The BONEZ、福島・猪苗代で1年ぶりの
復活ライブ 「みんながいて俺らがい
る」

The BONEZ – Speak True – Documentary + Live 2020.7.23
連日の雨模様が嘘のように晴れ間が覗いた日。海かと見紛う広大な湖のほとり、砂浜の上に向かい合う形で機材がセッティングされている。
「点取られても取り返す、We Are The BONEZ!!」
メンバー同士、がっちりと握手を交わした後円陣を組んで気合を入れ、それぞれの立ち位置へと歩みを進めていく。いよいよThe BONEZが帰ってくる。
The BONEZ 撮影=Yoshifumi Shimizu
The BONEZが7月23日に配信した『The BONEZ – Speak True – Documentary + Live』は、予期せぬ活動休止を余儀なくされて以降、NAKAの脱退なども経た1年ぶりとなるライブの模様と、そこに至るまでの葛藤や憤り、決意までが赤裸々に語られるドキュメンタリーの二段構えのスペシャルプログラムだ。
まずは時計の針は1年前の7月13日、Zepp Fukuokaでの『We Control Tour 2019』当時へと巻き戻り、時系列に沿ったインタビューで、3人それぞれの口からこの1年間の出来事や想いが語られていく。本人の口調やトーンでないと正確に伝わらないニュアンスも多いと思うので、内容を詳しく書き記すことはここでは避けるが、彼らは決して時間の経過を禊として元のスタートラインに戻り、再出発を切ったわけではない。その覚悟のほどを視聴者に深く刻む内容だ。そして、映像は2020年7月13日の福島・猪苗代湖畔へ。
The BONEZ 撮影=Yoshifumi Shimizu
The BONEZ 撮影=Yoshifumi Shimizu
長めに一礼をしたあと、左胸をポンポンと叩いたJESSEがゆっくりと、噛みしめるように一節歌ったあと、バンドサウンドが弾ける。3人にサポートギタリスト・Kokiを加えたアンサンブルは、カミソリよりもナタの斬れ味と形容したいタフな音。ギターやベースのストローク、ドラムのスネアやキックの一音一音にとにかく気迫がこもっているように聴こえる。
The BONEZ 撮影=Yoshifumi Shimizu
The BONEZ 撮影=Yoshifumi Shimizu
JESSEは画面の向こうのBONERを「聴こえねえぞ!? BONER!!」と煽ったり、返しのスピーカーに足をかけながらハンドマイクで歌ったり吠えたり。泰然とボトムを支えながら効果的にコーラスも重ねていくT$UYO$HIに、手数の多いフレーズを猛然と、しかしクリアに叩き出すZAX。現場にはBONEZチームのほかは映像スタッフやカメラクルー、PA、制作など限られたスタッフのみという無観客ライブだが、演奏や立ち振る舞いは通常のライブとほとんど変わりないので、昨今の配信ライブの中ではかなりの直球勝負と言っていい。その代わり、ロケーションは他に類を見ない壮大さだ。雲間から射す光や、ライブが進んでいくにつれて赤く染まっていく空と湖面は、最高の演出と特効。ドローンによる空撮や背後からのバックショットなど配信ならではの多彩なカメラワークも見所となっている。
The BONEZ 撮影=Yoshifumi Shimizu
中盤までは『WOKE』『To a person that may save someone』といった近2作の収録曲を中心にライブは進み、「Broken Car」と題された新曲の披露も。2ビートの疾走感と、思わず身体を揺らしたくなるご機嫌さが同居した曲で、サークルの中央へと踊り出たJESSEが各メンバーと視線を交わしながら歌い、曲の終わりには湖面の方へと気持ちよさそうに歌声を響かせた。
The BONEZ 撮影=Yoshifumi Shimizu
「みんながいて俺らがいるんだなって、今日再確認しました」
BONERたちと直接顔を突き合わせ、想いを通わせることは叶わなかったが、それでも聴いてくれる人が存在があってバンドは成り立っているのだと語りかけるJESSE。彼らの帰還を後押しするべく動いた、東北ライブハウス大作戦やTHE SOLAR BUDOKANチームをはじめとする現場スタッフたちへの感謝も忘れない。「こんな幸せな日はないです」「ここまで諦めないで来てよかった」「全て大事だって思わせてくれてありがとう」と、ありのままの心境を吐露するように言葉を繋いでいく。
The BONEZ 撮影=Yoshifumi Shimizu
そこから披露した「Remember」はこの日のハイライトのひとつで、優しくメロディアスな歌とエモーションの塊のような演奏が湖畔にこだました。それにしても、数々のライブハウスを沸かせてきたパンクでラウドなロック、タイトでヘヴィでメロウな彼らの音楽と、この3密どころかほぼ0密な開放的シチュエーションとのハマり具合は予想をはるかに超えている。モッシュもダイブも存在しないが、爆音と渾身のパフォーマンス、そして確かな熱狂がここにはある。
The BONEZ 撮影=Yoshifumi Shimizu
The BONEZ 撮影=Yoshifumi Shimizu
日が落ちてくるライブ後半は、4人が向き合う中央に篝火が置かれた状態での演奏に。屋外ならではの、日没のタイミングから逆算した演出が見事だ。とはいえ、ライブがしっとりと落ち着くのかといえばその逆で、アッパーなナンバーで畳み掛けていき、力強く雄大なスケール感で鳴らした「Thread & Needle」では、スクリーンの向こうのBONERへとコーラスを委ね、「受け取った!」とJESSE。CGみたいに見事な夕焼けを背に、クライマックスを迎えたライブは一段と熱を帯びていき、「Friends」で締めくくられたのだった。
The BONEZ 撮影=Yoshifumi Shimizu
The BONEZ 撮影=Yoshifumi Shimizu
……と思いきや、画面にはライブハウスのバーカウンターに座るラフな雰囲気の4人の姿が映し出され、ここからは生配信。ひとしきりトークをした後、チャット上のアンコールに応える形でステージへと向かい、「Hey, You」をぶっ放す。画面ブレブレ、音割れまくり。でも最高。画面には“We stand strong Together we are one”のメッセージ、次いでエンドロールが流れ、今度こそ配信は終了した。
The BONEZ 撮影=Yoshifumi Shimizu
ドキュメンタリーとロケ撮影のライブ本編、ライブハウスからの生アンコールによって、帰還を遂げたThe BONEZ。猪苗代でJESSEは、
「昔のように戻りたいとか、今までやってたようにやりたいとか、ふざけんじゃねえよ。“毎日同じ”が嫌だからロックミュージシャンやってて、“毎日同じ”が嫌だからライブハウスに足運んでて。だからこんなの屁でもねえってこと。新しいことが好きだってこと」
と言った。コロナ禍で変化した日常に基づいた発言だが、きっとそれだけじゃない。
ただ「帰ってきた」わけじゃなく、The BONEZはこの日、誰も見たことのない形で新たな始まりを告げたのだ。

取材・文=風間大洋 撮影=Yoshifumi Shimizu

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