KEYTALKの魅力を最大限に活かした画
期的な配信ライブ『4密サウンドでSU
TEKI HOME』をレポート

4密サウンドでSUTEKI HOME~甘い甘い蜜のよう~2010-2014

2020.9.26(SAT)
KEYTALKの魅力を最大限に活かす画期的な配信ライブだった。9月26日に配信されたバンド初の無観客オンラインライブ『4密サウンドでSUTEKI HOME~甘い甘い蜜のよう~2010-2014』だ。
映像は、首藤義勝(Vo/Ba)、寺中友将(Vo/Gt)、小野武正(Gt)、八木優樹(Dr/Cho)の4人がスタジオに足を踏み入れるシーンからはじまった。「うぉーい!」と、メンバーから気合の掛け声が上がる。2020年から2010年へと、バンドの歴史を遡るカウントダウン映像が流れると、八木のシンバルによるカウントを合図に、爽やかなポップソング「FREEDOM」(『MONSTER DANCE』カップリング曲)からライブは幕を開けた。まさかのオープニングナンバー。巨匠(寺中)がメインボーカルで歌った「night focus」(2010年発表の1stミニアルバム『TIMES SQUARE』収録曲)、ツインボーカルが心温まるメロディを繰り出す「フォーマルハウト」(2013年発表の1stアルバム『ONE SHOT WONDER』収録曲)へと、序盤からインディーズ時代のレアな楽曲を惜しげもなく披露していく。
KEYTALK/寺中友将
“2010-2014”と掲げたタイトルどおり、この日は、彼らがインディーズ時代に最初の作品を発表した2010年から4年間の楽曲が演奏された。その時代のKEYTALKと言えば、小さなライブハウスから徐々に動員を伸ばし、バンドの揺るぎない個性を確立させながらメジャーデビューを果たしていく時期だ。当時から抜群のテクニックとアレンジセンスに定評があったKEYTALKの“原点”とも言える曲たちを、いまの4人の演奏で体感することができる貴重なライブになった。
レア曲の連発だけでも十分贅沢な内容だったが、この日の最大の見どころは、メンバーの足元と背後に施された三面LEDステージによる演出だろう。楽曲の世界観に合わせた最先端の映像美とメンバーの演奏とのコラボレーション。それが、まるでミュージックビデオの世界に迷い込んだような圧倒的な没入感を与えてくれた。なかでも、中盤に披露された「PASSION」は、KEYTALKらしい先読み不能のスリリングな曲展開に合わせて、めまぐるしく切り替わる映像とのシンクロが素晴らしかった。ふとチャット欄を見ると、KEYTALKが所属する事務所の社長・古閑氏の「いい感じ」というコメントが流れる。こんなふうにリアルタイムで作り手側の言葉を聞ける(見られる)のも、オンラインライブの楽しみのひとつ。さらに、楽曲の合間には、「THE 自粛生活」と題して、コロナ禍のメンバーの“おうち時間”をコミカル(かつシュール)に描いたパロディ動画で笑わせてくれる。
KEYTALK/首藤義勝
タイポグラフィーで歌詞を映し出した「MURASAKI」から、高速道路を走り抜けるような映像が楽曲の疾走感を後押しした「マキシマム ザ シリカ」に続き、間髪入れずに突入した「fiction escape」では、義勝のハイトーンボーカルが映える人懐こい楽曲にマッチしたキュートな映像が映し出され、リズミカルなドラムに合わせて、チャット欄に拍手の絵文字が無数に流れた。たとえオンラインライブでも、KEYTALKのライブはお客さん参加型だ。テレビ画面をモチーフにしたミュージックビデオに寄せたアプローチにファンが湧いた「トラベリング」、武正と八木がリリース当時につけていた振り付けを、記憶を頼りに再現したという撮り下ろしのダンス映像が笑いをさそった「a picture book」へと、かっこいいだけではなく、KEYTALKならでは遊び心のある映像と共にライブは進んだ。
KEYTALK/小野武正
そもそもKEYTALKは、ステージで演奏しているだけで絵になるバンドだ。まったく声質の違うふたりのボーカリストが鮮やかにスイッチするツインボーカル、速弾きを連発する武正の卓越したギターと、強靭なリズムが肝にあるKEYTALKサウンドの屋台骨を支える八木のタフなドラム。こともなげな表情で複雑なバンドサウンドを体現する各プレイヤーの演奏シーンは、それ自体がロックバンドのショーとして見応えがある。今回それが最新の映像技術と組み合わさった相性は抜群だった。ライブとも、映像作品とも違うけれど、言うなれば、その両者の良いところを掛け合わせたことで、楽曲そのものが持つ魅力や個性を何倍にも押し上げる、まったく新しいライブだった。
KEYTALK/八木優樹
MCは挟まず、15曲を届けたところで、「ありがとうございました。ラスト1曲。みんなで踊りましょう!」という巨匠の言葉から、満を持して投下されたのは「MONSTER DANCE」。いまや彼らのライブアンセムとして揺るぎない地位を確立したこの曲は、2010年代、“踊れるロックバンド”と呼ばれ、若手ロックシーンを牽引したKEYTALKのひとつの到達点だからこそ、“2010-2014”を冠したこの日のライブの最後をしめくくるのに相応しかった。メンバーの足元に置かれた小型スクリーンには、吹き上がる炎が映し出され、八木が繰り出すホイッスルに合わせて、バックのスクリーンには花火が上がった。この夏、フェスを堪能できなかったリスナーへのプレゼントのような粋な演出を挟み、最後は、八木がスティックをくるりとまわし、巨匠が「ありがとー!」と最高の笑顔で伝えると、義勝は両腕を思いっきり突き上げるなか、武正は演奏が終わるまで全力でギターを弾き倒していた。
KEYTALK
ライブのあとは、トークコーナーへ。ここで、メンバーはいつもと違うかたちで行なったライブの感想を語り合った。10年前の曲も披露したということで、「成長しましたね。全体的なクオリテー(発言のまま)がマシマシのマシです(笑)」と八木。武正は「昔の曲をいまの僕らでやるところを見せられて良かった」と手応えを口にした。さらに、ライブを見終えたばかりの視聴者とZoomをつないだあと、8月26日にリリースされた配信シングル「流線ノスタルジック」のミュージックビデオをいち早く公開。最後の最後までサービス精神にあふれた内容で初のオンラインライブを締めくくった。
KEYTALK
なお、この日、今回の配信ライブの続編となる『4密サウンドでSUTEKI HOME ~甘い甘い蜜のよう~2015-2020』が、10月31日に配信されることも発表された。2015年以降と言えば、KEYTALKがメジャーデビューを経て、ライブハウスの枠に留まらないスケール感を獲得し、大きく飛躍していく時期にあたる。その日もまた“いま”へとつながる彼らの軌跡を感じられるはずだ。
取材・文=秦 理絵
KEYTALK

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