MONO NO AWARE、Tempalay、DENIMS、
TENDREら個性豊かな顔ぶれが集結した
イベント『SLOW DAYS』

『SLOW DAYS』2020.7.18(SAT)19(SUN)大阪・服部緑地野外音楽堂
昨年、野外の開放的なムードを存分に活かしたリラックス・モードで好評を博したイベント『SLOW DAYS』。第2回となる今年はコロナ禍の影響で、4月の開催予定だったところ、7月18・19日に延期。様々なハードルを乗り越え、大阪・服部緑地野外音楽堂にて開催されたその模様をレポートする。
『SLOW DAYS』
政府発表のガイドラインに基づきながら、マスク着用の呼びかけ、消毒液の設置はもちろんのこと、入場前に「大阪コロナ追跡システム」への登録が必要なことや声援を控えるお願い、地元企業のダスキンから感染対策のアドバイスを得るなど、万全の体制を敷いて無事迎えることとなった今回。開場中、さらには転換の間は、大阪・南堀江のレコード/CDショップFLAKE RECORDSの店長・DAWAのDJによるグッドミュージックが流れ、イベントへの期待をふつふつと煽っていく。まずはコンサートプロモーター・清水音泉の清水裕氏が『SLOW DAYS』への思いをステージ上で語ってくれた。
『SLOW DAYS』
「正直、1週間前まで開催するか悩みました。が、ライブを観たいと思ってくださるみなさん、ライブをしたいというアーティストの気持ちがあったから行うことができました。いろいろなお願いをしておりますが、車の運転に例えるなら、普段3台空ける車間距離を4台にするように、いつもより大らかな気持ちで楽しんでもらいたいと思います」
普段の会場キャパの4割未満に留めたという客席は、バックスタンドや芝生席も解放し、ソーシャルディスタンスもバッチリだ。さぁいよいよ開幕のベルが鳴る。
●Cody・Lee(李)●
Cody・Lee(李)
フロントマン・高橋響(Vo.Gt)が最も好きなバンドと公言しているフジファブリック「Magic」を背に、トップバッターであるCody・Lee(李)の4人が登場。素朴な歌声の高橋と尾崎リノ(Vo.Gt)のキャンディ・ボイスによるツイン・ボーカルが爽やかな「I’ m sweet on you(BABY I LOVE YOU)」でスタートを切るや、会場は一気に音楽の魔法でカラフルに色づいていく。
「音楽を純粋に楽しめるというのは貴重なことになってしまいましたが、コロナ対策はバッチリなので気兼ねなく楽しんでください」(高橋)との言葉に応えるように座って拍手を送る客席。声援はなくとも、マスクからのぞくオーディエンスの表情はほころび、何ともハートウォーミングな空気が充満している。
Cody・Lee(李)
高橋が「僕は岩手県花巻市にある桜町の出身で。その街を歌った曲をやります。大阪にいても、どこにいても、家族や友達を曲ひとつで感じられるのはいいことだなと」と語り、続けるのは「桜町」。甘酸っぱくドリーミンなメロディが望郷の想いを切なく、美しく輝かせていく。世界が大きな変化をみせる昨今でも、大切な場所への想いは大切なまま、きっと<桜町>は誰しもの胸に変わらずあると教えてくれるようだ。
「素敵なイベントを開催してくれてありがとうございました。今日から始めましょう、希望の音楽を!」と導くラストソングは「When I was cityboy」。あふれる衝動をステージに叩きつけるように放出し、1番手としてエナジーたっぷりに締め括ってくれた。
MONO NO AWARE
サウンドチェック時、「これはリハ~♪ 大事だよ~本当は見せたくない~♪」と玉置周啓(Vo.Gt)がトボけた言葉でリハーサルから飛ばすなか、お次はMONO NO AWAREのお出ましだ。
どこかトロピカルで懐かしさのあるサウンドメイクの「マンマミーヤ!」を経て、徐々に暑さが強まる会場に向け「これが理科で習った、14時に向かって最高気温を迎えるという状況ですね」と話し始める玉置。「暑くなってきたので、僕が怖いスポットをネットで探している話でも。訪れた人が行方不明になる「〇〇の薮」というところがあって。Google マップで実際の写真を見るときちんと藪が見えたりするんです。で、Google マップの情報欄に混雑している時間帯という欄があるんですけど、藪なのにちゃんとその情報があって。14時に向かって人が増えて夜になると減るんですけど、なぜか深夜の2時だけそのグラフが上昇するんですよね」……と、飄々とした表情で突然の怪談を披露。
MONO NO AWARE
体感温度をほどよく下げた(?)ところで、『NHKみんなのうた』に書き下ろし、華麗な早口言葉が話題となった「かむかもしかもにどもかも!」や、中毒性高くサイケなムードの「テレビスターの悲劇」をプレイ。独特のユーモアと豊かなインテリジェンスを散りばめた言葉遊びの応酬で、確固たる存在感を感じさせてくれる。
少年期の揺れる心情と表現する難しさを歌う名曲「言葉がなかったら」、センチメンタルなギターの音色が爽快で野外にぴったりな「東京」とみずみずしいサウンドが連なり、生の音楽を取り戻していく感覚は、何ともハピネスな心地だ。
ラスト「イワンコッチャナイ」では玉置がトリッキーなダンスをカマしながら、お約束のスキャットマン・ジョン「スキャットマン」のフレーズを挟んでテンション最高潮をマーク! めくるめく音と言葉の渦に観衆を巻き込み、堂々たる終止符を打った。
ROTH BART BARON
去る7月6日、ドラムの中原鉄也が脱退したのち、初のステージとなったROTH BART BARON。正式メンバーは三船雅也(Vo.Gt)のみとなり、今回はお馴染みのサポートメンバーを含め6人でのステージとなった。
3人のホーン隊によるパノラマ感たっぷりのファンファーレが響く「SPECIAL」から開幕。三船の神々しい歌声と、幾層にも重なる音のレイヤーが、脳内までやさしく侵食していく。さざ波のようなサウンドウェーブを生む「SPEAK SILENCE」、会場をクラップで埋め尽くした「春の嵐」を経てMCへ。「みんなよく集まったな! 『SLOW DAYS』のみなさん、ありがとう。すげー努力だ!」と、オーディエンスとスタッフへ向け、惜しみない賛辞を贈る。
ROTH BART BARON
続けて10月に発表となるニューアルバム収録の新曲を。かたちのない感情や雄大な森羅万象を表わすような壮大さと、アルバムのテーマである祝祭感をたっぷり込めたひとときは、身体中を多幸感で支配される感覚に。
そして、次なる「HAL」がまた凄まじい。キーボードとギターのみでシンプルに奏でるサウンドは、三船が持つ歌の表現力を何倍にも増幅させていく。ステージに寝転び、切々と言葉を紡ぐ彼。その詞世界は、極めてプライベートな問題にも聞こえるし、この世界への大きな問いかけにも感じられるなど、三船の歌声から多様なイマジネーションが呼び起こされる。
音が鳴り終わると、はにかむような表情を浮かべながら「あちー!」と起き上がる三船。壮絶な求心力で客席の視線を釘付けにしたかと思えば、「(ライブのガイドライン上)声が出せないんだろ? 手を上げるしかないよね!」と一転、メンバー全員を呼びポップな「フランケンシュタイン」へ。クラップにまみれながら美しいラストチューン「けもののなまえ」まで8曲にわたる物語を紡ぎ、ROTH BART BARON新章の始まりを高らかに告げた。
ドミコ
ドミコ
『SLOW DAYS』初日もいよいよ折り返し地点へと突入。ロックアイコン・ドミコのふたりがステージに降り立つ。
さかしたひかる(Vo.Gt)、長谷川啓太(Dr.Cho)から成る究極に研ぎ澄まされた編成は、ともすれば諸刃の剣。そんな疑念を思い切り蹴飛ばすように、彼らは初っ端「おばけ」から極厚の音塊をブッ放す! 爆音で会場を埋め尽くす壮絶なパフォーマンスは、実像以上にふたりの存在を大きく感じさせるほどだ。さかしたの突き放すような歌声と、万華鏡のように入り乱れるギターリフ。
ドミコ
長谷川が刻むズシン! と腹の底から突き上げてくる重厚なリズムが重なり合えば、それはロックヒーローが現れた合図。ローテンポなのに緩急たっぷりな「噛むほど苦い」に身を委ねるエクスタシー、独特のメロがクセになる「こんなのおかしくない?」に、気だるい夏のムードをクールに響かせる「WHAT’ S UP SUMMER」と連続投下。長谷川のドラミングはリズムを超えたカラフルさを持ち、さかしたの爪弾くギターはボーカルに匹敵する雄弁さを持つ。そんな曲ごとに全く色を変えるふたりの表現力には、脱帽するほかない。アイロニーたっぷりに奏でる「ペーパーロールスター」、ロックンロールの醍醐味を詰め込んだ「びりびりしびれる」で、あっという間にエンディングへ。
ノーMCで、ただ音だけを聴かせたドミコのふたり。テクニックがなければ成り立たない、でもテクニックだけでも成り立たない。高純度の衝動を伴った圧巻のステージとなった。
TENDRE
TENDRE
いよいよ初日のエンドロールが近づく服部緑地野外音楽堂へ涼風を吹かせたのは、マルチプレイヤー・河原太朗のソロプロジェクト・TENDREだ。
「言いたいことがあり過ぎてちょっとすごいです(笑)。ちゃんとしたライブができるよう祈る、今日が最初の日かと思います」と、静かなエネルギーをたたえながら言葉にする彼。心地よくグルーヴィーな「crave」や浮遊感ある「DISCOVERY」が奏でられるや、オーディエンスはライブのガイドラインを意識しながら控えめに、でもキラキラした瞳で音にサーフする。その姿は何とも眩しいものだ。暑さを一気にクールダウンさせてくれる「Night & Day」に続いては、サポートのAAAMYYY(Vo.Syn)とのフィーチャリング曲「KAMERA」を。彼女のチャーミングかつ透き通る声質と、TENDREのジェントルな歌声のハーモニーはずっと耳にしていたいほど。
TENDRE
「こういうライブは久々で。僕らもお客さんもスタッフも、みんな手探りですよね。音楽を使ってこの時代をみんなで越えていきたい。直接(会えること)が一番いいですよね」と、改めてこの日集った全ての人々を労う彼。TENDREの音空間を直に共有できる喜びを、一層強くする言葉だ。
煌びやかでセンチメンタルなメロディとサックスのクールネスな音色が重なり合う「hanashi」からのラスト「RIDE」では、「やっぱり踊りますか? 心の中で爆踊りしてください!」と導き、会場の熱気も高まる高まる! シティポップの緻密さとライブのパッションを両立させた豊潤なステージングで、トリへのバトンを軽やかに繋いだTENDREに拍手!
Tempalay
Tempalay
イベント名にふさわしく、リラクシンかつ個性的な顔ぶれが集った『SLOW DAYS』。その初日を締め括るTempalayが、いよいよステージへと現れる。
バンドネームが書かれたタオルが会場中のそこかしこで見受けられる期待度の高さで、退廃的なアジアンムードをはらんだ「脱衣麻雀」から口火を切り、一気に場のテンションは急上昇! 軽快なステップを踏む小原綾斗(Vo.Gt)は、その佇まいだけでも視線を独占。かと思えば、先ほどTENDREのサポートでも存在感を見せつけたAAAMYYY(Vo.Syn)が本丸で一層クリアな歌声を聞かせ、藤本夏樹(Dr)は音源以上にダイナミックなリズムを放出。サポートのKenshiro(Aun beatz/Ba)が爪弾くリフに高揚せずにいられない「人造インゲン」、サイケポップな「のめりこめ、震えろ。」では、強靭なファルセットを響かせる小原のボーカルパワーを改めて再確認する。
Tempalay
MCでは小原が「みなさん、笑うことも禁じられてるんですよね?(笑)」とおどけながらも、「こんな渦中ですが、このイベントがひとつの救い、指標になればいいですね」としみじみ語る。
白昼夢か如くの没入感をもたらす「どうしよう」、ファンクネスな「my name is GREENMAN」を経て、「(マスクで表情が見えず)……この反応のわからなさ、初めてやったライブを思い出します(笑)。まだこれからも大変な時期。生きていきましょう」と、小原が語り「大東京万博」へ。<ラッセーラ>のコーラスに思わずレスポンスしたくなるところをグッとこらえ、力強いビートを乗りこなすオーディエンスの姿が何とも印象的だ。さらに「そなちね」では、おどろおどろしいエフェクトを効かせながらどこか郷愁あるメロディライン、咆哮する小原に客席のテンションは最高潮へ! 即座に発生したアンコールのクラップに応えた4人は、「またどこかで会えたら、という曲をやります」と「Last Dance」で余韻たっぷりにエンディングを飾った。摩訶不思議な音絵巻で、1時間に及ぶロングアクトを完遂したTempalayで、『SLOW DAYS』DAY 1終幕です!
Homecomings
2日目のトップは、京都発の4ピース・Homecomingsにお任せを! 畳野彩加(Vo.Gt)の清らかなボーカルが野外空間によく映える1曲目「Songbirds」からスタートへ。ツインギターが織り成す豊かなメロディラインや、骨太のリズム隊による頼もしい土台でバンドサウンドの醍醐味を感じさせながらも、あふれ出るヒーリング感が彼女たちの大きな魅力のひとつだろう。
「まだ手放しで喜べる状態ではないけど、それでも音楽があるってやっぱりいいことで。みんなで協力して何事もなく終われるよう頑張りましょう」と福富優樹(Gt)が語るように、ライブは演者と観客の相互関係があってこそだ。
Homecomings
爽やかな疾走感が駆け抜ける「HURTS」では、芝生席に目をやれば、オーディエンスが控えめに、でも笑顔で体を揺らしており、何ともピースフルな光景が広がっている。ちょっぴりセンチメンタルな歌声で綴る「Blue Hour」では、畳野の表現力の豊かさを改めて再発見。「またすぐに会えるように、私たちもがんばります」(畳野)と最後に贈るのは昨年春に公開され大きな話題となった映画『愛がなんだ』の主題歌「Cakes」だ。4人が紡ぐサウンドには、特別激しいドラマはないかもしれない。でもさりげない気持ちへ名前をつけてくれるような、そんな聴く者一人ひとりに寄り添う人肌の音世界は、4人にしか鳴らせないものだ。開放感たっぷりの会場を、朗らかに包み込んでくれたHomecomingsで『SLOW DAYS』2日目も開幕!
●東郷清丸●
東郷清丸
「ここにいる全ての人に感謝して始めます」と会釈し次なるステージに立ったのは、活版印刷職人としての顔も持つ異色のシンガーソングライター・東郷清丸だ。
ブラック・ミュージックの素養にポップスや童謡的な普遍性も併せ持つ若きジーニアス。自身はギターとシンセを手に、河合宏知(Dr)をサポートに伴っての実にコンパクトな編成で登場した。が、ひとたび声を出し音を鳴らせば、その場の一人残らずロックオンする求心力が何とも鮮やかだ。
東郷清丸
艶っぽいミドルテンポのファンク・チューン「ロードムービー」では、ねばっこく色気たっぷりのボーカルで歌い上げたかと思えば、続く「サマタイム」では、軽妙ながら極太のビートで会場のテンションは急速に右肩上がりに!
曲ごとにしなやかに色を変える巧みな東郷のボーカルは、歌声でありながら楽器のごとく音世界の輪郭を華麗に描き出す。緩急あるスキルフルな河合のドラム・プレイも相まって、ミニマムな編成とは思えぬ圧巻の世界を繰り広げ、それはまさにオンリーワンのものだ。
ロマンティックなリリックとしっとりしたギターリフが眩いラストチューン「L&V」まで、終始スロー/ミドルのテンポにも関わらず客席をくまなく乗らせた手腕もお見事! 無二のストレンジなパフォーマンスに心地よく支配される幸福の時間となった。
羊文学
羊文学
事前のリハーサルでは、一音ずつ一声ずつ丁寧に準備を進めていく彼女たち。そんな音作りへ真摯に向かう姿勢にパフォーマンス力の高さを予感したオーディエンスも多いだろう、続いては羊文学のお出ましだ。
塩塚モエカ(Vo.Gt)とゆりか(Ba)はグリーンの花模様がチャーミングな揃いのワンピース、フクダヒロア(Dr)はストイックな黒一色の衣装で現れ、目にも麗しい存在感だ。ド頭「サイレン」から体感温度を下げるような清涼感を届けてくれる彼女たち。スリリングなドラミングと扉を開け放つような爽快さが共存する「絵日記」では、切々と言葉をつないでいく塩塚の歌声が何とも胸に迫る。凛とした印象が際立つスローな「ソーダ水」と、緩急自在なセットにすっかり目も耳も釘付けになる他ない。
羊文学
それにしても音源で耳にする以上に、ライブで聴く羊文学の音は、何と生々しく血の通ったバンドサウンドだろうか。冒頭の緻密なリハに表されるプレイへのこだわりは持ちながら、3人が鳴らす重厚なハーモニーはまるで生き物のように蠢き、成長し続けていることをひしひしと感じさせる。
長尺の序奏で一層ギアを上げつつ、「若者たち」ではフロントふたりが向かい合って弾き合う様に高揚感が高まり、塩塚が「最高!」と飛び跳ねながらプレイするエモーショナルな「天気予報」までたっぷり生音のシャワーをもたらした3人。いい意味でソリッドな印象を裏切りながら、人間臭い実直なパフォーマンスで魅了してくれた。
yonawo
yonawo
フロム福岡、R&BやAORをバックグラウンドに持つネオ・ソウルの新星・yonawoがエンディングの迫る服部緑地野外音楽堂に登場した。
温かなベースリフが際立つ初っ端「しあわせ」からアーバンなムードを演出し、一気に場の空気を掌握していく彼ら。徐々にスピードを上げながら続く「26時」ではタイトなリズムに乗せた荒谷翔大(Vo)の20代らしからぬビターな声質が、曲が持つ物語を何倍にも膨らませていく。
「今日は雨が降ると聞いていましたが、持ちこたえてくれたみたい」(荒谷)と晴れやかな大阪の空に、4人も表情がほころんでいく。
yonawo
どこかブルージーでリラクシンな「good job」、ユニークな言葉遣いが脳内を占拠する「矜掲羅がる」と、最早オートマティックに体は横揺れ、DNAに組み込まれているようなツボを押さえたリズムの応酬で、彼らのテクニシャンぶりには感服するほかない。
荒谷が「ここからはアコースティックで。MVもかわいいんですよ」と促し、ギターのみで弾き語るのは「トキメキ」だ。みずみずしいギターの音色が引き立たせる歌声は、艶やかさを増し、タイトルどおり会場中を魅了していくなか、エンドマークを打つのはメジャーデビュー曲「ミルクチョコ」だ。荒谷のソウルフルなボーカルは時にファルセットを織り交ぜながら、“四位一体”のバンドサウンドを構築。抜群のフィット感で会場中に波及したグッドフィーリングな音塊で、踊らせながらも噛みしめるような音楽体験をもたらしてくれた。
DENIMS
DENIMS
YOUR SONG IS GOODが体調不良によるキャンセルとなり、2日間にわたる『SLOW DAYS』は彼らのステージでエンディングに! 大阪・堺が誇るグッディなサウンドをかき鳴らすDENIMSの4人が満を持して降臨。
ポップネスな「さよなら、おまちかね」から土臭いギターリフに耳を奪われる「fools」と、ハイエナジーなステージングをお見舞いする。
「まだまだ音楽をやるには厳しい状況だと思いますが、まさかの大トリ(笑)。みんなも大満足のDENIMSです、最後まで頑張っていきます」とカマチュー(Gt.Vo)がトボけつつ、チル感ある「ゆるりゆらり」を。さらに、「夜にとけて」では音楽への大きな愛を感じさせ、ライブの現場に立ち会えるミラクルを改めて示してくれる。
DENIMS
「どう? このバーチャルじゃない俺たち。しかも雨かと思っていたら予想以上に晴れ! これもひとえに音楽を愛する気持ち、パワーのおかげですね。人前でやってこそ、楽しんでもらってこそのロックバンドです。ロックバンドやらしてもらいます! 世の中はわけのわからないことも多いですが、明るい未来に向けて作った歌です」(カマチュー)と語り披露するのは「そばにいてほしい」。バックスタンドや芝生席、端の端まで360度くまなく届けようとする真っ直ぐな歌声は、何と健やかで気持ちのいいものだろう。
えやmax(Dr)のダイナミックなドラムソロや、まっつん(Ba)が爪弾くグルーヴィーなベースリフに体の芯から揺さぶられる強靭なファンクネス「たりらりら」で本編はシメ! 
アンコールでは、ギターの弦が切れたカマチューを除いた3人が再びステージへ。おかゆ(Gt)からの「思いがけず大トリになったんですが、満足してますか?」との問いかけに、声は出さずとも大きく頷かずにはいられない。カマチューが戻るまで、おかゆがボーカルを担った「Ben & Robin」や、甘酸っぱいラブソング「otagaisama」。さらに一転して極上のパーティチューン「わかってるでしょ」をブッ放し、最後の最後までファンキーに彩り『SLOW DAYS』大団円へと導いてくれた。
色とりどりのアクトが並び、改めてライブがもたらす大きな喜びを感じられる場となった『SLOW DAYS』。
「ライブは不急でなくとも不要ではありません。会場を一歩出ると、その想いは理解されにくいかもしれませんが、みなさんがルールを守ってくれたおかげで最高のイベントになりました。またこんな場を設けたい。楽しい気持ちを持ち続けてください。一緒に頑張りましょう」という主催者の言葉で締められた。
かつては気兼ねなく楽しめたライブを取り戻せる日はまだ遠くに感じるものの、終演後にソーシャルディスタンスを守るため、ゆっくりと会場を出るオーディエンスの頼もしい心意気があれば、きっと『SLOW DAYS』は続けていくことができるのではないだろうか。
取材・文=後藤愛 撮影=小杉歩

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