パンクロックにも影響を与えた
ドクター・フィールグッドの
白熱のライヴ盤『殺人病棟』

本作『殺人病棟』について

そして、76年にリリースされたのが3作目となる『殺人病棟』だ。収録曲は全部で13曲(初回リリース時は+シングル1枚がボーナスとして付いていたので全15曲)、LP時代はサイドAにあたる面が「シェフィールド・サイド」、B面にあたるのが「サウスエンド・サイド」となっていて、それぞれ録音されたライヴ会場の地名が記されている。

パブを渡り歩いてきた彼らにとって、その本質がライヴにあるのは当然だろう。本作には観客の熱狂も収められていて、臨場感は抜群だ。スタジオ盤と比べると荒削りではあるが、やはりライヴアクトとしての魅力が詰まっている。チャック・ベリー、ボ・ディドリーといったロックンロール・ナンバー、ソニー・ボーイ・ウィリアムソンのブルース曲、ソロモン・バークやルーファス・トーマスのソウルナンバーなど、第一次ブリティッシュ・インベイジョンのグループが取り上げそうなカバー曲はどれも熱気に満ち、パブを回るうちにアレンジが仕上がったのだろう。どの曲も贅肉が全くなく、これ以上削ぎ落とせないぐらいのシャープさである。

特筆すべきは、全編にわたって響くウィルコ・ジョンソンの骨太のギタープレイで、テレキャスターの乾いた音を効果的に使いながら、究極の“キレ”を聴かせる。彼の一見古臭く感じるスタイルこそが実は普遍的であり、パンク〜ポストパンク〜オルタナティブに至るまで、多くのギタリストに影響を与えている。ご存知の人も多いと思うが、彼は日本で最も愛されたギタリストであり、毎年のように来日している。

本作はパブロックを代表するアルバムというだけでなく、ブリティッシュロック界を代表するアルバムでもある。これからも、何年経とうが聴き続けていける名作だと思う。

TEXT:河崎直人

アルバム『Stupidity』1976年発表作品
    • <収録曲>
    • 1.アイム・トーキング・アバウト・ユー/Talking About You(Live - Sheffield City Hall, 23rd May 1975)
    • 2.トゥエンティー・ヤーズ・ビハインド/Twenty Yards Behind(Live - Sheffield City Hall, 23rd May 1975)
    • 3.ステュービディティー/Stupidity(Live - Sheffield City Hall, 23rd May 1975)
    • 4.オール・スルー・ザ・シティー/All Through the City(Live - Sheffield City Hall, 23rd May 1975)
    • 5.アイム・ア・マン/I'm a Man(Live - Sheffield City Hall, 23rd May 1975)
    • 6.ウォーキング・ザ・ドッグ/Walking The Dog(Live - Sheffield City Hall, 23rd May 1975)
    • 7.シー・ダズ・イット・ライト/She Does It Right(Live - Sheffield City Hall, 23rd May 1975)
    • 8.ゴーイング・バック・ホーム/Going Back Home(Live - Southend Kursaal, 8th November 1975)
    • 9.アイ・ドント・マインド/I Don't Mind(Live - Southend Kursaal, 8th November 1975)
    • 10.バック・イン・ザ・ナイト/Back In the Night(Live - Southend Kursaal, 8th November 1975)
    • 11.アイム・ア・ホッグ・フォー・ユー・ベイビー/I'm A Hog For You Baby(Live - Southend Kursaal, 8th November 1975)
    • 12.チェッキン・アップ・オン・マイ・ベイビー/Checking Up On My Baby(Live - Southend Kursaal, 8th November 1975)
    • 13.ログゼット/Roxette(Live - Southend Kursaal, 8th November 1975)
『Stupidity』(‘76)/Dr.Feelgood

OKMusic編集部

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