木村篤史、内面の美を映し出す| Be
hind the Camera

指定された取材場所は、彼のスタジオ裏にある「cafe SoulTree」。アンティーク家具で彩られ、工場跡を改装して作られたというその空間には、どことなく人々の「歴史」が息づいている気がした。仕事終わり、幾度となくここで一杯ひっかけてきたという彼のインタビューも、気づけばビールの乾杯から始まっていた。
カート・コバーンやエリオット・スミスを敬愛し、若い頃SuedeThe Flaming Lipsのジャケに触発されたという彼は、現在様々なアーティストのジャケやアー写を手掛け、『MUSICA』や『CINRA』といったメディアでも多くの音楽家を撮り続けている。
木村篤史は、傷や痛みなど、人の奥底にある真実を映し出すフォトグラファーだと思っている。彼が撮ったポートレイトには、人物の悲喜こもごもを宿した「内面」ごと写っている。「美しいものを撮りたい」という、自身の写真に込めた矜持を聞いた。

いつ死ぬかわからないから写真やろうと
思った

ー最初にカメラを持ったのはいつですか?
高校の頃ですね。その時は写真を撮りたいというより、一眼レフ持ってたらちょっとカッコよくない?みたいな気持ちでした。高校も大学も写真部には在籍していたんだけど、高校の写真部はタバコを吸う場所で、大学の写真部は全く出ていなかった。その時付き合っていた彼女と別れて行かなくなっているうちに、除名されましたね。
ー(笑)。
なのでまさか自分が写真で食べていくとは考えていなかったです。
ー本格的に学び始めたのは?
割と進学校の大学に行っちゃったんだけど、当時は夜な夜な遊び歩いていて。その頃は飲酒運転も甘かったから、2徹で飲んでバイクで車に突っ込んじゃったんです。「警察の人からもキミ自殺しようとしたんだと思ったよ」って言われたくらいの突っ込み方して、気づいた時には病院のベットの上で、つねられても左側はなんも感じなくなってて。ああ、これが半身不随かと思いました。まあ、それはどうにか治ったんですけど、それを機に就職活動もやめて。親には人間いつ死ぬかわからないから写真やるわって言いました。そうしたら親は許さないと、写真やるんだったら出てけって言われて、家を出て(本格的に学び始めたのは)そこからですね。
ーそこで写真を選ぶということは、本当は本気でやりたい気持ちだったり、写真が得意だという実感があったということですか?
得意かどうかはわかりませんけど、好きだったんでしょうね。でも、あの時なんで写真をやるわって言ったのかもわからないです。
ーそこからどなたかのお弟子さんになられたんですか?
海田悠っていう歌舞伎とかのポートレイトを撮っている人についたんですけど、その人はあまりにコマーシャルをしない人で、作家気質のフォトグラファーだったんですよね。写真展をやったり、写真集を作ったりしていて、ライティングも一緒だったりして。自分もいずれはこうなりたいとは思ったんですけど、今これをやってたら何の技術も身につかないと思って辞めました。そこでstudio FOBOSっていうスタジオに入って、そこで本格的にテクニカルな面を学んでいきました。
ーそれから独立するんですね。
当時は都内でも有名なスタジオだったので、凄くいいフォトグラファーさんが来てくれていて。ありがたい事に、その場で上のレベルの撮影を手伝えて、それは糧になっていると思います。ただ、最後のほうは指名でのお手伝いが増えていろんな方の撮影を見ることができなくなってしまいまして。元々はどうやったら自分がイメージしている写真を撮れるのかを学びたくてスタジオに入ったし、そこで光の事も学べたから、もういいかなって思ったんですよね。それで何名か直アシにならないかってお声がけ頂いたんですが、2年弱スタジオでお手伝いして、そこを卒業してからまた2年お手伝いするのは考えられなかったので。お断りして自分でやり出しました。早く写真を撮る側になりたかったですし。
独立した頃に撮影した作品
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