絵画の世界に入り込んで楽しむ! デ
ジタルアートイベント『Immersive M
useum』発表会レポート

4月17日(金)から8月12日(水)にかけて、没入体験ミュージアム『Immersive Museum(イマーシブミュージアム)』が、寺田倉庫G1で開催される。2月13日に発表会が開催され、Immersive Museum実行委員会のプロデューサー野口貴大氏(株式会社電通)と、コンテンツプランナーの西田淳氏(株式会社Drill)が登壇し、イベント概要と意気込みを語った。
『Immersive Museum』とは、あたかも絵画の中に入っていくような没入体験型のデジタルアートエキシビジョン。天井高5.5m、広さ約1400㎡の空間に、映像化された印象派の名画約70点を、プロジェクターで投影し、新しいアート体験を提供するという。
Immersive Museum実行委員会プロデューサー野口貴大氏
たとえばクロード・モネが19世紀当時に見たであろう、フランスのル・アーヴル港を、最新のCG技術で、実際の絵画作品と融合させる「印象、日の出」。印象派の絵画のスケールを変え、一筆一筆の筆致の隙間から、絵の中に入り込むような体験ができる「印象派の技法」。モネの、同じ風景の連作をつなぎ、異なる瞬間の連続から時間の移ろいを再現する「モネの連作」など、従来の絵画鑑賞にはなかった、新たな体験が期待される。
コンセプトはDive in Art!
『Immersive Museum』のコンセプトは、「オルタナティブな美術館としての新しい美術体験」。
西田氏は「日本の美術館には海外から名画がやってきて、展覧会が開かれます。それはうれしいことですが、会場は混雑で入るのに行列を待たなくてはいけなかったり、入場後も、順路に沿って鑑賞し、自由に立ち止まることもままならない現状がある。美術体験として、乏しい部分があるのではないか、と感じていました」と語り、この問題意識から、『Immersive Museum』では「特定のビューポイントを持たない空間設計」を計画中。「絵画を鑑賞するのではなく、作品の世界に没入する。絵画を音と楽しむ贅沢な時間。オルタナティブな美術館として、新しい美術体験を提供し、(美術鑑賞の)新たな流れを作れるのでは」と語った。
(c) Bridgeman Images /amanaimages
いまに重なる、印象派の拡張性と時代性
コンセプトを実現するべく選ばれたのは、印象派の巨匠8名の絵画だ。選出にあたっては、早稲田大学教授の坂上桂子氏が監修。モネ、ドガ、ルノワール、ピサロ、モリゾ、シスレー、カイユボット、メアリー・カサットの名前が挙げられた。
印象派をテーマに選んだ理由については、西田氏より3つ挙げられた。1つは、印象派にみる「絵画の拡張」。「印象派は、それまで見えるものをきれいに写しとる、写実を目指していた絵画。そこに主観を提示しました。絵画に主観を持ち込むことで、絵画を拡張しようとしたのでは、と解釈しました」。
次に、「イノベーションの時代」という現在との共通点も挙げられた。印象派が活躍したころ、チューブ型の絵の具が登場し、屋外でも絵が描けるようになった。宗教画や神話をモチーフにした絵画から、テーマがうつり変わり、手法も変わった。産業革命で、市民生活にも変化があった頃だ。印象派の画家やその作品から、今に通じる、イノベーションの時代の精神、心意気を感じたという。最後に、ジャポニズムの影響に見られる「日本との親和性」を挙げた。
西田氏は、『Immersive Museum』において「2020年なりの方法で、印象派が目指した新しい美術体験という志に踏み込むコンテンツを作れたら」とコメントした。
Immersive Museumコンテンツプランナー西田淳氏(株式会社Drill)
視点の転換、スケールの転換
展示会場では、壁、床を埋めつくす約30分の映像と音の作品を、鑑賞者は好きな場所で鑑賞し、時間を過ごし、体験できる。演出のポイントは、「鑑賞者の視点から作家の視点へ。作家の視点から鑑賞者の視点へ。観ている人が、鑑賞者でもあり作家でもあるような体験の実現」と「瞬間の光をとらえようとした印象派の人たちの絵画を映像化することで、時間の流れを加える。瞬間に連続性を持たせる試み」。
(c) Bridgeman Images /amanaimages
コンテンツを手がけるDrillの西田氏は、ロックバンドOK Go「I Won’ t Let You Down」のMVや、別府市「湯~園地計画」のような、新たな着眼でのコンテンツで世界的に高く評価をされ、横浜ドックヤード・プロジェクションマッピングのような大型映像のプロジェクトでの実績も多い。『Immersive Museum』においては「これまでのノウハウの集大成になれば。大型映像で没入させるためのスキルはあります。その技術的を使い、印象派の作家の視点や、印象派の世界に、どこまで肉薄できるかがチャレンジです」と語った。
会場内は、撮影可。思い思いのペースでその映像と音の体験を楽しむことができる。印象派ファン、デジタルインスタレーションによる体験型のアートファンのみならず、ファミリー層でも楽しめるイベントだ。カフェエリアでは、睡蓮のイメージに重なるような鮮やかなメニューも準備中。チケットは、2020年2月15日(土) 10:00より発売開始予定。
(c)RMN-Grand Palais(musée de l'Orangerie) /Michel Urtad/AMF/amanaimages

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