【新連載】「野村義男のおなか(ま)い
っぱい おかわりコラム」1杯目は10
年来の友人ミュージシャンKが登場

ギターをこよなく愛するギタリスト・野村義男が、沢山の仲間を呼んでおなかいっぱいの内容でお送りする対談形式のコラム。記念すべきおかわり最初の1杯目は、10年以上の付き合いというミュージシャンKが登場。
野村:えー、今回始まりました「野村義男のおなか(ま)いっぱい おかわりコラム」。第一回目のゲストはKさんということで、宜しくお願いします!
K:宜しくお願いします!
野村:最後に会ったのが......新型コロナが始まる直前くらいの頃にご飯行きましたよね。2月だったかな、まだ密なんていう言葉がない時に。
K:そうですね! 野村さんの番組ずっと出させていただいてて、「ご飯行こう」っていう話をしてたのになかなかタイミングが合わなくて。ちょうどその番組が終わるっていう時に、その場でスケジュール決めて飲みに行ったんですよね。
野村:あ、そうだ! 待ち合わせしてね。
K:それで飲みに行って、僕の番組も出てください!って話になり、一週間後にまた同じ場所で収録するという(笑)。
野村:二人で収録して、そのまんま飲みに入るっていうね。
K:それぶりですね!
野村:あの時も意外と収録は真面目な話してましたよね?
K:野村さんの番組だと、僕がゲストになるのでどうしても僕の話になってしまうじゃないですか。野村さんはどんな風にデビューされたのかとか、ギターの道に行ったのかとか、そういう話をあんまり聞いたことなかったので。
野村:興味ないでしょ?(笑)
K:いやいやいや、ありますよ! ミュージシャンはみんなそうじゃないですかね。きっかけとか、誰が好きだったのかとか、そういう話はあまりできなかったので良かったなと思ってます。
野村:そうだね、僕もあんまり聞かれることもないので新鮮だったし。あとは、Kさんには2月29日に出た僕のアルバム『440Hz with〈LIFE OF JOY〉』に参加していただきましたよね。
K:はい、ありがとうございました。野村さんのアルバムに参加できるなんて光栄でした。
野村:まさか参加してくれると思ってなかったので、こちらこそありがとうございました。イメージとは違う感じの曲だったから余計に面白かったです。アーティストKという人のイメージって、やっぱでもバラードとかのイメージがすごく強いかもしれませんが、その裏手をかいてどっちかというとリフ、ロックというかフュージョンみたいななんか不思議な曲をすぐ弾いてくれましたしね。
K:基本が自分の書いた楽曲に自分の演奏ですよね。それは当たり前なんですけど、それ以外に誰かの楽曲に参加することが実はあんまりないんです。例えば誰々のバックで弾くとか、実はすごく好きなんですけど、ほんとうに機会がなくて......自分から言っていかないと、なかなか誘ってくれないというか(笑)。
野村:え、今言っちゃいましょうよ。言っちゃいましょう!
K:あははは!(笑) だからミュージシャンとして誘ってくれるのは本当に嬉しいし、そこにクリエイティブがあるのでワクワクします。
野村:そういうのを凄く沢山やってきましたが、気づくとノーギャラも結構ありましたね。友達関係でアルバム1枚のギャラが弁当だけみたいな。
K:あははは(笑)。
野村:そこでまた信頼関係はできますけどね。でもクゥ~ッって思うわけで、そっか今回ご飯だけか!みたいな。だけど、そこでミュージシャンの友達増えたりするんですよね。
K:うんうんうん。
野村:じゃあ、誰か誘ってください!  K、弾きます!
K:関係者の皆さん、Twitterのダイレクトメールで (笑)。
野村:それで仕事とっちゃっていいんだ (笑)。
K:はい、DMで送ってください(笑)。
野村義男 / K
野村:3月でメジャーデビュー15周年! 15周年はどうでしたか? 早かったですか?
K:どうだったんだろう......早かった気はしています。
野村:じゃあ、気持ち的にはもう色んなことが出来ましたか?
K:音楽的には色んなことをやってきた気がしますけど、まだまだ足りない感じはあります(笑)。 でも10周年の時にも同じこと思ったんですけど、周年のタイミングで皆さんに支えてもらっていることに改めて気が付く感じなのかなて思いますね。
野村:そうですね。でもそれは、ちゃんとその支えてくれる応援してくれる人たちにきっちり応えてるからでしょ? 作品も発表して、ライブもちゃんとやってというのがあるから、応援したくなるんだと思うんですよね。
K:そうだったら本当にありがたいです。
野村:いやいや、素晴らしいことですよ! そういうの続けるのすごい大変だから。僕なんて全く無視ですからね、ソロアルバムだって24年ぶりかなんかだし(笑)。
K:あははは(笑)。
野村:人のプロデュースとかはどうなの?
K:そんなに多くはないんですけど、曲のプロデュースが多いかもしれませんね。楽曲を提供させてもらう感じになると、必然的にそのサウンドをやることになるので。
野村:なるほど。
K:先程の話と少し似てくるんですけど、やっぱり自分のものではできなかったチャレンジなものとかは面白いです。細かい話になってしまうんですけどマイクの選びとかもですね。
野村:あ、マニアなところだね!
K:自分のアルバムだとなかなか選ばないマイクとかを、あえて使ってみたりします。
野村:全然違いますか?
K:合う合わないはあると思うんですけど、先入観で自分の時は全く見もしなかったマイクが意外といけるとか。あとはギター録りですね。
野村:他のところで試してるってこと? ひどい男だ!(笑)
K:いやいやいや、ある意味そういう自由度があるから結構クリエイティブなものが生まれるんですよ。自分の時より型にはまってないっというか、ちゃんと悪いところも客観的に見えるので。
野村:うん。
K:僕今年37歳なんですけど、30歳も過ぎてくるとノウハウが積み重なって出来ることのほうがどんどん増えていくじゃないですか? 音楽だけじゃなくても、どんどん器用になっていく。
野村:はいはい。
K:そうすると、出来ないことがどんどん減っていくのでワクワクしなくなるんですよね。20代の時はできないことに対してすごく悔しく思っていたんですけど、30代になると出来ないことが凄く燃えるんですよね。
野村:やっぱり前に行こう前に行こうの気持ちがね。
K:だから、今回の自粛期間も自分で苦手で手を出さなかった音楽ソフトとかをあえてダウンロードしてみたり、今じゃないと出来ないと思ってどんどん掘っていってます。
野村:僕で言うインスタと一緒だ。コロナがなかったらインスタなんかやってないから(笑)。
K:そうですね(笑)。
K
野村:実際どういうアーティストになりたいんですか? じゃあ15年後!
K:それこそ野村さんもそうですし、知り合いのミュージシャンとかでも自分の中で理想的だなと思う人は何人かいて。共通してる部分はみんな、いくつになっても知らないものを追っていく感じの方が多いですね。
野村:例えばどんなこと?
K:そういう方って結構共通してるのが、音楽的にもそうですし趣味とかもそうですし、若い僕みたいな世代も、もっと若い20代の世代でも、逆にもっと上の方たちでも、ラインがないというか壁がない感じがするんです。
野村:あ~。
K:先輩ミュージシャンだからっていうのはなくて、同レベルの会話とか同レベルの音楽の勢いだったり、もちろん馬力は違うかもしれないですけど、引き出しがあったとしても底を見せないというのか。そういうミュージシャンになりたいと思います。
野村:あれだね? 人として自然体でいたいんだね。
K:そうなんですよ、もちろんカッコつけたい部分もあるんですけど(笑)。何というか自然体で生きられたらなって思います。どうですか?30代の時に思ってた50代は。
野村:たぶん30代に入るちょっと前に、曲書いたり詞を書いたりギター弾いたり、だんだん人の家の仕事始めたのかな。そういうのを始めたタイミングだったから、その時にこれで食っていけるのかな?って不安だった気がします。まだ自分がアーティストだけとしていかなきゃいけないのか、ミュージシャンになれるのかという。アーティストとミュージシャンは全然違うから。
K:そうですよね。
野村:でも30代に入ってたぶん荒波で、ミュージシャンとして生きて行くのが凄い大変で。アーティストだったら楽だったのかもなって。
K:はいはい。
野村:でも、それは確実に振り切ったからそういう風に思った気がするんだけど、結局今の段階で言うとアーティストよりミュージシャンの方が楽だなって思ってるから変だよね(笑)。
K:それは凄く面白いです。僕はそこの領域にはまだ入ったことがないのでわからないです(笑)。
野村:だって、なんのプレッシャーもないから。毎年1枚出さなきゃって、もうプレッシャーじゃない? 出さなくていいんだもん。とりあえず作っとく?24年ぶりだけど。みたいな(笑)。
K:言ってみたいなぁ~(笑)。
二人:(笑)。
野村:とりあえずどんな風に50代のKさんがなるかわかりませんけど、50代の時にまた同じ話がしたいですね。
K:え? 僕も50代になったら野村さん......まあいいか!(笑)
野村:くそじじいになってますよ。だからわかってねぇんだよ!とかって言って(笑)。
K:あははは(笑)。
野村義男
野村:そういえば7月22日配信限定シングル『Satisfaction』リリースということでございまして。
K:ちょうどコロナで自粛期間中だったので、データのやり取りだけでなにかできないかな?と。今まであんまり前に出せなかったニュアンスの楽曲を作ってみたいなと思って、今年1月からずっと曲を書いていた曲なんです。自粛期間が落ち着いてきたらみんな外に出て欲しいなという思いと、なかなか一歩前に進めない人をそっと押してあげられるような曲を書きたいと思いまして。
野村:背中を押してくれるわけですね。
K:そうなんです。でも、曲調はそんな明るい曲でもなくてダークな曲が多くて、でも華やかには作りたくてテンポはめちゃめちゃファンキーみたいな。ただ、今回の作品はわりと狭い狭い曲の雰囲気なんですよね。だから、楽器の数も結構シンプルにっていう制作をしてました。
野村:やっぱり僕がイメージするKというアーティストは、ビリー・ジョエルとポール・マッカートニーを足して2で割った人なんですよね。
K:めちゃくちゃ嬉しいです。
野村:曲を作る時の、なんていうかキャンパスとか音のスケッチというか、それがちゃんと見えてるなって。あの人たちの楽曲もそうだから、たぶん同じ作り方してるんじゃないかなって思ってます。
K:いやいやいやいや。前の『Curios』とかもそうなんですけど、この『Curios』『Curiosity』の作品の前の作品だと、わりとメロを先に書いたり、詞を先に書いたりっていう作品が多かったんですよ。でも前回の『Curiosity』からトラックを先に作るっという方針に変わったんです。
野村:なるほど。
K:まず自分が良いって思うトラックをどんどん書いてみるんです。だから、今もトラックは出来上がってるけどメロを書いてないのもあったりして(笑)。
野村:それは一個ずつやるんじゃなくて、ある程度トラックを作ってからメロを考えるってこと?
K:そこは気分ですよね。スタジオを1日取らないと作業できない人がいるじゃないですか? 僕は逆に1曲しか書けない人なんで、1日スタジオ取られてもアイディア出ないから、ほっといてもらいたいんです。
野村:ほっときましょう!!!(笑)
K:そうなんですよ。だからコロナでの自粛がみんな結構大変だったと思うんですけど、逆に僕には凄いありがかったです(笑)。
野村:逆にね?(笑)
K:ずっとトラックを作っては音楽聞いて、トラックを作るのって仕事してる感じがしないんですよね。
野村:あー、わかるねぇ。
K:なんかパズルみたいな感じで、僕にとっては遊びなんですよね。この音かっこいいな、このフレーズかっこいいなって。でも、これにメロを作る歌詞を作るとなると、急にストレスというか、そこは仕事なんですよね(笑)。
野村:そうなんだ。
K:だから、皆に真面目に生きてるね?ってよく言われるんですけど、全然そんなことないんです。真面目な部分なんてメロと歌詞を書く時間しかないので(笑)。
野村:ちょっと僕も今作ってるものがあるので、とりあえずトラックだけ作る方法を真似してみます。そういう作り方をしたことなかったな。
K: Kan(Kan Sano)さんと『Curiosity』が出た時にインタビューをさせてもらったんですね。トラックを作ったあとからメロを乗せる時に、自分のキーに合わない時はどうする?という話になったんですけど、その時は別にトラックを捨てればいいじゃないですかって言ったら笑われました。
野村:(笑)。
K:変な話自分のアイディアなのでお金がかかるわけじゃないし、その時なくなるだけであって、いずれまたパーツとして出てくるんですよね。
野村:そりゃそうだ。一回もうある程度形は作ってわかってるからね。
K:そうなんです。だから僕にとってトラックを作る事は全然苦じゃないので、もうばかばかと作ってますね(笑)。
野村:捨てることも覚えるんだね。だからあれですね、基本的にKさんは断捨離の出来るミュージシャンてことだ!
K:あはは(笑)。それは言えますね。
野村:勉強になりました!
K:基本的に片付けが大好きで、キレイにしたい人なんです。巷で収納術みたいなの流行ってたじゃないですか? その中で凄く良い言葉があって、押し入れを開けて服にトキメキがなかったら捨てるという。
野村:でも、それが絶対とは言えないかな。ギターの倉庫に行って、扉を開けた瞬間にトキメキっていうより、量が多すぎて毎回イヤだなって思う。
K:それこそ処分すれば良いじゃないですか! 整理した方が良いですよ!(笑)
野村:いや、今やってるよ。少しずつ減らしてるんだけど、開けるたびに「あぁ......」って思ってしまうんだよね。
K:思い出とかがあるから進まないってことですか?
野村:もちろん思い出とかもあるし、貴重なものとかも沢山ある。でも、なんの肥やしにもならないギターまで置いてあるわけ。それが混ざって積み重なってたりとか、ケースで置いてあるから、ほんとヤダって思ってしまう。
K:僕がTシャツとかいらないってなって思ってバンバン捨てると、周りの友達とかには思い出とかを大切にしないやつだって言われるんです。でも僕の中では少し違っていて、思い出は記憶に残ればいいと思ってるんですよね。
野村:僕は、ちょっと違いますよ。今結構思い出があるギターも含めて何本も売ってはいるんだけど、それはそのギターを手にした人が思い出を引き継いでいってもらえたら良いなと思ってます。
K:僕もそういう風に言ったってことにしてください! こっちの回答の方が圧倒的に良いですもん。
一同:(笑)
野村:思い出を引き継いでもらうためにも、僕が持っているより他の誰かが持っててくれた方がそのギターは生かされるから手放してるわけです。
K:そういう風に言うと、凄く素敵に聞こえますね! それ使わせていただきます(笑)。
野村:好きなだけ使ってください! とりあえずわかったことは、Kさんは断捨離ができるミュージシャンだということで(笑)。
撮影=大橋祐希
野村義男 / K

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