三浦透子 自由に演じるために、毎日
を「ちゃんと生きたい」ーーパーソナ
ルに迫るオフィシャルインタビュー(
Vol.1)を公開

三浦透子の初のオリジナル作品『ASTERISK』(読み:アスタリスク)が本日・5月27日(水)に発売、iTunes・レコチョクほか主要音楽配信サイト・Apple Music・Spotifyほか各種サブスクリプションサービスでも本日より全曲の配信がスタートしている。
また、アルバムのリリースにあわせて、オフィシャルインタビューも公開となった。今回公開された“Vol.1”は、三浦透子の哲学や思想に迫るインタビューとなっている。なお、『ASTERISK』の全容を紐解く“Vol.2”は、後日公開予定とのこと。
そして、Spotifyでは三浦透子の音楽の嗜好性が垣間見れるプレイリスト「TOKO MIURA’ s ROOTS & FAVORITES」も公開されている。

三浦透子 Official Interview Vol.1「Personal」
自由に演じるために、毎日を「ちゃんと生きたい」
――去年(2019年)、三浦さんは、『天気の子』の流れから、「ミュージックステーション」(8月9日)、RADWIMPSのツアーファイナル(8月28日。横浜アリーナ)、そして、大晦日の第70回NHK紅白歌合戦と、初めてのステージを体験しました。どんな時間でしたか?
間違いなく、想像もしていなかった時間でした。初めてのことばかりで、全てが良い経験だったし、たくさんの出会いもありました。しっかりと受け止めています。
ただ、私自身は特に何も変わらなかったというか。「ずっと歌手活動をしてきて、遂に夢が叶った」という状況とも違ったし、「失敗したら何もかも水の泡!」みたいなプレッシャーも全くなかったので、ちょっと引いて見ることが出来ました。「全てが終わったら、また元いた場所に戻っていくんだ」という意識もあったので、浮き足立つような感じもなくて。
「(会場が)こんなに大きいんだ?」とか「こんなにたくさん(聴衆が)いるんだ?」という感じで、緊張感はありつつも、イベントとしてピュアに楽しめていた気がします。
――大勢の前で歌うことについては?
めちゃくちゃ楽しかったです。私のなかでは、レコーディングとライブでは求められる歌声の筋力が全く異なっていて。去年の活動では、ライブ側の筋力をかなり鍛えてもらいました。
自分なりに、出来るだけ伝わるよう意識しましたが、じゃあ、もっと小さいライブハウスだったらどう歌うべきなのかも気になるし。角度とか顔との距離とか、マイクとの向き合い方ももっともっと試したい。
ある意味、“飛び級”で特別に学ばせてもらって、ここから自分の名義でスタートすることが出来るのは恵まれていることだし、とてもわくわくしています。自分の名義だけでは、まだ何もなし得ていないわけですから。何でもしたいし、何でもするべきだなって。
――昨年から『ASTERISK』のリリースまでの間で、世界は新型コロナウイルス禍に見舞われてしまいました。最近の三浦さんは、日々をどのように暮らしていますか?
やっぱり、仕事の予定はいろいろと変わってしまいましたが、まだそこまで大きな変化には見舞われていないのかもしれません。作品と作品の間に迎えていたこれまでのインターバルと同じように、部屋でテレビや映画を観たり、本を読んだり、音楽を聴いたり……私、ベッドの上で、よく何も手に持たずにずっと考え事をしていて。
――考え事、ですか?
例えば、ふと、「あの時、私はあの会話の中でああ言ってみたけれど、本当はどう思っていたんだろう?」と反芻してみたり。独り言というよりは、自分の気持ちを誰かに伝えるためのシミュレーションやリハーサルをぶつぶつと説明口調で。
十代の頃、「あんなことを言うはずじゃなかったのに」とか「何だか上手く伝わらないなあ」という経験を結構したので。今日は「〇〇について考えていた」とか、ジャンル別に書き留めたりすることもありますね。
――幼少期から思春期にかけての三浦さんとは、どんな存在でしたか?
多分、ちょっと嫌なやつでした。友達はいるんだけど、口が減らないせいで、仲間内ではちょっと嫌われている、みたいな(苦笑)。
そのくせ、幼い頃は人気者に憧れていたから、「今日は一日、こんな人格の自分でいよう」と決めて学校へ行っては、「この人格はあまり人気ないんだな」とか「この人格は意外と人気あるぞ」とかやっていて。小学4年生くらいまでは、そんなことをよく繰り返していましたね。
どれが自分の本当の人格なのか分からなくなっちゃった時期もありました(笑)。一人っ子だったせいもあって、一人遊びが身についているのかもしれない。
――それはある意味、“お芝居”の原点とも言えるのでは?
そこまで大それたものではないです(苦笑)。でも、そんな遊びにちょっと疲れて、その後は自分から人に寄っていくのではなく、待つタイプになろうと決めて。
学校って、自分が友達を見定める前に自然とグループが出来ていく感じがありますよね。ちょうど中学で(北海道から)東京に転校したこともあって、待ってみたんですよ。そうしたら誰も寄ってこなくて(苦笑)。
「それなら一人でいるのもちょっとカッコいいかな?」と思ってみたり。何となく、自分のなかでぐるぐるしていましたね。
――音楽の入り口はダンスミュージック。物語やメロディよりも、ビートに惹かれていたそうですね。
小さい頃はヒップホップのコンピレーションなんかをよく聴いていました。あとはブラック・アイド・ピーズとか。ロックは中学に入ってから聴くようになって。青春時代に一番聴いていたのはナンバーガールでした。あとはサニーデイ・サービスとか。
――ご自身を形成した“言葉”のルーツを挙げていただくと?
たくさんありますが……よく読み返すのは、灰谷健次郎さんの「少女の器」、「子どもに教わったこと」。神林長平さんの「魂の駆動体」。江國香織さんの「きらきらひかる」かな。自分の核に戻れる本というか。たくさんの量を読むというよりは、同じ本を何度も読み返すタイプですね。
――“お芝居”に関してはいかがですか?
誰かに憧れたとか、特定の作品に強く心を打たれたといった原体験がなくて。それがちょっとハンディキャップのように感じられる時もあります。お芝居も歌も、「気づいたら初めていた」という感じで、学ぶよりも実践が先でしたね。
――大学では数学を専攻されていましたが、勉強の様子とは?
より深く何かを研究をするための道具が足らないから、ずっとドリルを解いているような4年間でしたね。中学・高校からの延長というか。
――日本では、文系or理系という分け方をよくしがちですが。
独特ですよね。でも、例えば数学は言語でも哲学でもあるので、本当はどっちの能力も必要なはず。私は建築も好きで、それは芸術と科学の狭間にある分野だと思えるからです。
理論物理学も、目には見えないものを信じられないと取り組めない。AIの分野なども同じことが言えると思いますが、いま新しいジャンルに飛び込む人は、多分、どちらも出来る人じゃないと歯が立たないような気がしますね。
数学とお芝居って、直接的には関係ないけれど、数学を学んでいたから「あ、これってもしかして」と気付く発見があって。数学が、少なからず自分の役者としての個性を形成しているような気もします。
――三浦さんは、「見えないものを見ようとする」、「思考を言語化する」、「意思を正確に他者へ伝える」ことへの興味が強いというか。
そうですね。そこは先天的な要素と後天的な要素の両方が作用しているのかも。気持ちをしっかりと言葉にしたいと思い始めたのは、お芝居の仕事を始めてからでした。
――いま、女優としてのご自身をどう捉えていますか?
「こうすればよかったな」とか「出来なかったな」といった反省はあまりしないようにしています。私はお芝居って、技術よりも、演じている人が日々過ごしている「毎日」や「人間」が出るもののような気がしていて。
演じる時は、その役がどういう人なのか、全力で理解しようと努めています。その時、どれだけ深く理解することが出来るのかは、日々、人とどう接しているのかという私自身の生活が大きく関わってくる。
あくまで私の基準ですが、誰よりもこの役について「理解している」という確信さえ持てれば、あとはどう演じても大丈夫というか、自由に演じられる。そのために、毎日を「ちゃんと生きたいな」と、いまは思っています。
――では、“歌手”というスタンスとの向き合い方は?
基本的にはお芝居と同じです。「頂いた曲を私の解釈と身体でどう歌うか」という意識がベースなので。歌詞の世界に飛び込む行為はとても楽しいです。一旦、私の身体を通過したら、それが仮に拙くても、私独自の表現となっていると信じています。
私にとって、役者と歌手の違いは“主体性”なのかな。お芝居は作品の名前が主体だけど、音楽は私の名前がそのまま主体となる。演技は「作品のため」という動機が明確だけど、音楽は、ある意味、「自分のため」なのかもしれない。
自分がずっと音楽と向き合っていけるのかどうかも、本当にこれからです。そういう意味では、正直、向き合い方はまだしっかりと固まっていないのかもしれません。
でも、こんな(新型コロナ禍の)状況だからこそ、音楽をやれていてよかった。役者としては、撮影も出来なくて、ほとんど全く動けない状況なので。たまたま音楽という表現の手段が与えられて、それをリリース出来ることにとても感謝しています。

Interviewer=内田正樹

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