<畠中祐・伊礼彼方>回をネタバレな
しでレポート 生配信朗読劇『神楽坂
怪奇譚「棲」』の見どころは、役者の
濃密な掛け合いと映像演出

朴璐美がプロデュースする「LAL STORY」の体感型生配信リーディング『神楽坂怪奇譚「棲」』が、2020年8月15日より幕を開けた。17日までの3日間で全9公演。公演ごとに異なる16名の声優・俳優が、泉鏡花を主人公にした怪しく不思議な「怪奇譚」の世界を演じる。ここでは、8月15日公演 <畠中祐伊礼彼方>ペアのレポートとあわせて、本公演の見所を紹介する。アーカイブ配信もあるので、観劇の参考にしてほしい。
『神楽坂怪奇譚「棲」』の原作・脚本は藤沢文翁。本作はただの怪談話ではなく、文豪・泉鏡花が主人公であることに大きな意味がある。「物語」そのものの持つエネルギーと、表現する意味を描いた作品だ。
(c) LAL All Rights Reserved.
生の芝居と映像配信へのこだわり
LAL STORY初の配信形式となった『神楽坂怪奇譚「棲」』。配信でも、役者同士が生み出す濃密な空気感は、劇場で体感するそれと変わらず、むしろ今この瞬間に実際に演じられているものを観ているという緊張感と臨場感がたまらない。
演出面でも、光や映像のマッピング、役者の表情に迫るカメラワーク、舞台仕掛けなど、配信だからこそできる新たな映像表現へのこだわりが随所に見られ、いっそう物語の中へと引きずり込まれる。LAL STORYの体感型生配信朗読劇は、目で、耳で、心で、様々な刺激を味わえる舞台に進化していた。
ネタバレなしの見所レポート
以下、ネタバレしない程度に、初日を飾った畠中祐(泉鏡花役)・伊礼彼方(女役)ペアのレポートをお届けする。
物語は、ある夏の日――。眼病を患い、包帯に視界を遮られた泉鏡花が、神楽坂を歩く一人の女に声をかけるところから始まる。畠中演じる泉の危なっかしさと、伊礼演じる女の妖艶な美しさ。背中合わせに座っている役者同士の会話は、お互いのことが“視えない”とは思えないほど自然だ。その会話に耳を傾けるうちに、観客はいつの間にか“あちら側”へと吸い込まれてしまう。
役者の表情やしぐさ、目の芝居も見逃せない。様々なアングルから撮られているそれらは、朗読劇であることを忘れてしまうほど雄弁だ。劇場では決して観ることのできない、生の舞台そのものをまるごと俯瞰して観ることができる感覚も新しい。役者同士の間にある仕切りに相手の役者の影が映るシーンでは、その影すらも芝居の一部になっていて驚いた。そんな、劇場で観ていたら気づけないものが、生配信にはたくさんある。
畠中の鬼気迫る表情や叫びとともに、それまで飄々と翻弄していた伊礼の表情が一変する瞬間、もう戻れないところまで来てしまったことに気づくのだが、そのときはもう手遅れ。物語は生き物となって、観る者の耳に、心に“棲”みついてしまっているだろう。そこまで泉を追い詰める女の正体は? 泉が書こうとしていたのはどんな物語だったのか? なぜ書くのか? その答えは、ぜひ自身の目で確かめてほしい。
神楽坂怪奇譚「棲」予告編〜羽佐間道夫さんナレーションバージョン
本公演は、毎回出演者が異なる。それぞれの回の泉鏡花・女を見比べるという楽しみ方もおすすめだ。役に役者自身の内面が現れた芝居は、同じ役、同じ脚本でも全く違った印象を受けるはず。<関智一>や<山路和弘>のように、一人二役を演じる回や、女性同士で演じる<佐倉綾音早見沙織>、役と本人の性別が逆転している<緒方恵美・相葉裕樹>、役と本人の性別が同じ<梶裕貴・濱田めぐみ>など、特徴的な組み合わせも多い。
さらに、生配信を体感するだけでなく、期間限定のアーカイブ配信で何度でも楽しむことができる。すべてを知ってから見ると、「実はこの時……」という様々な発見もあるだろう。各公演の視聴期限内まで、ぜひ何度も楽しんでほしい。
公演の最初と最後には、ナビゲーターである羽佐間道夫と朴璐美の語りもある。泉鏡花についての簡単な説明や公演後の案内まで豪華で楽しい。以前の公演では観客にお清めの塩がお土産に配られたが、今回はアンケート回答者に朴直筆のお札の画像がプレゼントされる。
神楽坂怪奇譚『棲』体感型配信怪奇譚 稽古レポート&朴璐美さん対談
狂気に触れて、日々に刺激を
プロデューサーである朴は、配信とはいえ生の舞台であることをとても大切にしている。役者とスタッフが今この瞬間に生み出している舞台であるということ。そして物作りへの執念が生み出した、2020年の『神楽坂怪奇譚「棲」』。
本当に恐ろしいのは幽霊や怪談ではなく人間の狂気だとするならば、この公演はまさに、表現する者たちの狂気とエネルギーが詰まったものになっている。それは間違いなく、観る者への刺激となるだろう。約60分間、生きた芝居がくれる刺激と感動を、心ゆくまで受け取って。
出演者一覧
今後の公演スケジュールは、8月16日(日)13:00公演 <泉鏡花役>佐倉綾音 ✕ <女役>早見沙織、16:30公演 <一人二役>山路和弘、20:00公演 <泉鏡花役>斉藤壮馬 ✕ <女役>福山潤
8月17日(月)13:00公演 <泉鏡花役>緒方恵美 ✕ <女役>相葉裕樹、16:30公演 <泉鏡花役>井上和彦 ✕ <女役>安原義人、20:00公演 <泉鏡花役>梶裕貴 ✕ <女役>濱田めぐみ。
上記公演の生配信と、8月15日(土)に行われた3公演のアーカイブ配信の視聴チケットは、イープラス「Streaming+(ストリーミングプラス)」にて発売中だ。

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