『FM802弾き語り部 リモート編♪vol
.4』テレン松本大、アイビー寺口宣明
、WOMCADOLE樋口侑希がリアルと配信
で魅せたハイブリッドな夜

『FM802弾き語り部 リモート編♪vol.4 -at #オンラインライブハウス_仮-』2020.7.28(TUE)Music Club JANUS
アコースティックライブイベント『FM802弾き語り部 リモート編♪vol.4 -at #オンラインライブハウス_仮-』が、7月28日(火)にMusic Club JANUSにて開催された。
今年のFM802弾き語り部は、新型コロナウイルス禍の打開策として始まった『#オンラインライブハウス_仮』プロジェクトとコラボレーションし、緊急事態宣言下を含めオンライン_BIGCATにて2回、そして、前回は東京・渋谷の7th FLOORに出演者が集い生配信を実施。そして、第4回目となるこの日は、FM802弾き語り部の部長でもある松本大(LAMP IN TERREN)、寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)、樋口侑希(WOMCADOLE)の3組が大阪・心斎橋のMusic Club JANUSに集結し、ライブハウスでの観覧と配信による視聴のハイブリッド公演が初めて実現することとなった。
会場のJANUSでは、入場時の検温と消毒を済ませたオーディエンスが、距離がしっかり確保された座席を徐々に埋めていく。開演前には、フロアの右サイドに設置されたスクリーンに、弾き語り部への入部を直訴するFM802DJ・樋口大喜と松本による和気あいあいとした楽屋=部室でのやりとりが映し出され、その後は弾き語り部の宣伝部長であるFM802DJ・飯室大吾、同じくマネージャーの田中乃絵、そして部長の松本が共にステージへ登場。会場から沸き立つ拍手を前に松本も、「久しぶりに聞いたな……」と感慨深げ。飯室と田中は購買部=オンラインショップで購入可能な、弾き語り部公式グッズであるリラクシンなセットアップを身にまとい、松本は自らブッキングした今回のラインナップについて、「滋賀のブライアン・メイこと樋口(侑希)とイケメン寺口(笑)」と紹介。松本曰く「10代の頃から知ってる」という盟友関係で、長らく弾き語り部への入部を熱望していたというWOMCADOLEの樋口侑希からライブはスタート。
WOMCADOLE樋口侑希
暗闇の中でピンスポットを浴びた樋口が、挨拶代わりに荒々しいシャウトもろともラフにギターをかき鳴らしたのは「MayDay」。一転、メランコリックな調べと叫びが次第に力を増していく「オモチャの兵隊」では、激情を歌にした凄みのあるパフォーマンスに会場中がグッと息を呑む。
「元気ですか皆さん?(大きい拍手) 何か久しぶりですね! 感極まって泣きそうなんですけど、5カ月ぶりに人前で歌わせてもらいます。今朝起きてから胸騒ぎが止まらず、身震いしていて。戦に行くんだという感じが久々だったので、今日は楽しみにしてきました」との挨拶の後も、ギターをつま弾きながら同時配信中のチャットに溢れる拍手をiPadで嬉しそうに眺める樋口。ブルーの光と乱反射するミラーボールを背に熱唱した「今夜君と」からシームレスにつないだ「kamo river」では、最終的に夕景のオレンジへとたどりつく照明と相まって、ドラマチックに楽曲の世界観を伝えていく。そんなライブハウスならではの光景に、オーディエンスも自ずと引き込まれていく。
「リアルが愛しいから、それを願い生活をしてますが、どうしようもない敵が現れた気がしていて……。それでもやっぱり音楽は鳴りやんでないし、この期間中に気付けたことがいっぱいありました。そもそも昔から変わらない俺の中のものが、あなたにとって大事だったものが、もしかすると形を変えてしまうかもしれない。それでも愛せるかどうかは自分次第ですけど、俺は形が変わっても愛したいと思ってる。今日は呼んでくれた大くん、FM802の皆さん、ありがとうございます」
WOMCADOLE樋口侑希
この状況下での今の想いを、自らに焚き付けるように即興で楽曲に編み込んでいく樋口が、最後に放ったのは「馬鹿なくせして」。この男の歌は、ステージというリアルな現場でこそ、最大の破壊力を持ってオーディエンスを打ち抜くと再確認。トップバッターにして音楽の力をこれでもかと感じさせた樋口のライブだった。
樋口自身も「汗がすごい……」と思わず漏らした渾身のライブ後は、田中とのアフタートーク。「終始泣きそうでしたね。久々というのもあって、気合い入ってました」と充実感を語り、再びスクリーンにフロアからの視線が集中。そこに投影された部室での風景も本当にのぞき見してるかのような親密さで、配信で観覧中のオーディエンスも画面上でその模様を見ることができるなど、オンライン/オフラインのどちらを選んでも楽しめる構成には、弾き語り部ならではのこだわりを感じる。
Ivy to Fraudulent Game寺口宣明
「イケメンとか言われるとすごくやりにくいんですけど、その辺は分かってるんでしょうか?(笑)」と松本をいじりつつ、二番手としてステージに現れたのはIvy to Fraudulent Gameの寺口宣明。しょっぱなの「徒労」から、コロナ以降の現状に図らずしも新たな意味をもって響くような歌詞、それを見る者の胸の奥にまで浸食させるような表現力豊かな歌声には圧倒される。歌い終わった後に「1曲目からこれは疲れますね……」と微笑むのも納得の、鬼気迫るパフォーマンスに引きずり込まれていく。
「実は今日、自分のギターを持ってきたんですけどシールドが壊れてて(苦笑)。急遽樋口くんのギターを借りて、さっきの熱いステージを引き継いでやらせてもらってます。新入部員らしからず、主役になりたいと思っていますのでよろしくお願いします!」と始まった「blue blue blue」でも、惚れ惚れするようなしなやかな歌声を聴かせ、弾き語りという小細工抜きのネイキッドな形態だからこそ、彼がバンドのフロントマンのみならず素晴らしい歌い手でもあることを如実に思い知らされる。
「時間があったらもう1曲やろうと思ってたんだけど、嬉しくて結構喋っちゃいますね。せっかく大阪に来て歌うので、ライブで定番の曲ももちろん届けたいけど、何か特別なものを……なかなか来れないじゃないですか大阪にも。でも、毎回ライブで言うように、この土地は僕にとって特別な場所です。すごく愛してる場所です。だから、普段やらない曲もやろうと思って。18歳のときにできた、バンドでこれから同じ方向を見てやっていくぞと、決意したときの歌です」
Ivy to Fraudulent Game寺口宣明
情景が瞬時に脳裏へと浮かび上がる「東京」でも、コロナ禍を経て初心に帰るかのような、音楽へのピュアな情熱が滲み出る。静かなる衝動を秘めたひたむきな楽曲に、その歌声に、心が突き動かされる。
「この期間中にいろんな情報を見ることがあって……それぞれの意見があります。音楽は生きるために必要じゃないと、それは僕も分かってることです。そう思ってても、それを必要としない人の声というのを、いざ目にしてしまうと結構グサッとくるものですね……。でも、誰にも会えない、どこにも行っちゃいけない時期があって、その中でも俺は音楽に助けられてきたと思うんですよね。自分の歌も、誰かの背中を押せるような、下を向いてる人の視線を前に向けられるようなものになってるのかなと……自分の音楽をやっぱり信じたいと思いました。音楽は1人にさせないから、そんな力があると俺は思ってるから。音楽の力を信じてここで歌ってます。人前で歌えるってこんなに幸せなんだなと、今ものすごく感じてます。また会いましょう」
最後の「Memento Mori」まで、混迷する時代への戸惑いも、音楽がもたらす喜びも、全てを抱えて歌っていく覚悟を感じさせるステージで魅了した寺口だった。
飯室とのアフタートークでは、長年の付き合いである松本からの誘いに応えて出演した今日という日の幸福感に満たされつつ、その後の部室トークでも先輩後輩関係がヒシヒシ伝わる部活感が楽しい。互いへのリスペクトと仲の良さを感じる良いムードのまま、トリを務める部長をついにステージへと送り出す。
LAMP IN TERREN松本大
「まだどこでもやったことのない未発表の曲をやってもいいですか?」と、いきなりの新曲からスタートしたLAMP IN TERREN松本大のステージ。名曲の予感漂うその楽曲の歌詞を1つ1つ大切にたどるように聴き入るオーディエンスを前に、そのまま「Water Lily」へ。楽曲に新たな息吹をもたらすようなリアレンジも秀逸で、JANUSのグランドピアノを奏で切々と歌い上げていく松本。
「ノブ(=寺口)が樋口のギターを使うって言うから、俺も自分のギターを持ってきたのに樋口のギターを借りるという(笑)。樋口はよくがなるし、俺もちょっとがなり系の曲をやろうと思います。耳をつんざいてやるぜ!」との宣言通り、ワイルドな歌声とギターで聴かせた「凡人ダグ」はまさに共演の妙。対バンに刺激されパフォーマンスが進化していく、イベントライブの醍醐味をまざまざと感じさせる。
「拍手をもらって、こんな感じだったなと思い出してます。やっぱり人前の方がちょっと緊張するのね(笑)。もう少々お付き合いください」
今年は配信のみで3公演行われてきた弾き語り部だったが、4回目にしてオーディエンスを前に歌唱する松本に、ステージマンとしての魅力を改めて感じる。「いつものこと」の切なる願いを込めたメッセージに、オンラインでもオフラインでも問答無用に突き刺さる楽曲のパワーに、胸を揺さぶられる。
LAMP IN TERREN松本大
「チャットもチラチラ見てますよ。歌ってるときは流れが止まるんだね、聴いてくれてるのかな? こうやって直接会ってさ、音楽でコミュニケーションすることを久しくやってなかったから……。生で見てる人たちも、配信の向こうにいる人たちも、大変だったねと俺は思う。自分にもそう言いたいし。俺もいつみんなに会えるんだろうとか、この新しい曲たちをいつ聴いてもらえるんだろうとか、そんなことを考えながらようやくこの場所に来ることができて、本当に嬉しいなと思う。そんなに歌は上手じゃないと思ってますけど、気持ちは込めてるので。その気持ちが未来へと通じる糧になればいいなと思いながら、ここで歌わせてもらってます。人は忘れたり、なくしたりするときもある。でも、忘れたら何か新しいことを覚えられるし、新しいものに出会える。それはまた、この世界の誰も知らない新しい自分になれるということで。だから俺は何度でも「はじめまして」と言っていいと思って、この曲を作りました。今の全力を置いていきます、今日はありがとうございました!」
そんなMCを体現したような「Enchanté」の優しくも力強いメロディが、それを届けようとする松本の使命感を宿した歌声が、ひときわ感動的に迫りくる。部長の面目躍如たるさすがのステージで、本編は見事なエンディングを迎えた。
『FM802弾き語り部 リモート編♪vol.4』
そして、「恒例のセッションタイムを設けようと思うんですけどいいですか?」との松本の言葉に応え、最後は樋口と寺口を交えた3人で玉置浩二の「メロディー」のカバーを披露。各々のシンガーとしての個性と実力を存分に感じさせたハーモニーで締めくくり、オンラインとオフラインの強みを双方向で活かした、新しいライブのひな型とも言える一夜となった。
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=FM802提供(渡邉一生)

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