みねこ美根

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【みねこ美根 インタビュー】
昔感じた楽しさやトキメキが、
この曲で言う“くわの実”

迷う瞬間も立ち止まる瞬間も
全部未来につながる

「くわの実」は“理性と情熱”がひとつのキーワードになっているそうですが、個人的には《道に迷っても かまわないって言ってくれ/走りだせるまで もうすぐだって教えて》というフレーズと、《息ができなくなっても 君だよ 君だよ》と語りかけている様子が自分の“過去と現在”を表しているようにも感じました。“過去の自分が欲しかった言葉”が分かるようになるのも大人になることの証だと思いますが、「くわの実」を制作する前後で過去を振り返るタイミングはありましたか?

“過去の自分が欲しかった言葉が分かるようになるのも大人になることの証”って、とても素敵ですね。私自身、腑に落ちました! 実際に過去を振り返るタイミングは多かったです。「くわの実」の歌詞は自分がかけて欲しい言葉でもあります。思い描いていた姿とのギャップは私にもありますし、誰にでも多かれ少なかれあると思うんです。私の場合、自分自身が器用に立ち回れなくていろいろと時間かかっちゃってるとか。でも、今やっていることは全部子供の頃からずっとやりたくてしようがなかったことで…今、たくさんの素晴らしい出会いの中で、思っていたことが全部実現してきているんです。今の姿を子供の頃の私に見せたら、早くこの未来に来たがるだろうと自信を持って言えます。だから、道に迷う瞬間も立ち止まる瞬間も“全部ここにつながるよ”と言えるし、言いたい。そう思ったりしていました。

他にも印象に残っているフレーズがたくさんあって、サビの《ときめかない悲しい気持ち》は特に胸に刺さりました。少々余談になりますが…チャットモンチーの「いたちごっこ」という曲に《うたいたいうたがなくなっていくのが/こわいだけなんだよ》という歌詞があって、それに似た自分にとってかけがえのないものが薄れていく怖さと切なさを感じます。

この歌詞はまさにその怖さと切なさ、そして虚無感です。ずいぶん前に“歌うこと”が分からなくなった時期があって、全然楽しくなくて、うまく歌わなくちゃいけないって必死になっていました。“人前で歌うことや伝えることも、あんなに好きだったはずなのになぜ?”という自責の念と、虚しさ、恐怖を感じていて。でも、初心に返ってみて、いろんな歌を歌って、ひとりでミュージカルごっこをして、自分の曲も伸び伸びと歌って…それを続けたらまた楽しくなったんです。“あっ、昔感じた楽しさやトキメキは、ずっと近くにいたんだな”って気がつきました。“昔感じた楽しさやトキメキ”が今回で言う“くわの実”なんです。

時間が経つとなくしてしまうものがあるけど、それも愛おしく見つめるように《君…》と語りかける締め括りも素敵だと思いました。

私もここ大好きで“素晴らしい締め括りだぜ、自分!”と自画自賛です。たくさんの“君…”に届きますようにと歌っています。

くわの実の花言葉にある“私はあなたを助けません”という言葉が、みねこ美根というアーティストにリンクするような気もしました。美根さんの楽曲には救いを感じる瞬間があるけれど、それは励ましや慰めの言葉をくれるからではなく、自分の中にある力を奮い立たせてくれるからで、“助けない”という愛をくれる音楽だなと。

興味深い考察でワクワクしちゃいました。なるほど! 花言葉は作ったあとで調べて、くわの実とくわの花でそれぞれの花言葉があるんですよね。くわの実は“私はあなたを助けません”、くわの花は“あなたの全てが好き、ともに死のう”で、どちらかと言うと花の“あなたの全てが好き”が当てはまるかなと漠然と思っていたので、そうおっしゃっていただけて新たな発見です!

良かったです! では、改めて「くわの実」を完成させてみての心境はいかがですか?

本当に素晴らしい曲になっています。自分を見つめる理性、自分を信じる情熱、その両方を歌詞からも、サウンドからも、私の声からも得ることができます。これを聴いてくれた人がそれぞれに持つ“大人”や“大人になること”、どのイメージにも当てはまる作品ができました。みねこ美根の楽曲の振り幅とともに新たな一面を発見できる楽曲です。

今作の打ち込みのアレンジを経て、ライヴでの表現の幅もより広がったのではないでしょうか? 10月20日にはSHIBUYA PLEASURE PLEASUREにてワンマンライヴ『A Special Day of Mine「Modern Girl の溜息」』も控えていますし。

ライヴの表現に加え、お客さまの想像の幅、ワンマンの期待感もさらに増していると思います。初のホールワンマンはキャパとしてもかなり背伸びしていて、大きなチャレンジです。本来なら春にフェスやイベントでたくさんの方と出会い、みねこ美根をどんどん広めて、当日を迎えようとしてました。今はまずお客さま、スタッフ、メンバーの安全対策をスタッフと話し合って、今のガイドラインにそった内容で開催に向けて準備をしっかりとしています。お越しいただける方に少しでも不安がないようにすることを考えてます。ライヴの内容はタイトルをすごく意識しています。“Modern Girl”というのは、私にとって目指す姿であり、みねこ美根の根本にある存在です。溜息には暗いイメージが先行しますが、素敵な溜息もあるんです。ライヴが終わった時にお客さまが感動の溜息をつくのか、がっかりの溜息をつくのか…どちらの溜息をついてもらえるか、そして自分はどちらの溜息をつくのか、ワクワクのプレッシャーを感じます。全てにおいて責任を持って準備をしています。

楽しみにしています。日に日に状況が変わる中で、たくさんの人が改めて音楽の在り方を考えていると思いますが、美根さんにとって音楽はどんなものでありたいと思いますか?

“越えて、つなぐもの”でありたいです。時間も場所も壁も困難も全て乗り越えてつなぐものだと、最近はより強く感じます。たくさんの出会いと人とのつながりが、全ての始まりと言っても過言ではないです。私は一生、音楽と生きていきます。そして、たくさんの人と出会いたいです。今応援してくださる皆さま、まだ見ぬ皆さまとつながる瞬間を、これからもたくさん作り出して届けていきます。

取材:千々和香苗

配信シングル「くわの実」2020年7月8日配信開始 POWERPOP&Co.
    • ※各ストリーミングサービスにて配信

ライヴ情報

『A Special Day of Mine「Modern Girl の溜息」』
10/20(火) 東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

みねこ美根 プロフィール

ミネコミネ:6歳の時にピアノで初めて作曲、11歳からはギターでの作曲も開始し、現在はピアノとギターを用いてライヴ活動中。2019年1月リリースの配信EP『心火を従えて愈々』で楽曲のクオリティの高さ、世界観が注目を集め始める。同年8月に下北沢GARDENで初のワンマンライヴを開催し、座席チケット、立見チケットともに完売。みねこ美根 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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