ROTTENGRAFFTY 生粋のライブバンド
はライブ自粛の日々に何を想う

「自分たちの主戦場はライブ」と明言する生粋のライブバンド、ROTTENGRAFFTYが2019年12月に地元・京都の世界遺産 東寺で開催したワンマンライブ『20th Anniversary Beginning of the Story EXTRA in 東寺』がついに映像化、6月10日にリリースされる。格別な想いで臨んだこの日のことを振り返ってもらうとともに、新型コロナウイルスの影響によりライブができない現在の心境など、メンバーを代表してNOBUYA(Vo)とN∀OKI(Vo)に話を聞いた。
――前回の取材が今年(2020年)2月中旬でした。ちょうど『ハレルヤ Tour 2020』の真っ最中だったんですが、2月26日以降の公演ができなくなりました。当時は新型コロナにより世界的にこうした状況に陥るとは、誰も予想できていなかったです。お二人も、すぐにツアーやライブが再開できると考え、モチベーションも高く保ったままでしたよね?
N∀OKI:そうですね。こんな状況を経験するのは誰もが初めてのことなんで、良くなる状況を見据えながら日々を過ごしてきたんですけど、今も大変な状況は続いているじゃないですか? でも自分らのテンションと気持ちを保っていかなければならないって思ってますね、絶やすことなく。ちょっとでもネガティブなほうに気持ちが動いてしまうと、ズルズルと足元をすくわれると思うんで。今は週1回ぐらいメンバーとYouTubeを配信したりして、前向きに活動していきたいって試行錯誤している状態ですね。
NOBUYA:僕ら界隈のバンド仲間との情報交換であったり、ROTTENGRAFFTYが懇意にしているライブハウスの店長との情報交換とかも、今も常にやっているんです。これは個人的な意見なんですけど、自分なりにこの状況下でああしていきたい、こうしていきたいって考えも持っているんです。それにあたって僕らより上の世代のバンド、例えばBRAHMANや細美(武士)クン、Hi-STANDARDの3人だったりが、僕らの一世代先輩になるんです。そういった先輩方がどういった動きをするんであろうっていうのを見てから、僕ら世代のバンドはどうやって動いていくのかというのを考えていたんですよ。こういう厳しい状況でも、先輩方は出ていけるところは出ていって、バンド熱やライブハウスシーン熱を冷まさないような活動を見ていて、やっぱり好感を持ったし、さすがだなって思いもあったりします。ただこの数カ月間、日に日に状況が変化していって、幾つかのライブハウスが実際につぶれてしまって、次に打撃を受けるのはバンド。今後、例えばクラウドファンディングしてバンドを存続させようって風潮にもなっていくだろうし、夢半ばでつぶれてしまうバンドも出てくるだろうとも思っていて。正直、僕はもうカッコつけてる場合じゃないなと思って。バンドが夢や力を与えるってところに、自分自身も夢を抱いてやっていたんです。だからカッコ悪いところはあんまり見せられないというか。でも、今はもうそんなこと言ってられない。カッコ悪くても、バンドを存続させるために、どうやって動いていくのかっていう。そして応援してもらえるようなメッセージを、ファンの方々にもガンガンに発信していかないと。
ROTTENGRAFFTY 撮影=Yukihide”JON...”Takimoto
何年後にこのライブ作品を観たとき、こんなに人を集めてライブやってた時代があったんだ、みたいなになっちゃうのかなって恐怖感もある。(NOBUYA)
――今は誰もがもがき苦しんでいる状況です。そんなときに観たんですよ、ライブ映像『ROTTENGRAFFTY LIVE in 東寺』を。泣きました。嬉しくて泣いたんです。苦労しながら20年間を歩み続けるバンドが、活き活きとした表情で、しかも力強い言葉を放ちながらステージに立つ姿。本当に力をもらえるんですよ。こうした状況に陥っている今だから、映像作品に対するメンバーの思いや意味も、いろいろ変わってきているのかなと。
N∀OKI:そうですね。このライブ映像作品を、まさかこういう状況下で発表するとは、ライブをやっているときや制作を進めていた段階では、誰もが思っていなかったんです。この映像とか自分らの音楽で、気持ちを軽くしてくれたり救われたり、そして、いつかまた再会できるようにっていう。ファンのみんなとはまだ会えないんですけど、ふつふつと溜まっていくものとかあるし。観ていると、あのときはああだったなとか、情景とか思い出させてくれたりして、やっぱりポジティブな気持ちになれると思うんで。衣食住の中に“音楽”はないかもしれないですけど、背中を押してくれたり前向きにさせてくれるものだと思っているんで。曲や音楽を僕らは発信していく立場なんで、何年経っても忘れないようなものを作っていきたいし。こういう状況だからこそ、みんなもこのライブ作品と何回も向き合えると思うんで、本当にみんなにとっての光になってほしいなって思ってます。それで、光になってますよね?
――もちろんです。
NOBUYA:ありがとうございます。でも何千人とか何万人を集めてライブする時代が、訪れないかもしれない状況じゃないですか。何年後や何十年後にこのライブ作品を観たとき、こんなに人をガンガンに集めてライブやっていた時代があったんだ、みたいな。もしかしたらそういう歴史の教科書みたいな作品にもなっちゃうのかって恐怖感も……冷静に考えたとき、心の中にそんな思いもあるんです。こんな状況下でも僕らがラッキーだったのは、これがライブ映像作品だったことで。映像作品のほうが観てくれる人にとってダイレクトに力になれるのかなとは思っているんです。
――観に行った人たちの気持ちも、音楽や曲に重なっていきますからね。それもライブの魅力だと思うんです。
NOBUYA:そうですね。曲に気持ちをぶつけながら、その曲をどう表現しようかっていうファンのみんなの思いも、ライブには乗っかっていると思うんで。だから、すごいパワーのあるライブ映像作品だと思うんです。チケットが手に入らなくて観に来られなかった人も多かったライブだったんですけど、そういうみんなにとっても、あとROTTENGRAFFTYをこの状況下で知って興味を持った人であったり、観てくれた全ての人の力になるような作品になっているであろうし。ただ、あの夢のような空間を取り戻すことってできるのかなって、自問自答してしまうときもあるけど、取り戻すために、前を向いて歩いていかなきゃいけないって気持ちでもあるんで。
ROTTENGRAFFTY 撮影=Yukihide”JON...”Takimoto
――今回の作品は、Disc1が昨年12月14日に行なった東寺でのワンマン公演『20th Anniversary Beginning of the Story EXTRA in 東寺』です。京都が地元のROTTENGRAFFTYにとって、東寺というお寺は特別な意味を持った場所ですか?
N∀OKI:他の県の人たちからも、東寺にある五重塔は京都のアイコンのひとつだと思うんですよ。京都って歴史の深いものが、ふと、街中にあったりするんですけど、その中でも東寺は世界的に知られているお寺で。
――小学校の修学旅行で京都へ行ったとき、買ったお土産のペナントにも五重塔が描かれてました。
N∀OKI:そうだろうね。僕らの昔のTシャツにも、五重塔のデザインを入れたりしていたし(笑)。でも、その東寺でライブというのは、まず信じられないような感覚でした。あそこでライブをしたアーティストの方々も知っていますけど、僕らはポップスを歌うJ-POPでもないし。僕らみたいな激しいロックバンドがそこでできるとは、想像もしてなかったんで。決まったときは“嘘!? マジ!?”って(笑)。“僕らレベルがやっていいの?”、みたいな。でも20年やってきて、ライブで地元に還元できたのも嬉しかったし、良かったです。今ではあそこでライブをやったことが誇りです。人生の中の1ページに完全に刻まれましたよね。
NOBUYA:武道館を2年前にやったとき、いろんなバンド友達とか家族や親戚から、おめでとうってお祝いのメッセージをもらったんですよ。東寺のときは、武道館の2倍ぐらいの連絡をいただいて(笑)。地元の先輩や友達も、めっちゃ嬉しいって言ってくれたんです。僕らはずっと京都に住んでいるから、車で帰るとき、東寺の五重塔を観ながら横の道を通ったりして。その東寺でライブするのは凄いなと思ったけど、慣れ親しみすぎていて。でも、いざ自分が東寺のステージに立って、歌いながら五重塔を観たとき、確実にいつもとは景色が違っていて。舞台に立ったときに初めて、俺は世界遺産で歌っているんだなと。周りの反響と、自分の記憶の中のフラッシュバックと、リアルに繰り広げられている景色。それが全て重なって、凄いことをやっているんだなって気持ちに刻まれた気がしました。
ROTTENGRAFFTY 撮影=Yukihide”JON...”Takimoto
――実際に事件を目撃するような激しい映像の数々でした(笑)。でも、あの場にROTTENGRAFFTYは似合ってましたね。しかもバンド初期の正装とも言えるスーツに腕章の姿だったでしょ。あの格好で東寺に立つってのが、またカッコいいんです。
N∀OKI:全員、私服だったら、あんまりハマらないですよね(笑)。20周年ツアーの後半から、スーツと腕章の姿でやるようになったんですね。
――気が引き締まるものもありますか?
N∀OKI:昔を思い出すというよりは、20周年を迎えたんだなって気持ちでしたね。以前は1年に1回だけ着たりしたことあったんですけど、ツアーでずっとスーツ姿でやるというのは、それこそ15年ぶりぐらいだったんで。なんか新鮮でしたね。
NOBUYA:結成当時にスーツを着た理由は、ミクスチャーロックをやっているバンドが、しかも個性バラバラの5人のヤツらが、一緒のスーツを着てステージ上がるのはカッコいいんじゃないかって、N∀OKIからの提案だったんです。めっちゃおもしろいかもって、あの格好で立つようになったんです。20周年ツアーの後半から再びスーツ着てやろうぜってなったとき、初期のころに言ってたN∀OKIの言葉を、ライブしながら改めて自分自身は感じて。それぞれ個性的なステージ衣装も、メンバー各々に合っていておもしろいけど、そういったフリがあるからこそ、大事なメモリアルのとき、全然違った個性のメンバーが同じスーツ姿で、ステージに上がることの大事さも感じましたね。
――でも静粛さというより、スーツを着てようが、20年で培った狂暴ぶりが炸裂で(笑)。そうした面もありつつ、一番、心に響いたのは歌う言葉やメッセージなんです。初期の曲もライブでたくさんやっていますが、当時と今とでは、歌うときの気持ちの変化などもありますか?
N∀OKI:長いこと歌ってきた曲は、年月と共に育っていってるから、どんどん自分のものにもなっているし。メロディを言葉でなぞっていってるんじゃない、本当にクサイ言い方をすると、魂みたいなものが乗っかっていっていると思うんで。魂って目には見えないし、どういうものか具体的に伝わりにくいものなんですけど、魂が乗っかっているからさらに響くんだと思います。当時の歌い方とは変わっているかもしれないですけど、また新たなものになっているなと思いますね。あと、何十年前にこういう詞を書いていたんだって。自分の書いた詞に背中を押されることもあるし、教えられるし。今の感覚では書けないような言葉もあるし。なんか、熱心だった、みたいな(笑)。自分に対してそう感じるんです。
ROTTENGRAFFTY 撮影=Yukihide”JON...”Takimoto
自分たちの主戦場はライブなんで、生き延びて、みんなとライブハウスで再会することを信じてます。(N∀OKI)
―長くやっている曲は、ファンにとって自分の曲みたいなものにも膨らんで、様々な局面で勝手に鳴り出す曲にもなっていったりするんですよ。つまり自分にとっての名曲。ROTTENGRAFFTYにはそういう曲が多いんです。
NOBUYA:ありがとうございます。でも初期は自分も若かったので、正直、メッセージというよりはフレーズという感覚でしかなくて。このフレーズをどう歌おうとか、どうカッコ良く歌ってやろうとか、そんなことしか考えていなかったと思うんですね。でもROTTENGRAFFTYがいろんな経験をしてキャリアを積んでいって。ライブのMCでいいこと言ったもん勝ちみたいなバンドもいるじゃないですか? あるときから、すごくダサいなと思うようになって。ROTTENGRAFFTYの場合は、メッセージは曲に全部ブチ込んでいるから。ライブ中に長尺なMCもほとんどやらないバンドなんです。1曲1曲に魂を込めて、楽曲とメッセージを一生懸命に伝えようってことしか考えてないですね。
――だから観るたび泣いちゃうんです。東寺のライブも含めた20周年ツアーの中で、特に思い出深い出来事もいろいろありました?
NOBUYA:ツアーじゃないんですけど、20周年の締めくくりが去年12月の『ポルノ超特急2019』だったんです。そこには、これまでライブハウスで出会った、より濃い友達のバンドしか呼んでいなくて。この20年間で卑屈になりながら活動していたときもあったんですけど、こんなに素敵な日が訪れるんであれば、苦労していた日々なんて屁でもないなって。それぐらい最高の2日間だったんで。ROTTENGRAFFTYはすごい不器用なバンドですけど、それを魅力に感じてくれる友達のバンドがいたり。なにより集まってくれたファンの方が、すごく喜んでくれていて。大きな会場だけど、一人ひとりの顔が見えたぐらいだったんです。20周年イヤーの2019年、本当に幸せだなって思えた2日間でした。
N∀OKI:“特に”って絞れないんですよ。去年丸々1年間、新旧問わずの世代と各地で対バンして、それまでやってないライブハウスもわりとあって。最終的に全部が『ポルノ超特急2019』につながっていってたんで。NOBUYAも言ってましたけど、本当に苦労してやってきて、自分らの好きな人たちとのド直球のライブだったんで。この20年の集大成として、浮かばれた感じですね。でも各地、思い出せるぐらい全部が濃厚だったし、昨年1年がいいイヤーだったし、全てが20周年メモリーになってますね。
――それが2020年の活動に昇華されるわけですよね。
N∀OKI:そうなんですけど、今はこのライブ映像作品を届けるしかないですね。通常盤は2枚組ですけど、完全生産限定盤は3枚組。Disc1の東寺のライブだけでもお腹いっぱいだろうけど、限定盤を買ってもらって(笑)、骨の髄まで味わってほしいですね。それでも足りなかったら武道館ライブの映像もありますから(笑)。どんどん過去のライブ映像作品にもさかのぼっていってほしいです。
ROTTENGRAFFTY 撮影=Yukihide”JON...”Takimoto
ROTTENGRAFFTY 撮影=Yukihide”JON...”Takimoto
ROTTENGRAFFTY 撮影=Yukihide”JON...”Takimoto
――メンバー自身、気持ちを保つための秘訣みたいなものはありますか?
N∀OKI:下ばっかり向いてテンション下げていても、何も状況は変わらないし。そこでうなだれているぐらいだったら、前向きな気持ちにしているべきだと思います。ネガティブな気持ちは増幅しやすいから、自分はそういうことは口に出さないし、思わないようにしていますね。家族より会ってたメンバーとこんなに会ってないのも、なんか変な感じなんですけど。週1回のYouTubeの「居酒屋610」で、みんな、元気そうにしてるんで。でもバンドマンだけじゃなくて、この世の中に生きとし生けるもの、みんな、辛い状況なんで。どうなるか分からないけど、自分たちの主戦場はライブなんで、生き延びて、みんなとライブハウスで再会することを信じてますね。
――近いうち、どこかの野外フェスでも再会したいですね。それまではライブ映像作品で足腰も鍛えておきますよ。それに時間もできてしまった今、次のためにモノ凄い曲を作っているんだろうなと。そんな期待感も膨れ上がってます。
NOBUYA:ギターのKAZUOMIとも話をしているんですけど、逆に、この期間に曲を作りたくないよなって。それよりもやるべきことがあるんじゃないかって感じです、僕らは。ありがたいことに誘っていただいているフェスやイベントで、まだ中止を発表していないものも幾つかあるので、もし主催の方がやるというんであれば、僕らは出ていくつもりです。2020年下半期に僕らがいろいろ仕掛けていこうと思っていたものに関しては、時間を掛けて話し合って決めていきたいと思ってます。あとひとつ言えるのは、『ハレルヤ Tour 2020』のセミファイナルとファイナルが飛んでしまって、トリビュートアルバム『ROTTENGRAFFTY~Tribute Album~MOUSE TRAP~』の東名阪リリースパーティも飛んでいるので、動き出す状況が来たときは、そこからしっかりとやり直したいんです。あれをなかったことにするのは嫌なので、止まったところからまたスタートするという意思でいます。
取材・文=長谷川幸信
ライブ写真撮影=Yukihide”JON...”Takimoto
ROTTENGRAFFTY 撮影=Yukihide”JON...”Takimoto

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