山本彩 ライブを待ち望む全国のファ
ンに届けた熱いステージ、悔しささえ
も糧にした無観客配信ライブをレポー

山本彩 LIVE TOUR 2020 ~ α ~ツアーファイナル

2020.08.28
昨年末にリリースしたアルバム『α』を掲げ、今年2月22日(土)市川市文化会館大ホールより始まった『山本彩 LIVE TOUR 2020 ~α~』をスタートするも、わずか3公演の開催で残りの公演が延期となってしまった山本彩。ツアー再開の目処が立たない中、ライブを待ち望む全国のファンにツアーを見て欲しかった、一緒に楽しみたかったという想いから、8月28日(金)に無観客配信ライブを開催した。本来なら振替公演となるツアーファイナルが行われる予定だったこの日、ライブを心待ちにしていた全国のファンがモニターの前に集結。山本彩はカメラ越しに熱いステージを届け、不燃だったツアーを完全燃焼させた。
山本彩 撮影=半田安政
静かに幻想的に流れるOP映像とSEでライブの幕を開けると、ピアノの音色に乗せた美しくたくましい歌声を響かせて登場。本格ソロ活動を始めて初のシングル曲となる「イチリンソウ」をたっぷり気持ちを込めて歌う彼女の背後からは後光が差し、白の衣装で凛と歌う姿が広いステージに神々しく映える。バンドサウンドにバイオリンの音色が印象的な温かい演奏と紫の照明に包まれて歌い上げた彼女に、キラキラと光が降り注ぐ演出も美しく、オープニングナンバーから観る者を引き込む。
続いて、アコースティックギターを携えて始まった曲は「棘」。ソリッドで重厚感あるサウンドにアコギを重ね、《普通ってなんだ!?》と吠える攻撃的な曲に1曲目と異なる鋭い表情を見せた山本彩。激しくアコギを掻き鳴らす姿が勇ましくカッコ良かった「喝采」と続き、山本彩とバンドの“チームSY”は、半年ぶりの本格ライブながらも感覚をしっかり取り戻した様子。MCでは「やっと来ました、αツアー! できると思っていなかったので配信でみんなに見てもらえて嬉しいです!!」と正直な気持ちを語り、嬉しそうな笑顔を見せる。
山本彩 撮影=半田安政
短いMCから、バイオリンの美しいイントロで始まる「unreachable」で空気を変えると、アコギに乗せたウェットな歌声を聴かせた「雪恋」では、客席に設置されたレイブバンドが白く光り、そこにオーディエンスがいるかのような演出で楽曲を彩る。カメラ越しに笑顔を送った「君とフィルムカメラ」では、アップテンポな曲調に体を上下に揺らして演奏を思い切り楽しむ彼女。無観客ながら目の前のお客さんをしっかり意識した歌と演奏、配信ながら臨場感を感じさせたパフォーマンス、ツアーならではの構成や効果的な演出はもちろん生で観られたら最高だが、配信でも十分の満足感を与えてくれる。
と、ここでルーズなダンスファッションに着替えて登場。クールなダンスナンバー「feel the night」ではダンスとラップを魅せ、「stay free」ではLEDビジョンに映る自身のシルエットとダンスでシンクロする演出でファンを魅了。ライブ後にチームSYと行ったアフタートークで「ダンスが見たいという声が日頃から多くて、それを叶えるのがライブだと思った」と語っていた山本彩。ここまでもシンガーソングライターとして、自身作詞作曲の楽曲で幅広い音楽性と、歌や演奏で自身の様々な魅力と表情を見せてくれたが、ダンスという強力な武器でさらなる振り幅や魅力を見せると、アカペラで始まった「サードマン」ではゆったりと壮大な演奏に乗せた歌唱力の高さで圧倒する。幻になってしまう可能性もあったこのツアーだったが、表現者・山本彩の現在を配信でも観ることができて良かった。
山本彩 撮影=半田安政
MCでは、事前にファンから送ってもらった声や拍手が会場に流れていたことを語り、「みなさんがいるようで心強かったです!」と感謝の言葉を届けた彼女。チームSYと和気藹々としたトークを繰り広げて素の表情を見せると、早くもライブは後半戦へ。「追憶の光」「月影」を雰囲気たっぷりに歌い上げると「まだまだ行くぞ!」と煽り、「TRUE BLUE」「Weeeekend☆」「Let's go crazy」と激しいロックナンバーが続く。「画面の前のみなさんも声を出して行きましょう!」とコール&レスポンスを促し、マイクを画面の向こう側のオーディエンスに向ける。誰もいない客席にオーディエンスの姿が見えているかのように、アグレッシブな歌とパフォーマンスを全力で届ける彼女に、バンドのテンションやグルーヴも最高潮。力強く真っ直ぐな歌を届けた「レインボーローズ」では、客席のレイブバンドが虹色に光り、観客のいない会場に拳を上げて合唱するオーディエンスの姿が僕にも見えた気がした。
山本彩 撮影=半田安政
「レインボーローズ」を歌い終え、「ライブ楽しいですね!」と満足そうな笑みを浮かべた山本彩。「ツアーで行けなかったところ、会えなかった人がたくさんいます。また絶対に会いに行くので、遊びに来てくれると嬉しいです」とファンと再会の約束を交わし、本編ラストはアルバム『α』の最後に収録されている「Larimar」で美しくフィニッシュ。本編終演後、動画のコメント欄にはファンの“さやかコール”が途切れることなく流れ続けた。
山本彩 撮影=半田安政
アンコールでは、Tシャツにジーンズのラフなファッションに白のストラトを携えて登場。ライブ定番曲である「JOKER」に続いて「おうちにいる間に作った新曲です」と披露したのは、新曲「愛なんていらない」。モスバーガー(「モス」でなく、「モスバ」と呼ぶことを強調していた)のCMソングとして使用されること、10月発売の4thシングルへの収録が決定しているこの曲。ミディアムでどっしりした曲調に、耳馴染みの良いメロディと真っ直ぐなメッセージを乗せたバラードソングを、初披露とは思えぬほど堂々と歌い上げると、ファンの絶賛の声が動画のコメント欄を埋め尽くした。アンコールラストは「Are you ready?」で賑やかに華々しく終演。ステージに一人残った山本彩は、「今年27歳なんですけど、20代のうちにアリーナに立ちたいと思っているので、みんな着いてきて下さい」と野望を語り深々とおじぎをすると、名残惜しそうにステージを去った。
最新アルバム収録の新曲たちが音楽性を大きく広げただけでなく、志半ばでツアーが中断してしまった悔しささえも糧にして、さらなる飛躍を遂げようとしている山本彩。無観客配信ライブながらツアーファイナルを見事やり遂げたこの日の経験も、今後の活動の大きな糧となるはず。「20代のうちにアリーナでワンマン」という大きな目標を掲げ、新曲制作やライブ活動を本格始動する日が待ち遠しい。
取材・文=フジジュン 撮影=半田安政
山本彩 撮影=半田安政

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