田原俊彦、コロナ禍で魅せた至極のエ
ンターテインメント 初の生配信ライ
ブのオフィシャルレポートが到着

田原俊彦がアイドル黄金時代のトップランナーとして『哀愁でいと』でレコードデビューしたのは今から40年前、1980年のこと。以後、シーンを先導したスーパーアイドルも今や59歳だ。毎日のようにテレビの歌番組に出演していた時代からは、すでに四半世紀以上が経過しているが、今も田原はペースを落とすことなく颯爽と走り続けている……。
8月29日(土)20時より、新型コロナウイルス感染拡大により規模縮小を余儀なくされたライブツアー(9月11日スタート)に先駆け、田原俊彦にとって初の生配信ライブ『TOSHIHIKO TAHARA DOUBLE ‘T’ TOUR 2020 Love Paradise ONLINE STUDIO 生 LIVE』が開催された。
これは、フルバンドに男女ダンサー6名を従えた、コロナ禍で可能な最大限のエンターテインメントを提供したもの。“あの頃のトシちゃん”と変わらない、もしくはそれを上回る、フルスペックのパフォーマンスが約90分にわたり展開されたのだ。
無観客ライブで昭和の歌番組を再現
田原俊彦
ド派手なイエローのスーツでステージに登場した田原は、8月5日にCD発売された通算76枚目のシングル「愛は愛で愛だ』を笑顔で歌い始めた。昨年末に作られた曲だとのことだが、このポジティブなラブソングは、「緩急不在の距離感がまぶしくて」「予測不能な物語へ」といった歌詞もあり、人と人が触れ合いにくい今の特異な状況を意識した楽曲のようにも感じられる。
続いて、昨年のリリースのバラード曲「好きになってしまいそうだよ」を歌い上げると、ダンスが激しくラップパートもある「ジャングルJungle」をパーフェクトに再現してみせる。以後、様々なテンポの新旧楽曲を織り交ぜたメリハリのあるセットリストが続く。ダンサーとのシンクロ度もバッチリだ。
通常のライブなら、会場に声援が飛び交う。そして、MCタイムで笑いをとりながら盛り上げていくのがトシちゃん流だ。ところが、無観客の配信ライブには客席の反応がない。本人もMCで、その寂しい状況を自虐ネタにしていた。だが、実は観客がいないのは昭和の歌番組も同じだ。最多出演記録(246回)を誇る『ザ・ベストテン』(TBS系)や、158回も出演した『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)も無観客だったのだ。無観客空間で常にテレビカメラを意識しながら暴れるのは、昭和のスーパーアイドルには朝飯前だ。このライブでの田原の動きはコンサートではなく、完全に歌番組モードだった。
往年の神曲を歌い踊る。振り付けは当時のまま!
田原俊彦
真っ赤なノースリーブの夏仕様の衣装に着替えた田原は、引き締まった二の腕をあらわにしつつ、視聴者を80年代へのタイムトラベルに誘う。シングルメドレーのスタートだ。まずはデビュー曲「哀愁でいと」から。もちろん、キーも、テンポも、振りも1980年と変わらない。「哀愁でいと」と来れば次は当然、第2弾シングル「ハッとして!Good」だ。この曲が使われたグリコのCMで、同期デビューの松田聖子との共演にヤキモキしたのは当時からのファンには懐かしい思い出だろう。そして、メドレーは「NINJIN娘」「誘惑スレスレ」「ピエロ」と続いた。
さらに、往年のシングル曲のフルスロットルに突入! 「原宿キッス」は「1度お願いしたい」というナンパな歌詞がトシちゃんらしい曲、「チャールストンにはまだ早い」管楽器を用いたゴージャス感のあるアレンジでファンからの人気が高い。次の「悲しみ2(TOO)ヤング」は、『ザ・ベストテン』が41.9%という番組史上最高視聴率(ビデオリサーチ調べ:関東地区)を記録した放送回(1981年9月17日)で3位にランクインした曲だ。田原はどの曲でもスピーディにステップを重ね、ターンを繰り返し、何度も大きく足を上げる。59歳の男性としては驚異的な身体能力である。
田原俊彦
メンバー紹介をはさんでラストスパートへ。代表曲「抱きしめてTONIGHT」はもはや円熟の粋。「ひとりぼっちにしないから」、「Dynamite Survival」を情熱的に歌ったあとは、社会情勢を踏まえた内容のメッセージをファンに贈る。
「来年はみんなと笑顔で、一緒にコンサート会場で、騒げるのを願っています」
「みんなも……気をつけているとは思いますけど、しっかり健康を維持して、会えるのを待っていてください」
ラスト2曲。自らの生き様を歌ったようなバラード曲「ラストソングは歌わない」で泣かせ、最後は84年のヒット曲「顔に書いた恋愛小説」でカッコよく締めてみせた。
田原俊彦
無観客でもアンコールはある。締めは最新曲で
さて、配信ライブではアンコールはどうするのか? 全国の液晶画面の向こうではアンコールが起きているハズだが……。ここは、ギャグを交えたトシちゃんらしいやり方で切り抜けたのだった。歌ったのは映画『ウィーン物語 ジェミニ・YとS』の主題歌「ラブ・シュプール」だ。ここでは、ステージを飛び出し、セグウェイに乗ってフロアを縦横無尽に移動しながらの歌唱だった。そして、ダブルアンコールに選んだ曲は、この日2度目となる「愛は愛で愛だ」だ。この曲はやはり、今の時代にハマる。
最近の田原は、メディアの取材を受けた際にたびたび、「女子高校生がファンクラブに入った」という話を嬉しそうにしていた。“サブスクとYou Tubeの時代”には、高校生が、“レコードと歌番組の時代”にデビューしたアイドルに心を奪われるということがありえるのだ。
「観に来てくれた人をがっかりさせたくない」と本人は言う。だからこそ、スマートな体型と喉のコンディションを維持し、常に全力疾走、全力投球を続けているのだろう。男性ソロアイドルは今や絶滅危惧種といっていい。だが、少なくともここに一人、現役バリバリの状態で存在している。
なお、このライブは見逃し配信もあり。チケットは9月3日(木)18:00までイープラスで発売中だ。

文=ミゾロギ・ダイスケ 撮影=西村彩子

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