MONKEY MAJIKの
ハイブリッドロックの本質を
『thank you.』から考える

『thank you.』('06)/MONKEY MAJIK

『thank you.』('06)/MONKEY MAJIK

20周年記念公演『MONKEY MAJIK Road to ~花鳥風月~』を行なっているMONKEY MAJIK。通算12枚目のオリジナルアルバム『northview』もリリースされ、アニバーサリーイヤーのムードが否応にも盛り上がってきた。メンバー全員が現在も宮城県在住の加日混合バンド。彼らの音楽性を『thank you.』から探ってみよう。

加日混合のハイブリッドロック

MONKEY MAJIK公式サイトのプロフィールにこうある。「フロントマンのカナダ人兄弟・Maynard-メイナード(Vo&Gu)とBlaise-ブレイズ(Vo&Gu)、日本人のリズム隊・TAX-タックス(Dr)とDICK-ディック(Ba) からなる仙台在住の4ピースハイブリッドロック・バンド」。

ハイブリッドとは“Hybrid”のこと。自動車を始め、あらゆる工業製品や技術に使われているので改めて訳すまでもないだろうけれど、異種のものを組み合わせたもの…という意味である。重箱の隅をつつくようだが、上記プロフィールが“ハイブリッド・ロックバンド”ではなく、“ハイブリッドロック・バンド”となっている点に注目してみた。

MONKEY MAJIKは加日混合メンバーのロックバンドだからその構成がハイブリッドであるということを示すのであれば、ハイブリッドなロックバンドということで“ハイブリッド・ロックバンド”と表記するのが適切なように思う。だが、“ハイブリッドロック・バンド”となっているということは、ハイブリッドロックがバンドにかかっている。つまり、彼らはハイブリッドなロックをやっているバンドということだ。それでは、ハイブリッドロックとは何かと言うと、件の和訳を当てはめれば、異種のものを組み合わせたロックミュージックということになる。

加日混合バンドであることも間違いないので、MONKEY MAJIKがハイブリッドなロックバンドであると言っても差し支えないはずであるから、“ハイブリッド・ロックバンド”としてもいいのである。そこを“ハイブリッドロック・バンド”としているには、おそらくそういう意図があるのだろう。彼ら自身もマネジメントも“そんなことはない”と言うかもしれないが、そんなことはあるのである。以下、彼らのメジャー第1弾アルバムであった『thank you.』からそれを紐解いていきたい。

ヒップホップ以降のサウンド

まず、今となってはそれをハイブリッドと言ってはいけないのではないかと思うけれど、リリースの時点でそう呼んで良かったと思われるサウンド面から片付けていく。

M1「turn」がアコギとパーカッションから始まっているのが象徴している通り、MONKEY MAJIKのサウンドはアコースティック寄りと言えると思う。もちろんエレキも使っているし、M5「雪合戦」辺りはハードロックなテイストがあったりもするので、あくまでも“寄り”である。これはイメージでしかないが、木綿的な柔らかさというか、オーガニックな雰囲気というか、少なくともアルバム全体を通しては鋭角的な印象は薄い。アンサンブルも比較的シンプルである。

その中でも聴き逃せないのは、ヒップホップ的要素である。M2「another day」やM5「雪合戦」でのスクラッチノイズ、M8「all by myself」やM12「種」での同期するリズム音辺りがそれを感じるところ。M1「turn」やM12「種」でのラップ的な歌唱もそれっぽい。あと、全体的にループミュージック的なサウンドアプローチも目立つ。印象的なギターリフがリピートされて、そこにヴォーカルが乗っていく。そんなスタイルが多い気がする。

もちろんMONKEY MAJIKはMaynardにしてもBlaiseにしてもギターを弾いているし、生のステージもやっているわけだから、サンプリングしたものをループさせてはいないことは確実だろうけど、そのベーシックなバンドアンサンブルは、いかにもヒップホップ以降のサウンドといった印象である。M2「another day」やM7「between the lines」、M10「Around The World」といったファンキーなナンバーもその印象を後押ししているし、ややレゲエっぽいM3「thank you」もそうであろう。

ただ、その辺はすでに断りを入れた通り、ことさら彼らのハイブリッドを強調すべきことではないとは思う。1990年代前半には日本のヒップヒップも浸透していたわけだし(「今夜はブギー・バック」や「DA.YO.NE」のヒットは1994年)、2000年代も半ばになると所謂ミクスチャーと言われる音も珍しいものではなくなっていた。オーガニックなバンドサウンドにヒップホップ的な手法を取り込んだことは確かに異種なるものの組み合わせではあるし、MONKEY MAJIKの特徴ではあるけれども、そこが最もハイブリッドな点ではないということだ。

OKMusic編集部

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