『OSAKA GENKi PARK』オフィシャルラ
イブレポート【もみじ川広場 LEFT S
TAGE】2日目ーー若手からベテランま
で、バンドから弾き語りまで、小川の
せせらぎと一緒に耳を傾けたステージ

『大阪文化芸術フェス presents OSAKA GENKi PARK』2020.10.11(SUN)もみじ川広場 LEFTSTAGE
2日目は、10 月にも関わらず夏を思い出させるほどとにかく晴天ピーカンだった。特にLEFT STAGEは、観客エリアサイドに小川が流れているので、ライブと小川の音が交じり合うという本当に穏やかな場所。そこに若手2組とベテラン2組が集う。順に観ていくと、日本の音楽歴史を観ている様な感覚にも陥るナイスなステージだった。
ハンブレッダーズ
もみじ川広場 LEFT STAGE2日目。12時50分、トップバッターはハンブレッダーズ。もちろん関西出身という事は知っていたが、最初にボーカルのムツムロアキラが「大阪吹田市出身」という言葉を発した瞬間、ゾワッとした。あぁ、ここでやるべき人たちなんだなと咄嗟に思った。
ムツムロアキラ(ハンブレッダーズ / Vo.Gt)
そして、<何処までも行けると思った夜だった>と1曲目「銀河高速」を歌い出すと、すぐに観客全員は待ってましたとばかりに手を挙げる。疾走感あるメロディーに<時代の波ならばHIP HOP イマドキ女子は皆Tik Tok 未だに僕らはロックンロールとフォークソングをシンガロング>という歌詞が乗っかる。もう、それだけで最高でしょ。意地でもというか、自然に流行や旬を避けて通って、自分たちが大好きなロックンロールとフォークソングを信じきっているわけで。この歌詞を始め、とにかく何を歌っているか、はっきりと歌詞が入ってくる。続く「ユースレスマシン」もタイトルコールしただけで、観客たちは大きな声は出せないが、必死に喜びを体を動かして表していた。本当に地元に愛されているバンドだ。
でらし(ハンブレッダーズ / Ba.Cho)
「僕は君の最初の彼氏じゃなくて、最後の彼氏になりたい」と言ってから歌われた「ファイナルボーイフレンド」。今日見る限りも女子からの黄色い声援(現在はコロナ禍の為、拍手などが主流だが……)が多いタイプに見受けられたが、いい感じに女々しい男子ピュアラブ視点を持っている事もわかった。<僕がジジイ 君がババアになっても 物陰に隠れてキスをしよう>なんてロマンチックな言葉を、緩やかなテンポに合わせて歌う。こんなラブソングを歌われたら、ヤングボーイ&ヤングガール(実年齢だけでなく、精神年齢も含む)みんな好きになってしまう。実際、42歳のおじさんである私もキュンキュンきてしまった。
木島(ハンブレッダーズ / Dr)
今年の頭にメジャーデビューはしているが、現在も大阪に住んでいて、生活は変わらないとムツムロは明かし、「いつか万博公園でデッカいイベントをやりたいです!」とぶちまける。「友達がいなくて通学中のイヤホンだけが友達という奴の為の音楽をやります」と宣言して、「DAY DREAM BEAT」へ。ムツムロ自身も、そういう学生時代を過ごしており、そんな奴が万博公園でデッカいイベントを主催したら、本当に夢がある。
ハンブレッダーズ
今日は開けたところでライブをしているが、普段は閉じているところでライブをしていると説明して、ラストナンバー「ライブハウスで会おうぜ」へ。ライブハウス事情が大きく変わってしまった現況を踏まえて作られた楽曲。「いつか遊びに来て下さい!次はライブハウスで会いましょう!」という今までだったら、普通の挨拶が、今はより沁みるし響く。これからのハンブレッダーズ万博への道を見届けたい……、そう思えたライブだった。
藤原さくら
14時15分から登場の藤原さくらは、リハーサルでスピッツ「春の歌」のカバーを披露。観客エリアすぐ横を小川が流れているステージなのもあり、その歌声と環境が合わさり、本当に癒やされる。1曲目は、5月6日(水)に配信された「Waver」。鍵盤の別所和洋による浮遊感ある心地よいサウンドで、<あんまりやるせないから>と歌われるが、こんな御時世だからこそ、ゆらゆらと過ごしたいわけで、まさにピッタリの楽曲である。蝶々も飛んでいるし、誠にまったりとくつろげる、いわゆるチルアウトできる歌だった。
藤原さくら
今年初めての野外フェスであるという藤原。声やディスタンスが制約されている御時世だが、「私のライブは声を出す必要が無くて、いつの間にか寝たりしてるかも。カラオケでも友達が寝たりしてます(笑)」という緩やかなMCも良かった。「ゆるりしていって下さい。今日はのんびりライブしたいと思います」という語りかけがとても合う「Twilight」へ。続く「Time Flies」では、カラフルな衣装(御本人Twitterによるとパジャマとの事?!)の別所によるカラフルな音色が本当に素敵だった。
ライブやフェスに行けなくて、鬱憤が溜まって、「勘弁して!」という今年のみんなの気持ちを代弁して、その名も「Give me a break」を。途中、藤原が吹くカズーの音色もアクセントになり、「勘弁して!」という少し気だるそうなムードも感じられた。ちょうど、この時間は一番日差しが強く、歌い終わった後、思わず藤原も「暑い……。むちゃくちゃ暑いですね……」と呟いていた。
藤原さくら
毎年必ず来るはずの春が来ず、例年通りの夏も過ごせなかった今年。なので、スピッツのカバーである5曲目「春の歌」は、なんだか凄く嬉しかった。リハーサルで聴けていただけに、本番では聴けないと勝手に思い込んでいた事もあって、余計に嬉しかった。ステージ後ろに青空が広がっていた開放感のあるライブ。10月21日(水)リリースのニューアルバム『SUPERMARKET』の事も、去り際にさらりと話していたが、そのアルバムを引っさげて、また、ゆっくり関西にライブで来てもらいたいものだ。
LOVE PSYCHEDELICO
15時40分、LOVE PSYCHEDELICO登場。KUMI(Vo.Gt)とNAOKI(Gt)に加え、サポートメンバーの高桑圭(Ba)、深沼元昭(Gt)、富田政彦(Dr)、松本圭司(Key)。とにかく最初の音の鳴りが違う……。そんな事は当たり前だが、めちゃくちゃ音が良い……。またまた当たり前だが、ただただ音が大きいとか、そんな短絡的な事でも無く、一音鳴っただけで場を支配するというか、場を包み込むというか、とにかく別格のバンドが来た……。そんな感じであった。1曲目「Free World」から観客はノリノリで、キメの「ドドドン」というバンドサウンドも凄い。
KUMI(LOVE PSYCHEDELICO / Vo.Gt)
もう感嘆の(心の)声をあげるしかないライブの中、KUMIは「こんにちは!サイレントな感じ?でも、みんな伝わっているから楽しくいこうね」と語りかける。「サイレントな感じ?」という表現が粋すぎる。悲観的な気持ちにならないし、肩の力も抜けていく。そこからの「Birdie」は穏やかなテンポ感で、拓けていく楽曲。カントリー・ロックとでも言おうか。この自然に溢れたのどかな万博記念公園で聴けるなんて贅沢すぎる。
NAOKI(LOVE PSYCHEDELICO / Gt)
カウントからの「Swingin’ 」は、ドラムサウンドも良く、まさしくスイングしている。そして、NAOKIがアコギを爪弾き、同じくアコギの深沼と合わせていく、KUMIもアコギを弾き、「Your Song」へ。アコギ3本で奏でられる音は贅沢だなと想いつつ、もう20年前にリリースされたのが不思議な色褪せないナンバーに耳を傾ける。NAOKIと深沼がジャンプして音をして合わせていく様や、「Calling You」では、深沼の攻めてるアコギの音やKUMIとNAOKIがエレキで音を出し合う様など、全てが絵になるし、かっこいいとしか言い様がない。
LOVE PSYCHEDELICO
「Your Song」と同じくラストナンバーも20年前にリリースされた「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」。先程も書いたが20年前の楽曲というのが不思議であり、色褪せないというのは、もはや素晴らしきスタンダードになっているという事。そして、最初に鳴らされたNAOKIのギターソロが凄すぎて唖然となる。高桑や深沼、そしてKUMIも笑みを浮かべながら拍手している光景も微笑ましかった。また、ずっとギターを弾いていたKUMIが、この曲では唯一ハンドマイクで歌ったが、とにかく、その立ち姿には風格がある。NAOKIと深沼のギターに合わせて、大きくを腕を上げて、ゆらゆら踊るKUMIの姿も雰囲気がありすぎた。
LOVE PSYCHEDELICO
演奏後、NAOKIが観客に向かって、ギターを両手で空高く掲げ、その後、片手に持ち替えて、ギターを空高く掲げる。最初から最後まで圧倒的なライブだった。
トータス松本
時刻は17時15分になり、初日に隣のRIGHT STAGEのトリにウルフルズとして登場したトータス松本が、2日目はLEFT STAGEにひとり弾き語りとして登場。登場SEは、ジャルジャルのコントで話題になった、ウルフルズとトータス松本に多大な影響を受けてるであろうウルトラズのトースター松林が歌う「ヤッター」(ウルフルズの楽曲にソックリ!?)。それも本人のでは無く本家(?!)トータスバージョン。トースターの決め台詞「おおきにです!」までが入っている!茶目っ気というか、洒落というか、ユーモアというか、この人は本当に面白がって楽しむ事に長けているなと、まだ登場しただけなのにニヤニヤが止まらない。
この日も万博記念公園から生放送したFM COCOLOのレギュラー番組『Got You OSAKA』(毎週日曜14時~16時)のリモート収録が、コロナ禍における唯一の仕事だったと話し、あまりにも暇だからラジオ用にいっぱい替え歌を作って遊んでいたと明かす。「ここに奉納するわ!」と立て続けに、「ウォッシュだぜ!!」(「ガッツだぜ!!」)→「洗えれば」(「笑えれば」)→「ワルツ!」(同曲)→「バカコロナ」(「バカサバイバー」)→「あついのがすき」(同曲)→「バカヤロー」(同曲)とメドレーで披露。見事なくらいに原曲をみんな知っているので盛り上がるし、まさかの<歌うのが好き 歌わせるのが好き 愛してるよ 何してんの 会えないなんてつまんない>(「あついのが好き」)なんていう替え歌の歌詞で思わずグッときてしまう。
トータス松本
「以上! 替え歌は以上!!」と〆られ、「座ってていいよ!立っててもピョンピョン跳ねる曲やんないよ!」とトータスが座りながら言っているのに、観客は誰ひとり座らない。バンドセットだからとか、弾き語りセットだからとか関係なく、ただただトータス松本を立ってでも観たいのだ。が、当の本人は「でも、終わったら「足が痛い!」とか言ってるんちゃう?!」とSNSのエゴサーチを想定してグチグチ言っている。コテコテのネアカで元気な面だけでなく、グチグチのネクラで元気じゃない面という両面を持ち合わせているところが昔から好きだったなどと、ひとり勝手に想い出に耽ったりする。
2曲目「僕がついてる」。<ひとりじゃないよ さみしくはないよ 心配しないで 僕がいるから>という歌い出しからノックアウトされてしまう。この日は、「僕がついてる」を始めとして、2009年発表のソロアルバム『FIRST』から「涙をとどけて」、「みいつけた!」、「明星」と計4曲歌われたが、12年も前の歌なのに、2020年の今にジャストフィットする歌ばかりであったし、何よりも、この難儀で厄介な御時世に生きる僕らに寄り添って沁みる歌ばかり。3曲目「涙をとどけて」の<この世のものすべてが あまりにも悲しく見えてくる こんな気持ちになるのも この頃はめずらしい事じゃない>という歌詞など、最近書いたものかと錯覚するほどだった……。
TAKUMA(10-FEET
その2曲で放心状態になるなか、4曲目のタイミングでシークレットゲストで10-FEETのTAKUMAが呼び込まれる。ふたりきりで歌うのは初めてというが、サビだけだったTAKUMAのパートを2番丸ごとに増やしたり、その場でハモリの打ち合わせをしたりと、凄く楽しそうなふたり。「バンザイ~好きでよかった~」をふたりで歌い終わった瞬間に、突然トータスが<明日には>と10-FEETの「ヒトリセカイ」をワンフレーズ歌い始めるエモいワンシーンも。
温もりを感じるナンバー「みいつけた!」の後に、前日のウルフルズの舞台でも執り行った一本づつ指の数を増やして締めていく三本締めならぬ五本締めを、「エンターテイメントの復活を記念して!」という掛け声と共に執り行う。その後だけに、ラストナンバー「明星」の<何もかも 間違いじゃない 何もかも ムダじゃない たったひとつの輝きになれ 人はみな一度だけ生きる>という言葉が、ズシンズシンと響き渡る。
トータス松本×TAKUMA
個人的に約25年間追いかけ続けているバンドであり、ミュージシャンなだけに、本当に大阪にウルフルズが、トータス松本がいてくれて良かったと心から思った。本当に全国に誇れるバンドであり、ミュージシャンであるし、『OSAKA GENKi PARK』というイベントに、誰よりもふさわしいと本気で思っている。私が言う事じゃないですけど、2日間も出てくれて本当にありがとうございました。
取材・文=鈴木淳史 撮影=小川星奈

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