恋は人を変える、土屋太鳳・加藤和樹
・太田基裕版のミュージカル『ローマ
の休日』 ゲネプロレポート

時代を越えて今も世界中で愛される、グレゴリー・ペックとオードリー・ヘプバーン主演の名画『ローマの休日』。世界初のミュージカル版は、1998年、大地真央と山口祐一郎の出演で日本において上演された(脚本=堀越真、演出=山田和也、音楽=大島ミチル、作詞=斉藤由貴)。その二十年ぶりの再演が、朝夏まなと・土屋太鳳(Wキャスト)、加藤和樹・平方元基(Wキャスト)、太田基裕・藤森慎吾(Wキャスト)らで行われる。2020年10月4日(日)帝国劇場にて幕が上がった(10月28日(水)まで)、初日キャスト(アン王女=土屋太鳳、新聞記者ジョー・ブラッドレー=加藤和樹、ジョーの親友でカメラマンのアーヴィング=太田基裕)によって行なわれたゲネプロを観た。
初ミュージカル挑戦にして帝劇初登場、初主演となった土屋太鳳だが、堂々と舞台に立っている。目元あたり、メイクの力で映画版のオードリーにかなり寄せている印象。ダンスには自信があるようで、楽しいナンバーでははじけた表情とはじけた踊りを披露。“真実の口”のシーンでは、ジョー役の加藤との身長差も生きてキュートに見えた。
『ローマの休日』ゲネプロより
『ローマの休日』ゲネプロより
『ローマの休日』ゲネプロより
そんなアン王女に対し、確かな包容力を発揮する加藤和樹がすばらしい。スーツがよく似合い、パンツのポケットに両手を突っ込んでいるだけで様になるのだが、その同じ姿が、物語の序盤と終盤とでは、ジョー自身の心の動きもあって意味合いが違って見えてくる。余裕のある大人の男性とはいえ、その中にはやはり、ふるえ、ゆれる心がある。そんな彼が、自分の思いを押し殺し、終盤で王女の決断に対して寄せる温かな眼差しに、さすがの大人の男の包容力を感じさせる。ちょっとしたしぐさや間の取り方がうまく、大いに笑いを誘ってコメディ演技も行けるところをアピール。かっこよさ、チャーミングさ、コミカルさ、さまざまな顔が見られて、加藤にとってはまり役である。
『ローマの休日』ゲネプロより

『ローマの休日』ゲネプロより
彼の親友アーヴィングを演じる太田基裕は、同じく長身の加藤と並んだときの絵面に迫力がある。甘い声の持ち主で、加藤の声とは異なる響きが作品を豊かに彩る。飄々として端正な演技が、主人公コンビを支えている。

『ローマの休日』ゲネプロより
『ローマの休日』ゲネプロより
確かにせつない物語ではある。それでは、二人が出逢わなかった方がよかったのか……と言えば、決してそんなことはないわけで、そう考えていくと、こんなにも多くの人が地上にいる中での、人と人との出逢い、その奇跡に感謝したくなる。そんな感慨を抱かせる、終幕の加藤ジョーの表情がいつまでも心に残る。恋は人を変える。『ローマの休日』は、新聞記者ジョー・ブラッドレーの魂の再生の物語でもあるのだ――と思えてくる。

『ローマの休日』ゲネプロより

『ローマの休日』ゲネプロより
■初日へ向けたキャストコメント
土屋太鳳 コメント
目覚めたら夢なんじゃないかって思うくらい、今も夢のようです。私の人生に何が起ころうとしてるのか不思議ですが、難しい状況の中で観て下さる方々、関わって下さる方々に感謝を込め、アン王女を生きたいと思います。
加藤和樹 コメント
キャスト・スタッフみんなで力を合わせて限られた時間、条件の中で稽古を重ねてきました。ここが新たなスタ
ートラインという意識を持ち、舞台に立てる喜びを噛み締めて、最後まで無事に誰一人かけること無く駆け抜け
たいと思います。
太田基裕 コメント
今回、アーヴィングという役を演じます。ご観劇のお客様に、ささやかな幸せや、温かさ、夢や日常を少しでも
感じて頂く事が出来るように精進したいと思います。笑って泣いて、寄り添うように優しい。そんな舞台になり
ますように。劇場でお待ちしています。
取材・文=藤本真由(舞台評論家)

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