と言ったらいいか、高崎が歌っていると思うと余計にギターが立っている印象すらある。

M3「天使が見たものは」はどことなくブルースロックの匂いがするミッドバラード。途中からテンポがアップになる辺りがドラマチックで、プログレ…というほどでもないけれど、それに近い雰囲気はある。ヘヴィなリフで再び迫るM4「TIME GAP」もテンポはそれほど速くはないが、4つ打ちのドラムがグイグイと楽曲を引っ張っていく。Bメロから印象的に重なるキーボードも楽曲全体の大きなアクセントであり、十二分にその存在感を示している。これまたドラマチックで、奥行きのある主旋律を持つM5「遥かなるマザーランド」はLAZYで唯一のインストだ。LAZYというバンド名がDeep Purpleのインスト楽曲から頂戴したものだと前述したが、そう思うと、これは文字通りの原点回帰的楽曲であったのかもしれない。個人的な感想としては、これらの楽曲には○○○○○○○や△△△△に近い感触があって、直接的に影響を与えたということではないだろうが、この時のLAZYがのちにHR/HM界隈でスタンダードとなるサウンドを堂々と鳴らしていたことを思い知らされるところだ。

続くM6「EARTH ARK(宇宙船地球号)」はアナログ盤で言うところのB面1曲目。そこにタイトルチューンを置く辺り、コンセプチャルな作りを感じさせる。ギターとベースのユニゾン、間奏へのブリッジなど、聴きどころも多く、改めてこのバンドのテクニックを確認できる。M7「僕らの国でも」、M8「美しい予感」はいずれも開放感ある歌メロが特徴ではあるだろう。それに呼応してか、ブギーっぽいサウンドを聴くこともでき、HR/HMと言えどもそのルーツはR&Rであって、先達へのリスペクトを勝手に感じてしまう。また、ともに伊達 歩(=伊集院静)の手掛けた歌詞が深い。前者は反戦のテーマが感じられるメッセージソング。後者は一見ラブソングのように見えるが(たぶん)この時点でのバンドの所信表明とも思える内容。最初期、すなわちアイドル期の歌詞も決して悪いものではないけれども、M7、M8辺りと聴き比べると隔世の感を禁じ得ないというか、サウンド以上にLAZYのバンドとしての変貌を強く感じさせるものであろう。

M9「LONELY STAR」は高音のキーボードから始まって、ドラム→ギター&ベース→きれいなハーモニーが重なるヴォーカルと連なっていくイントロで、バンドとは煎じ詰めればそこにあるパートのアンサンブルの妙であることを示唆しているかのようだ。序盤はプログレのようでもあるが、Aメロはちょっとラテンな感じがあって、Bメロはのちのビートロック風、そしてサビはアーバンな雰囲気。“ヘヴィメタル宣言”したくらいなのでLAZYはヘヴィメタルバンドではあるのだろうが、M9「LONELY STAR」を聴く限り、ステレオタイプのそれではなかったことが分かるし、この辺も少なからず、のちのロックバンドに影響を及ぼしたのではないかと想像できる。

OKMusic編集部

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