バンドマンとして強い意志を持ってな
いともう意味がないーーLACCO TOWER
の松川ケイスケと真一ジェットに訊く
覚悟

LACCO TOWER松川ケイスケと真一ジェットによるリモート生配信ライブ「電電博覧会〜歌は電波にのって」が、去る6月6日に開催。熱演といつも通り、ギャップが著しいトークタイムも交えた2時間はあっという間。無事、成功させて、いよいよバンドでのリモート生配信ライブも6月、7月に開催する。今回は「電電博覧会」の2日後、まだ記憶も生々しい松川ケイスケと真一ジェットにリモートでインタビューを敢行。このライブの手応えについてはもちろん、コロナ禍以降、ライブの自粛を余儀なくされているバンドがまず最初にどんなアクションを起こしたのか?1年後の延期を宣言した「I ROCKS 20&21」についても訊き、バンドマンとしていち早く行動を起こした彼らのマインドを紐解こうと思う。同業のバンドマンはもちろん、以前とは同じではないフェーズを生きるあらゆる人に届くと光栄だ。
――一昨日、「電電博覧会」が終わったばかりですけど、正直な感想と手応えを聞かせてもらえますか。
松川ケイスケ(以下、松川):めっちゃ疲れました(笑)。ライブ自体4ヶ月ぶりぐらいだったんですけど、疲労感がいつものライブやってる時以上にあって、終わった後動けなくなるぐらい疲れちゃいました(笑)。
――久々にライブをやるメンタルが必要だったからですかね?
松川:多分そうだと思うんですけど、精神的に疲れちゃったみたいで。全然動いたりしてないし、曲数もそんなに歌ってないんで、それほど疲れないはずなんですけど、気持ち的なところで結構くたくたでしたね。自宅からだったんですけど、自宅とはいえ、異質な緊張がありましたね。普通にオンラインの配信は何回もやってるんですけど、お金をいただいて自分たちの生業を売ってるっていう感覚がどっかにあるのか、僕は結構くたくたでした(笑)。
――真一さんはいかがでしたか?
真一ジェット(以下、真一):僕もかなり疲れたんですけど、終わった後はめちゃめちゃほっとしたんですね。なんか一つ肩の荷が降りたというか。逆に始まる前はライブでこんなに緊張することないぐらい緊張してて、不安が大きかったですね。だから終わった後はどっちかというと逆にテンションが上がってずっと家の中走り回ってましたね。
松川:なんで嘘つくの(笑)。
真一:でもそれぐらいちょっとした開放感はあって。大きなトラブルがなく終えたっていうのが一番なんですけど、正直内容も良かったとーー手前味噌ですけどそう思って、そういう部分もあって終わった瞬間弾け飛びましたね。
――真一さんは最初あんまり松川さんにレスポンスしてなかったですもん(笑)。
松川:ああ、やっぱ間の取り方が違いましたね。
――お客さんの生の表情が見えないし。
松川:画面越しにお客さんがいる感覚に慣れるのも、やってる中で慣れてきたのかな?っていうのは正直ありますね。
真一:会場の空気っていうのが全くないので、もう俺とケイスケだけの空間ですね、はっきり言っちゃえば。いつもだったらそこにお客さんとか会場の空気感っていうのも一緒に感じれるんですけど、それが今回すっぽりなくて。いつものライブだったら僕でもお客さんの反応を見つつ、何かその時の返しを考えてたり。
松川:嘘つけ!(笑)嘘をつくな、嘘を。
――ははは。
真一:このお客さんたちはまだ俺に喋って欲しいんだなって感じつつ喋ってたんで。
松川:それはあるね、確かに。
でも僕は個人的には別にどっちも正解だと思ってるんですけど。
松川ケイスケと真一ジェット
――今回はLACCO TOWERのメンバーの中でお二人が初の有料配信をやったわけで。有料配信をやるまでのチームアイロックスとしてのマインドはどういう流れだったんですか?
松川:ネットデュエットっていうシステムを今回使ってるんですけど、それを試しにやってみようっていうのも含めて、有料配信ができるまでに2ヶ月ちょっとは、いわゆるリハーサルに時間かかってて。アイロックスのチームの中でどんどん「あれやろう」「これやろう」っていうのは僕が言う場合が多いんですけど、なんか有料配信ていうのが一つのゴールだったというより、こういう状況で僕らがどう変わっていけるか?みたいなところをずっとテストしてた気がしていて。後、やっぱ8人全員(株式会社アイロックスの社員)が今、何にもできないで悶々としてるよりは何か目の前に仕事があるような状況をどんどん作って行くことがどちらかと言うと重要だったような気がしてて。ゴールがどこかはわからないけど、その通過点にこないだの有料配信があったのかな、みたいな感じはありますね。だから徐々に気持ちもみんな変わっていったのかなと。
真一:早いうちからコロナの影響でライブが延期、中止になったりして行く段階で、チケット制の生配信ていう案自体は結構前から見えてはいたんです。だけどそれは無観客のライブをチケット制で配信するとか、そういうところで。でもそれすらもできない状況、どんどん二転三転していったというか。まずライブがお客さん入れてできない状態、じゃ無観客で配信でやろう、でもそれからさらにメンバーも集められないみたいな、どんどん状況が悪くなっていった中で、最終的にリモートで距離が離れていた中でもできるライブっていうのを、自分たちが今の状態でできる最高のもので見せたいなと思って、ここにたどり着いた感じですね。かなり試行錯誤して。無観客だったらもっと簡単にできたところをリモートだから、またさらに色々やらなきゃいけないとか、そういうのが増えていって、で、ようやくできたので、その分、達成感はありますね、今の段階では。
――確かにいろんな人のリモート生配信を見てると、音楽家は音楽をやってるところをどういう状況でも見るとやはり嬉しいもんだなと。
松川:ああ、ほんとですか?人によってはやっぱりライブは現場じゃないとっていう人もいるじゃないですか。周りにもいるんですよ、オンラインライブはバンドも見る側も両方なんですけど、「ちょっと違うな」みたいに言ってる人はいなくもなくて。でも僕は個人的には別にどっちも正解だと思ってるんですけど。
――そう思います。演者や音楽家って聴かせるためにやってないと技術もモチベーションも落ちてくるし。だからライブっていうのはどういう形ででもやるべきなんじゃないかなと思うタイプです、個人的には。
松川:僕もそのタイプです(笑)。
多分うちのスタッフ全員、ここ何年かで一番働いたんじゃないですか(笑)。
松川ケイスケと真一ジェット
――実際ライブを2時間見て、どんどん松川さんの熱量が上がっていって、ライブともレコーディングとも違うんだろうなと思いながら、それが楽しくて。
松川:ああ、確かに最後の方はこういう表現をすればいいのか、っていうのは初めてのバランスだったんでやりながら掴んでいったところはあるのかもしれないですね。掴んでいったというか、「あ、こういう形なら自分たちが表現できるんだ」っていうのを実際、ライブハウスのステージに立って、ライブしてバンドが良くなっていくみたいにあの2時間ぐらいで人一倍経験だけは長く、無駄にやってるから(笑)、その処理があの2時間の中では結構早くやったような感覚はありますね。
――2時間の中でも普段のライブ同様、カバーも盛り込んだり、新曲も入ってたりして。構成で意識したことってありますか?
真一:でも普段のもともとセットリスト決める時でもそこまで新しいことをあえてやらないような話し合いはしましたね、ケイスケと。リモートライブっていうのが初めてっていうのもあるし、普段のライブのイメージをあまり崩さずにやってみたいっていうのがありました。
――コロナ禍以降、いろんなアーティストがアーティスト主導で活動してるなって、変化を感じるんですよ。ほっといてプロモーションがあるわけでもないわけだし。
松川:そうですね。結構リアルに僕らは活動やプロモーションに関して、自分らで自分らのことやってるっていうのもあるので、どう動くか?みたいなところはほんとに試されたというか、多分うちのスタッフ全員、ここ何年かで一番働いたんじゃないですか(笑)。それぐらい大変でしたね。
――少し時間を巻き戻して、自粛要請でライブができなくなった状況の頃、まずバンドが最初に動いたことはなんですか?
松川:すごい生々しい話で言うと、一番最初に動いたのは会社継続に関しての動きですよ(笑)。
――そりゃそうですよね。
松川:そこが要はセルフブランディング、セルフプロデュースしてるバンドと、色々なバンドーープロモーションされてるバンドもいれば、ほんとに曲作ってライブだけをやってるバンドもいればというふうに、いろんな種類のアーティストがいると思うんですけど、我々はそれを自らの会社で行っている以上、ほんとに常に生きるか死ぬか?っていうのを背中で感じながらでないといけないスタイルではあるので、ほんとに背に腹は変えられないという言葉を何度使ったかわからないですけど(笑)、すっげえ生々しい話をすると、最初はそこですね。どうしていこか?みたいな。8人が生きて行くために。ほんとにそういうとことリアルに、今までも、主に精神面とかで対面はしてたんですけど、もっとリアルに経営面で対面するってところで、いろんな意味で覚悟はほんとにできました、その最初の段階で。
その時期に決断してくれた他のアーティスト、そういう部分でお互いかなり絆は深まったんじゃないかと思いますね。
松川ケイスケと真一ジェット
――どれぐらいの期間のロードマップみたいなものを引いたんですか?
松川:バンドではなくてすごく会社的な話で恐縮なんですけど(笑)、1年を四半期に分けた、3ヶ月ごとで、今、ロードマップとしては1年先ぐらいまでは運用していけるのかっていうのは結構最初の段階で作り始めました。で、バンドとして、アーティストとしてっていうのはもちろん、今、来年のI ROCKSだったり、あとはホール公演だったりっていうのを目処に再開を決めてるんですけど。改めて単純にライブを再開するって事だけで、本当にそれでいいのか?っていうのをこういうオンラインのライブもそうだし、改めて人を集めるってどういうことなんやろうな?みたいなのは考えましたね。
――なるほど。I ROCKSも来年に延期されましたが、いろんな模索があったんだろうなと想像しました。
松川:I ROCKSもライブもそうなんですけど、僕らチームでよく話すのは、今までと同じことが同じようにできるというふうには思わない方がいいって話で。やっぱり今回のことって、カルチャーとかいろんなものがもうほんとに変わる瞬間に自分たちがいたような気がして。今までやってたミュージシャン、バンドマンって職業を根底から考え直さなきゃいけないような、その「考え直す」っていうのはやる、やらないじゃなくてやり方を考え直すっていうか。バンドマンの定義っていうのが変わってきそうな、そんな瞬間だったような気がして。だからI ROCKSの2年分っていうのも、ほんとに今まで絶対に決断できなかったことなんですけど、そんなことって。逆にいうと決断できなかったことを決断できるようにはなったのかもしれないですね(笑)。
――今年のI ROCKS出演予定だったバンドのほとんどが来年も出てくれるというのも素晴らしい。
松川:いやー、もう無茶苦茶ありがたい。実は今年の7月に延期予定だったんですね、最初。その段階では全アーティストOKだったんですよ。それもやっぱりバンドでずっとやってきてるから、ベースの塩﨑がバンドとの窓口として対応してくれてるんですけど、そこがこういう状況やからみんなでがんばろうみたいな雰囲気で即返事してくれるアーティストもいたり。バンドが作るフェスをやってきて本当に良かったと思いました、その時。
――それはある意味お互い様な気持ちもあるだろうし、その時期に決断してくれる人は信用できるし。
真一:そうですね。その時期に決断してくれた他のアーティスト、そういう部分でお互いかなり絆は深まったんじゃないかと思いますね。
――こればっかりはみんな同じような状態ですからね。改めて考え直してる人も多いかもしれないですね。
松川:逆に僕らも他のバンドがどういう気持ちなのかあんまり知らないんですよね。バンド同士で。だからこそ、オンラインで飲み会とかすると、僕は逆に安心したというか、みんな同じなんやと思って(笑)。ちょっとそこで傷の舐め合いじゃないですけど、ホッとした部分もあったり、元気もらったりとかっていうのはありました。
真一:SNSで、他のバンドの試みとかそういう部分で刺激受けつつ、こっちも与えてることを願いつつっていう感じですね。
これってまたこの時代、何かが生まれるきっかけなのかなと思う
LACCO TOWER
――そして6月の名古屋と7月の仙台の代替公演が生配信で開催されます。もう5人揃ってのリハは始まってるんですか?
真一:まだ全員までいってないんですが、ほとんどできてるような状態で、一歩一歩を確実に進めていってる感じです。
――これはリモートでやろうと?
松川:今のところはリモートでやろうと思ってるんですけど、状況が許せば集まってっていうのも徐々に考えていこうかなと今のところは思ってます。
――別のアーティストのリモートライブを見てたら、3人ぐらいでも有線LANでも回線が空いてる時じゃないとレイテンシーが起こってなかなかぴったりとは合わないようでした。
真一:もうほんとにそことの戦いです。一番は。
松川:やっぱそこが時間かけたポイントでもあったんですよね。お金をとるというのはそれなりの価値がないといけないわけで。例えば轟音じゃないですか?ライブハウスって。「ライブハウスってうるさいよね」っていう人も、逆にライブハウスのうるささが好きな人もいるわけで。そこって選べる「良い所」だと思うんですけど、さっき言ったみたいにネットが遅いとか切れるとか、誰も選びたくないじゃないですか(笑)。そういうのがある以上、人にお金をもらうものになってないと思うし、我々もそういうものを自分たちの作品として見せたくないので、そこがどこまでできるのか?それこそ真一ジェット中心にめちゃくちゃやりまくってる感じですね。
真一:そこは音をメインに扱ってる人間なんで、一番拘りたいですし。ただ配信だけできればいいなんてことは全く思ってないので、やっぱりお金払って見てもらえる以上、そのお金以上の満足を届けてあげたいなっていうのがあります。自分たちもその方が気持ちいいですからね。
――結局、じゃあなぜやるの?っていえば作品があるからだし、お客さんは曲を生で聴きたかったり、メンバーを見たかったり。要はそれもライブなんだというか。
松川:そうですね。生っていうのはそういう意味かと。例えば大昔の奴隷制度の中でラップが生まれたとか、これってまたこの時代、何かが生まれるきっかけなのかなと思うと、その時代に合わせて音を届けるっていうのはどんなアーティストもやってきたことじゃないですか。場所を変え、品を変えっていうのは。じゃあそれでいいのかなと、今、自分で話してて思いました。
――ほんといろんな伝え方があって、Z世代の子たちはフォートナイトみたいなところで行われてるライブも楽しく見たりするわけで。生身ってなんなん?ってことだと思うんです。で、先日の「電電博」を見てると、逆に制約が多いことで見えてくる生身の表現を見れた気がするし。
松川:ああ。いいですね、そういうの(笑)。試されてる感じはありますね。やっぱごまかし効かないから。もう歌なんてド下手が一発でバレると思うんで(笑)。ま、鍵盤もそうですけど。そういう意味では試されてる感じはすごくありますね。
――それにもう一回、LACCO TOWERの楽曲や歴史も違う角度で見れる気がします。
松川:ありがとうございます。嬉しい。
――最終的にはすごくエモいことになってましたし。
松川:ははは。
真一:俺もアーカイブ見直したんですけど、最後の「未来前夜」ヤバかったです(笑)。
――ああいう表現は逆にオフラインのライブだと盛り上がってて当たり前みたいになるじゃないですか。だから自宅で一人で歌っていてもこうなるんだ?という確認ができて。
松川:なりましたね(笑)。だから予定調和じゃなくてそうなったんが、そういう意味ではほんまにライブしてたんやなという気がします。
――いろんなバンドが今、模索中だと思うんですけど、同業のバンドマン、そして広く音楽リスナーに最後、メッセージをもらっていいですか?
松川:バンドとしては同じ場所で合わせたいなという欲はあります(笑)。せーので合わせる時のグルーブみたいなものはまだリモートでは感じられないので。でも、たぶん、僕はもうミュージシャン、バンドマンてものの形が変わる時期なんだろうなっていうのをどっかで思ってて。変えない部分は変えないままに変わって行かなきゃいけないっていうのが、僕らがこうしたいっていうのもありますけど。見てる方だって、こういうコロナの影響があって、ライブに行くのが少し怖いなって思う人もいると思うんですよね、中には。だから見てる人の価値観も変わるし、僕らの価値観もそれに合わせて変えなきゃいけないし、やっぱりバンドマンとかアーティストたる以上はこうするっていう強い意志を持ってそこにい続けないと、やっぱり一つのバンド、アーティストとして存在する意味もないような気がするんです。そこは強く考えながら、オンラインは”今しかできないことでお茶を濁している”っていうものじゃなくて、きちんとこれからLACCO TOWERらしい答えを出していきたいっていうふうには思ってます。

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