アメリカンルーツ音楽の
大御所を迎えた
ニッティ・グリッティ・
ダート・バンドの『永遠の絆』

本作『永遠の絆』について

さて、前置きが長くなってしまったが、本作は一応NGDB名義ではあるものの、アルバムの主役はブルーグラスやカントリー界の大物たちで、NGDBのメンバーはサポートに徹している。発売当初はLP3枚組で6,000円もしたが、当時アメリカはもちろん、日本でもブルーグラスファンが増えていたのでかなりの好セールスを記録したと思われる。なぜなら、中学3年生のロック好きだった僕もレコード店で予約して買ったぐらいだからである。

収録曲は全部で38曲(現在、CDのバージョンによってはボーナストラック付きのものもある。2017年にリリースされた日本盤の紙ジャケット仕様は素晴らしい仕上がりである)で、ブルーグラスを中心にカントリーやトラッドの名曲がぎっしり収められている。一曲たりとも捨て曲はなく、ブルーグラスをはじめとした白人のルーツ系音楽を一般リスナーに広めようとする熱意が伝わってくる。

参加メンバーは、ブルーグラス界からジミー・マーティン、アール・スクラッグス、ヴァサー・クレメンツ、ロイ・ハスキー・ジュニア、ピート・オズワルド・カービーほか、カントリー界からロイ・エイカフ、マール・トラヴィスほか、アメリカンルーツ界からドック・ワトソン、マザー・メイベル・カーター、ノーマン・ブレイクほかといったすごいメンツである。残念なことにマンドリン奏者はブルーグラスのミュージシャンがおらず、NGDBのメンバーが弾いている。ビル・モンローの参加を祈って他に依頼しなかったのかもしれない。しかし、モンローはもちろん参加を固辞している。NGDBのメンバーはロックのアーティストだし長髪だけに無理というものである。

収録曲では、メイベル・カーターの歌う「今宵、君に泣く(原題:I’m Thinking Tonight of My Blue Eyes)」、ドック・ワトソンの「ブラック・マウンテン・ラグ」、ロイ・エイカフの「ザ・プレシャス・ジュエル」、マール・トラヴィスの「ダーク・アズ・ア・ダンジョン」など、名唱名演は多い。中でも5分近くにおよぶ「永遠の絆」が白眉で、歌も各楽器のソロも文句なしに素晴らしい。なぜか、アルバムを締めくくるナンバーはジョニ・ミッチェルの「青春の光と影(原題:Both Sides Now)」で、アール・スクラッグスの息子ランディのギターのみである。当時は彼も若手であったが、今ではナッシュビルの大物プロデューサーとなった。

このプロジェクトは大成功を収め、この後、89年に『永遠の絆 Volume2』(グラミー賞3部門受賞)、2002年には『永遠の絆 Volume3』がリリースされ、どれも大ヒットした。

TEXT:河崎直人

アルバム『Will The Circle Be Unbroken』1972年発表作品
    • <収録曲>
    • ■Disc 1
    • 1. グランド・オール・オープリー・ソング/Grand Ole Opry Song
    • 2. キープ・オン・ザ・サニー・サイド/Keep On The Sunny Side
    • 3. ナッシュヴィル・ブルース/Nashville Blues
    • 4. ユー・アー・マイ・フラワー/You Are My Flower
    • 5. ザ・プレシャス・ジュエル/The Precious Jewel
    • 6. ダーク・アズ・ア・ダンジョン/Dark As A Dungeon
    • 7. テネシー・スタッド/Tennessee Stud
    • 8. ブラック・マウンテン・ラグ/Black Mountain Rag
    • 9. レック・オン・ザ・ハイウェイ/Wreck On The Highway
    • 10. ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド/The End Of The World
    • 11. アイ・ソー・ザ・ライト/I Saw The Light
    • 12. サニー・サイド・オブ・ザ・マウンテン/Sunny Side Of The Mountain
    • 13. 9ポンドのハンマー/Nine Pound Hammer
    • 14. ルージン・ユー/Losin' You (Might Be The Best Thing Yet)
    • 15. ホンキー・トンキン/Honky Tonkin'
    • 16. ユー・ドント・ノウ・マイ・マインド/You Don't Know My Mind
    • 17. マイ・ウォーキン・シューズ/My Walkin' Shoes
    • ■Disc 2
    • 1. ロンサム・フィドル・ブルース/Lonesome Fiddle Blues
    • 2. キャノンボール・ラグ/Cannonball Rag
    • 3. アヴァランシュ/Avalanche
    • 4. フリント・ヒル・スペシャル/Flint Hill Special
    • 5. トガリー・マウンテン/Togary Mountain
    • 6. アールズ・ブレイクダウン/Earl's Breakdown
    • 7. オレンジ・ブロッサム・スペシャル/Orange Blossom Special
    • 8. ワバッシュ・キャノンボール/Wabash Cannonball
    • 9. ロスト・ハイウェイ/Lost Highway
    • 10. ドック・ワトソンとマール・トラヴィス・ファースト・ミーティング (対話)/Doc Watson And Merle Travis: First Meeting (Dialogue)
    • 11. ウェイ・ダウンタウン/Way Downtown
    • 12. ダウン・ヤンダー/Down Yonder
    • 13. 心の痛手/Pins And Needles (In My Heart)
    • 14. ホンキー・トンク・ブルース/Honky Tonk Blues
    • 15. セイリン・オン・トゥ・ハワイ/Sailin' On To Hawaii
    • 16. 今宵、君に泣く/I'm Thinking Tonight Of My Blue Eyes
    • 17. 私は巡礼/I Am A Pilgrim
    • 18. ワイルドウッド・フラワー/Wildwood Flower
    • 19. ソルジャーズ・ジョイ/Soldier's Joy
    • 20. 永遠の絆(きずな)/Will The Circle Be Unbroken
    • 21. 青春の光と影/Both Sides Now
『Will The Circle Be Unbroken』(’72)/Nitty Gritty Dirt Band

OKMusic編集部

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